■店主「最低賃金守っていたら閉店に追い込まれる」
国の定める最低賃金とほぼ同額の時給を支給するのは普通、コンビニやインターネットカフェといった小規模自営業者が経営する業種だ。ところが、こうした自営業者たちは「客が来ないのに店は増えるばかり。最低賃金をきちんと守っていたら閉店しなければならない状況に追い込まれる」と吐露した。ソウル市冠岳区内でコンビニを経営している男性は「最低賃金通りアルバイトの給料を合計215万ウォン(約19万1000円)支払えば、私は1日12時間働いても月に150万ウォン(約13万3000円)しか手にできない」と嘆いた。仁川市内の別のコンビニ店主は「人件費の負担を減らすには家族を動員したり、店主が一日中、店に出たりするしかない」と話した。
小規模自営業者は過剰な競争に苦しみ、仕事のない若者は給与が少なくてもアルバイトがしたいと殺到しているのだから、法定最低賃金を守る店よりも守らない店の方が多くなるというのが現実だ。フランチャイズ企業の本社は「労働契約はあくまでも店主とアルバイトの間の問題」と言って見て見ぬふりをしている。
こうした現実をよそに、今年も労働運動関連団体と経営者側、政府は交渉テーブルの前に座って神経戦を繰り広げ、来年度の最低賃金を今年より7.2%(350ウォン=約31円)アップの時給5210ウォン(約460円)に決めた。ソウル市内のあるコンビニ店主は「売り上げが急増するわけでもないのに…。来年取材に来るころには最低賃金を守らない店がもっと増えているだろう」と見通した。