マダイ


はじめに

管理人です

マダイは投げ釣りで狙える魚種の中では、最高の魚だと思っている。アタリ、引きの強さ、容姿、そして食味の良さなど、どれをとっても申し分ない。しかし、狙ってすぐに釣れるような、易しい魚ではない。何度も同じ場所に通って、その釣り場の癖を掴んで、初めてマダイを手にすることが出来る。そんな苦労をすて釣り上げたマダイは、ブルーのアイシャドウ、尾ひれの美しさとも手伝って、とてつもない感動を与えてくれること間違いなしだ。

マダイは回遊する魚だ。投げ釣りで狙う他の魚種よりも、回遊範囲、深度が広いと思われる。このため、天候、潮、水温などの要素はもとより、回遊ルートの読み、ポイントへの正確なキャスト、仕掛け、餌などの多くの要素がマッチして、初めてマダイのアタリを得ることが出来る。

関東では「投げ釣り=キス・カレイ釣り」のイメージが強いのか、投げ釣りでマダイを狙っていることを、他の釣り人に伝えても、なかなか理解してもらえない。それだけ、投げ釣りでマダイを狙うことの知名度が、低いと思われる。このページを読んで下さる方は、投げ釣りでマダイを狙うことに興味を示してくれた方々と思っている。このページには、私が持つ西伊豆でのマダイ狙いのノウハウを纏めた。皆さんにも、是非、マダイを釣って、マダイ狙いの楽しさ、釣り上げた直後のマダイの美しさを味わってもらいたいと思います。


幼魚(30cm)

成魚(62cm)

老成魚(89cm)

釣期

シーズンインは3月。しかし、この時期は季節風が吹き荒れて竿を出せる機会は少ない。アタリもほとんど無く、退屈な釣りである。また非常に寒い。4月になると、季節風は吹かなくなるが、まだまだ寒い。アタリも相変わらず少ない。しかし、怒級の大物が狙える時期でもあり、通う価値は十分にある。この時期は日光によって水温が温まりやすい浅場において、かつ、朝のマヅメ時が一番のチャンスである。

なお、イセエビ漁は5月16日から9月15日までが禁漁期であり、この禁漁期間中は刺し網が入らないが、まだこの時期はまだイセエビ漁が禁漁となっていないので、磯は刺し網が入ることがよくある。磯へ行くなら、刺し網の入らない満月の日がねらい目だ。

GW頃から6月にかけてが伊豆半島のマダイの産卵期。年によって産卵期は前後する。一服状態になったあと、7月中旬までは産卵後の荒食いが期待出来る。この頃からが本格的な夜釣りシーズンとなり、一晩に何度もアタリがあることもある。沼津や西伊豆は風やウネリによる海の荒れもなく、釣りやすい時期でもある。

8、9月は高水温期の為、それまで釣れていた釣り場ではマダイが釣れなくなるが、水温の上昇が鈍い水深20m以上の深場や、潮通しのよい場所では、この時期でもマダイは狙える。

10月になるとまた食いが立ち始める。落ち前の荒食いである。台風の時期も過ぎて、マダイ狙いの後半戦のスタートといった感じだ。秋のマダイのピークは11月で、水温の下がりが鈍ければ、12月まで釣れ続く。

1、2月は水温も下がり、また季節風も吹いて釣り辛いが、風の無い、暖かな日が続けば期待は出来る。


釣り場

沼津の各漁港、岸壁からマダイの実績がある。沼津は養殖マダイの比率が高い。
53cm:静浦   42cm:江之浦   62cm:江之浦

西伊豆では大瀬崎、戸田、土肥、宇久須、田子、仁科、岩地、雲見の堤防や護岸、磯で投げ釣りにてマダイが仕留められている。しかし、宇久須から岩地にかけての堤防は、近年、イセエビ釣りの影響で、夜釣りがやりづらくなったのは残念である。
71.5cm:戸田   75cm:宇久須   42cm:雲見(磯)
89cm:雲見(磯)   35cm:岩地  


タックル・仕掛け







ユムシ


岩イソメ


岩イソメは青イソメと
併用すると効果が増す

伊豆半島のマダイ狙いで、一番実績があるのはユムシである。エサ取りが掛からないので、退屈な釣りになることもあるが、本命が掛かればでかい。ユムシは水を吐いた状態で、親指から中指くらいのサイズが一番使いやすい。それ以上の大きさのユムシは、近投ポイントで使用するが、少々飛距離を必要とするポイントでは、お尻を切って、内臓と血を搾り出して使う。遠投ポイントでは親指サイズのユムシでも、内臓を出して使うこともある。

ユムシは皮だけになっても、マダイは食ってくる。しかし、集魚効果の点では不利なので、その時は交換する。裏技として、ユムシの中に岩イソメを詰める手もある。ユムシをハリスにすべてこき上げて、針の長さだけ岩イソメをつけ、そこにユムシを戻してやる。


ウミケムシ
岩イソメに比べ、ユムシはウツボやウミケムシ、甲殻類に強いのも特徴である。一晩寝ずにやるとしても、30個もあれば足りる。アナゴが多い釣り場は、丸セイゴ20号にユムシをつけると、飲み込まれることが殆ど無いので、針を結びなおす必要が減る。そのままユムシを使えるので経済的でもある。ただし、ユムシだけで釣行すると、針に残った餌から得られる、エサ取り情報が減る。虫餌の竿をも投げておいた方が良い。

岩イソメも多くの実績がある。岩イソメは7〜10cm位に切り、垂らしが無くなるように、ハリスにこき上げて使う。こうすると、餌全体が大きく見えるし、エサ取りにも強くなる。

8号のハリスはチモトの結び目が大きく、岩イソメをこき上げにくい。この場合は、岩イソメの頭をハサミで切ると、チモトが岩イソメの中にすんなりと入る。

遠投が不要な場合は、更に青イソメを房掛けにすると効果がある。ただし、岩イソメはウツボや甲殻類、ウミケムシに弱い。虫餌の場合、最低でも30分おきには餌の点検が必要だ。


釣り方の概念


マダイは夜釣りで狙う
マダイは実績場に通うのが、大型を釣り上げる一番の近道だ。マダイは夜釣りで狙うのが一般的である。

竿は3〜4本出して、根と砂地の境目や砂地に点在するシモリ回り、急なかけ上がり等、海底に変化のあるところに仕掛けを落ち着かせる。根掛かりのあまり無い場所では、時々誘いをかけると非常に有効的である。

ドラグは緩めて待つのが基本だが、潮の流れが速いときは、道糸が出て行かない程度に締める。この時は魚に竿を持っていかれないように尻手ロープは必須。
アタリはいきなり道糸が出ていくことが多い。マダイの場合、緩急付けて道糸が出て行く。サメの場合は一定速度である。


サメが釣れるポイントは
マダイの可能性が高い
アタリがあったら、三脚に竿を置いたまま竿を手に握り、ドラグを締めて道糸の出を止め、竿先が曲がった瞬間にアワセる。竿を持ったが否や瞬時にアワセるとすっぽ抜けることがよくある。この辺のアワセ方は頭で分かっていても、その場では頭の中が真っ白になり、出来ないことが多いので、場数を踏んで慣れるしかない。

まれに居食いするのか、小さく出つづけるときがある。この時はそっと誘ってやると、一気に走る。そこでアワセてやると大抵は掛かる。

巻き取りは慎重に行っても大丈夫。竿がのされてしまったり、道糸、ハリスに不安があるときは、道糸を出しても良い。根に向かう魚ではないからだ。ただし、道糸はテンションをかけたまま出すこと。完全にフリーにすると針が外れることがある。 巻き取りに少しでも余裕があれば、途中何度か追いアワセを入れる。口の硬い魚なので、一度では掛かりが浅い場合があるからである。


同じ場所に通った末に
釣り上げたマダイ。 言葉では
表現できない嬉しさだろう。
ポンピングはしない方が良い。下手なポンピングだと、道糸のテンションが緩んだときにいきなり突っ込まれることがある。怒級が掛かって止む終えずポンピングするときは、魚の引きを竿で溜めて、道糸が緩んだ分、巻き取るようにしたい。

磯やテトラからでは、魚を竿下まで潜らせておくわけにはいかない(竿下で横走りされると根やテトラに道糸を切られる)ので、最後は一気に浮かせたい。仕掛けを信じて巻こう。堤防や護岸からでも基礎が高かったり、海草が茂っていたりするので気を抜いてはいけない。

浮かせきれればもうあとは難しいことはない。頭から一気にすくおう。


風向きと水温について

沼津から西伊豆にかけての海は海底が急深であるため、海面と海底の温度差が大きい。よって、深海から湧く底潮は魚の活性に対して、非常に影響度が高い。また、伊豆半島の山は標高が1000前後もある。山と海の温度差が生み出す風も、魚の活性に大きな影響を与える。




春先から梅雨入りにかけて

風と水温の関係

無風時

追い風の釣り場

向かい風の釣り場
春先から梅雨入りにかけての晴れた日は、午後から強い南風が吹く。この風は時には台風並みの強さになる。西伊豆や沼津の向かい風もしくは、横風となる釣り場では、投げることもままならない。こんなときでも、沼津の西浦から江梨にかけては、風裏となるため竿が出せる。しかし、なぜかこの地区は魚全体の活性は低い。

同じく西伊豆の平野部がある地区では、同じ時期の晴れた日の夕方から、強い北東風が一晩中吹く。この場合もマダイの活性が落ちる(背後に高い山のある地区は、その山が天城からの吹き降ろしの風を遮ってくれるので、この限りではない)。

なぜ強い追い風となる釣り場では、魚の活性が落ちるか。それは冷たい底潮が影響している。
陸地に近くて浅い海は、日光により海水が温められやすい。これは水温が低い時期は、マダイにとってプラス要因なのだが、残念なことに沖へ向かって強風が吹くと、せっかく暖められた海水が沖へと流れ出てしまう。その暖かな海水が無くなった分を穴埋めするように、深海から冷たい底潮が湧てくる。底潮は冷たいうえに、酸素濃度が低いので、マダイの活性が下がるのだ。
また、底潮はプランクトンが少ないので、とても澄んでいる。風が吹いていなくとも、普段は見えない海底が、はっきりと見えるときは、底潮が湧いた可能性があり、活性が低いと考えてよい。

これらの風は、陸地と海の空気の温度差によっておこる。よって温度差の少なくなる朝夕は、一時的に風は収まる。また水温の低さから、日の差さない夜間は魚の活性が低い。このことから、よく晴れた日は、風の吹く前の朝マヅメ、もしくは曇りの日の朝夕のマヅメ時が狙い目になる。

なお、GW頃は赤潮が湧きやすい。赤潮は海全体に広がることは殆ど無い。赤潮は潮の流れの弱いところに溜まりやすいので、潮が通しやしいポイントを選ぶとよい。ただし、このような潮のよく通すポイントでも、一時的な赤潮の通過はある。

初夏や秋

初夏や秋は北東風が吹くことがあるが、さほど強くはなく、また水温が高い時期なので、大きな影響はない。逆に煮えた海水が程よい水温まで下がって、マダイには都合が良いのかもしれない。


ウネリに注意
この時期に一番影響が強いのは黒潮と台風だろう。
黒潮の影響が強いときは、南伊豆から沼津方面への早い潮が流れる日が多い。また、黒潮の影響が強くなると、水温が一気に上昇して、魚全体の活性があがる。逆に黒潮の影響が弱い年は、マダイが釣りにくい年となる。

台風が来ると、強烈な風とウネリで海は大荒れとなる。当然、台風通過中は釣りにならないが、台風が九州の向うにあって、小さなウネリだけが届いているようなときは、マダイの活性が高くなる。普段のこの時期の西伊豆は、湖のような海面であり、また高水温も手伝って、海中の酸素濃度が低くなっている。遠くにある台風の生み出す適度なウネリが、磯や堤防にあたってサラシとなり、海中に酸素を送り込んでいるからかもしれない。

一方、台風通過後は、濁りとゴミにより釣りにならない。河川のある場所では、海底に積もった土が、エサ場となる岩場や根を覆い尽くすので、マダイの食いが落ちてしまう。通常は1、2週間もすれば、元の海に戻るが、台風の規模によっては、海底の生物や海草に大きなダメージを与え、その影響が翌年まで残ることもある。

晩秋から冬にかけて

晩秋から冬にかけては、強烈な西からの季節風が吹く。太平洋側を通過した低気圧に向かって、大陸から張り出してきた高気圧から風が吹きこむためだ。沼津や西伊豆は駿河湾を渡ってきた風が直接吹くので、風は台風並みの強さとなり海も荒れる。この風が吹いた日に竿を出せるのは、ほんの数箇所しかない。釣行は諦めた方が無難だろう。ただ、西風の吹く前日もしくは、西風が吹きだしてから3日後あたりの日は無風で暖かく、好条件のことが多い。こんなときはチャンスとなる。ただし、西風や低気圧でのウネリが残っていることがあるので、注意すること。

西風で波をかぶる堤防

荒れた磯


地区別の攻め方

沼津方面

沼津から大瀬崎にかけてを、ここでは沼津地区とする。沼津は駿河湾の最奥に位置し、さらに大瀬崎からが入り江状となっているため、荒れにはめっぽう強い。また、護岸も多く、東名ICから釣り場が近いので釣行しやすい反面、独特の地形をどう攻略するかが、ポイントとなる。

地形の特徴と攻め方 〜静浦港から内浦〜

この地区は急深な海であるが、砂地は割りと近い。海岸線の多くが埋立地であり、一見、釣りやすそうに思えるが、実際はかなり手ごわい海である。


沼津の護岸

急峻な斜面下に護岸がある

護岸前は高い基礎が沖に続く

静浦港から内浦までの海の特徴

一見どこも同じように見える海だが

実は海底の変化は大きい。
背後の急峻な地形が、そのまま
海の中に続いていると思ってよい。

沼津はリアス式海岸である。背後には山が迫り、海は小さな入り江が連なっている。特に江之浦から先はその傾向が強い。背後の複雑な地形の山や丘に対して、護岸は単調に見えるため、どこで竿を出しても同じよう思えてしまう。しかし海底の水深はかなり違う。その海底の地形を把握することが、マダイを狙う上で重要なのである。

極端な例では、同じ場所から右に投げれば水深10m、左に投げれば水深60mといった感じである。よって、同じ護岸でも竿を出す位置、投げる方角によって、難易度が変わってくる。水深が15m以内の浅い場所は釣りやすいが、極端に深い場所は釣り辛い。

なぜ、深い場所は釣り辛いのか?それは基礎や根に、道糸や仕掛けをやられやすいからである。この一体の海岸線は、殆ど埋め立てられて護岸となっている。図のように、入り江にある護岸の場合、護岸中央部はかなり深い海を埋め立てられて築かれている。よって、かなり沖合いまで背の高い基礎が入っている。このような場所でマダイ狙いのセオリーどおりに、この根と砂地の境目を狙うと、仕掛け回収のたびに、途中で仕掛けが基礎に引っかかる。これを避けるために遠投しても、泥底であり海底の変化に乏く、マダイのアタリは望み薄となる。また、仮にマダイを掛けたとしても、基礎により、道糸から切られてしまう。

このことから、快適な釣りをするには、空いている時間に到着し、数箇所で投げてみて底の状態を調べ、海底の様子を把握しておくと良い。また、それが出来なくても、背後の地形を見れば、ある程度は予測がつく。

ポイントだが、岬の間にある護岸では、一般的に護岸の両端は浅く、中央部が深い。
護岸中央は基礎または、岩盤の駆け上がりのみが海底の変化であり、それ以上遠投しても、殆どが泥底である。一方、護岸の両サイド付近では、沖合いに遠投しても、岬から続く海底の掛け上がりが狙える。これにより基礎や岩盤からの道糸の損傷も防げる。また、マダイは護岸の両サイドから回遊してくると思われるため、ポイントとなりやすい。

沼津では急な掛けあがりの根に道糸や仕掛けを引っ掛けないように、道糸自体に浮力のあるPEラインを使うと釣りやすい。ただし、PEラインではその伸びの少なさから、魚の食い込みが浅く、アタリがあってもバラすこともある。また、沼津は意外と流れが早くて、PEラインでは流されて使いづらいこともある。そもそも、PEラインを使わないと、仕掛け回収もままならないような釣り場は、本命が掛かったときにバラす確立が非常に高い。よって、この地区で快適な釣りをする上でも、ポイント選びが重要なのである。


地形の特徴と攻め方 〜内浦から大瀬崎〜

地磯について

地磯は沖までゴロタが
続くので釣り辛い。

ゴロタは浅場が沖に続く
この地区は、埋め立てがあまり進んでいない。特に木負から先は自然が多く残る地区である。護岸もあるが殆どは堤防である。

護岸は静浦から内浦地区と違って、入り江の奥にこじんまりとある。この入り江の奥にある護岸は、水深が比較的浅い。春先の水温が低い時期は、この水深が浅い護岸がマダイのポイントとなる。また、海底もガケのようになっていないので、静浦から内浦地区よりも攻めやすい。

一方、堤防は潮のよく通す位置に作られており、マダイを狙いやすい。考慮すべきは、各堤防の水深の差である。たとえば、木負堤防や長井崎の突堤は、先端から遠投すれば、水深は軽く30mを超える。一方、久連の堤防は遠投しても6、7mしかない。足保はその中間で15mといったところ。

特筆すべきは、この地区には幾つかの潮干狩り場があるということだ。浅場は春先の低水温期でも、日光により海水が温められやすい。潮の流れによっては、この浅場で温められた海水が、マダイポイントへと流されてくる。春先の低水温期にマダイを狙う上で、これは好条件だ。また、浅場から来る潮の流れは、沖へと払う潮でもあり、沖からマダイが回遊してくる条件ともなる。

楽に降りれる磯が多いのも、この地区の特徴だ。しかし、磯の海底はゴロタ場となっている場合が殆どだ。遠投すれば砂地まで届くのだが、ゴロタと砂地の境目がガケのようになっており、仕掛けの回収すらままならない場合が殆どだ。私の知りうる限り、この地区で投げ釣り可能な磯は、久連、立保、古宇、江梨、大瀬にそれぞれ1箇所づつしかない。ただし、それら釣り場はゴロタと砂地の境目が近いから投げ釣り可能なだけで、魚を掛けた時の寄せの難易度は、西伊豆の磯に比べてはるかに高い。


養殖イカダについて

沼津は養殖が盛んな地域であり、海には無数の養殖イカダが浮かぶ。一面にイカダが浮く地区もあり、イカダを目にしながらの釣りは避けられない。イカダのロープを避けて投げるのも、沼津で釣りをする上で重要である。

三浦半島のワカメ養殖のイカダは、固定ロープが岸へ繋がれている場合が多く、このロープが釣りの支障になる。一方、急深な沼津では固定ロープは、イカダから割と近い場所で、海底に沈められた巨大なアンカーに繋がれている。そのアンカーがある場所には、大き目のブイが浮かんであるので、そこから外にはロープが無い場合が多い。このアンカーから手前はまずロープに引っかかることはない。また、ロープはイカダから図のように伸びているため、イカダの正面に釣り座を構えれば、これもロープに引っかかることなない。

養殖イカダ




注意点として、イカダは射程距離内にあることが殆どなので、投げすぎてイカダに引っ掛けないようにしよう。また、漁師さんがイカダでの作業中は、イカダ付近に投げないように注意したい。



西伊豆方面


急峻な海岸線

西伊豆はリアス式海岸

入り江の中の堤防


地形の特徴と攻め方 〜堤防〜


大半がテトラで構成された堤防
西伊豆は奥深い入り江が多く、堤防はその入り江の中にある。台風のウネリは南からやってくるので、港はそのウネリを避けるように、入り江の左手にあることが多い。堤防の多くは波受けがあり、波の影響が大きい堤防は、更に堤防の沖側にテトラが入っている。殆どの堤防は、付け根が磯になっており、堤防の中間付近から先は、海底が砂地となっている。

マダイは沖から回遊してくると思われる(浅い入り江の奥から回ってくるとは考え難い)。回遊ルートは根と砂地の境目や、大きな掛けあがりなどだ。これと、西伊豆の堤防の立地条件を照らし合わせると、ポイントが見えてくる。

一番のポイントは、堤防中間付近。沖へと続く根と砂地との境目を狙える。堤防付け根付近も、遠投すればこの根と砂地の境目に届くこともある。堤防の先端よりに他の釣り人がいるときは、投げ釣りの射程距離を活かして、快適な釣りをしよう。

次は潮通しの良い先端。遠投すれば、急な掛けあがりのある堤防もある。また、基礎と砂地の境目も絶好のポイントだ。必ず基礎際には1本投入しておこう。

マダイ狙い適した潮の流れ

浅瀬は日光で海水が
温まりやすいス

沖に払う潮が流れると
温かい潮が釣り場の前を流れる

また、潮の流れも重要だ。伊豆の入り江の奥の大半は、浅い砂地になっている。よって、晴れた日は海水が温まる。

西伊豆の潮の流れは、通常、上げ潮が南伊豆から沼津方面へ、下げ潮はその逆となる。沖に潮が流れるとき、入り江の中の潮の流れは、沖の潮に引かれる形で潮が流れる。図の例では沖の流れに対して、釣り場となる堤防の前を、引かれ潮が沖へと流れている。釣り場にこの潮が流れるときにマダイが釣れることが多い。

考えられる理由は2点ある。1点目は回遊する魚の特性。底のエサを食う魚は潮の流れに逆らって泳ぐので、沖に払う潮が流れると、沖からマダイがエサを探しながら泳いで来やすいのだと思う。2点目は海水の温度。特に梅雨時期までは、海水の温度が20度以下である。このようなときは浅瀬で温められた海水が、釣り場の前を沖へと払う時が良いのだと思う。

逆に、図のような釣り場では、沖の潮の流れが図と逆の向きとなる場合、釣り場の前は潮裏となる、まったく潮が流れない。このようなときは、マダイは望み薄である。

これらの理由から、夕マヅメ以降にこの潮が流れるよう、釣り場を選択したり、釣りの日程を調整して、マダイを狙うと良い。西伊豆の殆どの釣り場は水深があるので、潮位の高さは食いには全く関係しない。食いに関係するのは、潮の流れる向きと強さである。

地形の特徴と攻め方 〜地磯〜


崖下の大半はゴロタ場

西伊豆のゴロタ場は荒れに弱い
磯は苦労して歩いていく分、堤防より潮通しがよい釣り場が多い。ただし、西伊豆の急な崖下にある磯は、大岩がゴロゴロと散らばったゴロタであり、意外と投げ釣りが出来る場所は少ない。大瀬崎から戸田、戸田から土肥、八木沢から宇久須、雲見から南は、殆どの海岸線がゴロタである。

先が投げ釣りに適しているのは、1枚岩の磯である。磯によって岩の質が異り、波の侵食具合がかわるため、磯の足場の状態も異なる。黒く見える磯は、石が入った砂礫が固まったような岩だ。砂の部分だけが侵食されて、石が残り、岩の表面が凸凹していて、足場が悪い。夜釣りでは常に足元を気にする必要がある。逆に足場が良いのは砂が固まったような岩で構成された磯だ。場所によっては堤防と変わらぬ足場のよさで、釣りやすい。この手の磯は、遠めには白っぽく見える。 宇久須から松崎は前者の磯が多く、逆に雲見は後者の磯が多い。


足場の悪い磯1

足場の悪い磯2

足場の良い磯

なお、磯の安全や竿の出し方等については、地磯の館ページで詳しく解説している。磯に不慣れな方は、ぜひ一読願いたい。

磯の攻め方

沖に仕掛けを流して、根で止める
沖に大きく突き出した磯の地形は、図のようになっていることが多い。真沖はある程度の距離まで浅い(その先は深くなっている)。潮の流れが早いので、砂の堆積に乏しい。一方、岬の両サイドの海底は、すり鉢上に深くなっている。流れも沖に比べると、多少緩やかで、海底には入り江の奥の川から流れ出した砂が堆積している。無論、投げ釣りに適しているのは、入り江向きである。

図のように沖に流れる早い潮に引かれる形で、入り江の中から潮が払うときが最大のチャンスだ。入り江の中向きに投げて、道糸を張ると、仕掛けは沖に流され、沖側の掛けあがりで止まる。この止まったところでアタリをまつ。ただし、あまり早い潮が流れているときは、岬から続く沖の根の上を、仕掛けが這い上がってしまうので、そのような場合は、竿の本数を減らし、観音回しで手返しよく打ち返す。道糸であるが、PEラインは流れに弱いので、ナイロンラインが良い。



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