「誘致補助金の45億円については、シャープが支払う固定資産税の9割にあたる金額を、奨励金として毎年支払う契約でした。ですから、これまで支払った分については返還請求などしません」(市環境産業部商工業新興室)
パナソニックは、兵庫県尼崎市と千葉県茂原市の工場撤退で地元に衝撃を与えた。尼崎では第1工場を停止、第3工場を休止した。兵庫県は二つの工場に対して約38億4000万円の補助金を出している。兵庫県の場合、操業年数に応じて返還を求める規定がなかったため、今年2月、規定を変更した。
「過去にも補助金を一括でなく10年分割で支払うよう制度を見直したことがありますが、今回は、急に工場を廃止した場合、それ以降の補助金を支払わないことを明確にしました」(県産業立地室)
県は稼働期間分を除いた補助金12億6000万円の返還を求めている。パナソニック広報部は「県の指導に従う」としているが、まだ支払われていない。
一方、茂原工場は'11年度でパネルの製造を中止。官民ファンドと大手電機メーカー3社が出資する新会社「ジャパンディスプレイ」に売却されることになった。千葉県は'06年から6年間で20億3000万円、茂原市も約13億5000万円の補助金を交付してきた。
茂原市はもともと、日立製作所の城下町だった。全盛時は「朝の出勤時に駅から工場まで人の列ができた」(地元住民)というが今、駅前は閑散として、人通りはまばらだ。廃業したビジネスホテルやシャッターの閉まったゲームセンターが目立つ。不動産屋によると、「工場の撤退でワンルームの空室が増えた」という。市の担当者は、「1000億円を投資した企業がこんなに早く撤退してしまうとは」と驚きながら、売却先の新会社の事業や雇用の規模を踏まえて、新たに補助金を交付する予定だ。
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