NECでは住民訴訟が
上の表は、主な補助金の実態と返還請求トラブル例をまとめたものだ。これを見ると、稼働期間の短さと、交付された補助金と返金額の落差に驚く。補助金は、企業に対して一括して交付される場合もあれば、分割の場合もある。自治体によっては「奨励金」名目で支払われるケースもある。いずれにしろ、税金でまかなわれていることは言うまでもない。
補助金と返還金の落差で突出しているのが、冒頭でルポしたシャープの亀山工場だ。前三重県議の荻原量吉氏が憤る。
「私たちは契約違反として、県がシャープに払った補助金の全額返還を求めるようにと議会で要求しました。ところが県は、補助金交付の規約上、違反はないとして返還請求はせず、シャープ側と勝手に合意して、6億4000万円の返金を受け取って済ませてしまった。それどころか、県は補助金90億円(15年分割で支払う契約)のうち未払い分の24億円を今後もシャープに支払うとしている。そんなバカげた話がありますか。県は税金を何だと思っているのか」
シャープに対して補助金の返還金を6億円あまりで合意した点について、三重県雇用経済部はこう説明する。
「企業立地促進補助金の規約では、設備投資額が600億円を超え、従業員が600人以上あれば条件を満たすことになっています。シャープさんは工場の一部を売却して縮小することになりましたが、この条件をクリアしているので、工場設備を売却しても返還請求をするにはあたらないと判断しました」(企業誘致推進課)
県によれば、返金された6億4000万円は、あくまでも企業立地促進補助金の規約によってはじき出された金額なのだという。だからなのか、「返還金」ではなく「納付金」という呼称を使う。三重県は誘致した側の弱みがあるのか、返還請求には弱腰なのだ。また、45億円を補助金として支払った亀山市に至っては一銭も受け取っていない。
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