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参院選の東京選挙区で候補者を一本化した民主党で混乱が広がっている。菅直人元首相が公認を取り消した大河原雅子氏の支援を表明するなど、党の一本化は形骸化。候補者調整が不調に終わり、執行部の指導力不足が浮き彫りになった。
菅氏は3日の自身のブログに「これまでも原発ゼロを鮮明にしてきた大河原さんを支援してきた。民主党の公認がなくても全力で応援する」と記した。さらに「電力総連などに気兼ねして原発ゼロを鮮明に出す候補者は少ない」と、身内への不満も書き込んだ。
民主党が独自に行った6月下旬の情勢調査では大河原氏より鈴木寛氏の方が優勢で、「民主党の支持層では鈴木氏が大河原氏の倍以上の支持を集めていた」(幹部)という。この結果をもとに、海江田万里代表や細野豪志幹事長ら党執行部は2日夜、鈴木氏への一本化を決めた。細野氏は3日未明にツイッターで「生き残るために戦い抜くしかない」と主張。海江田氏は3日放映の日本テレビの番組で「心を鬼にして一人に絞った」と強調した。
だが、党内には執行部の方針が行き届かない。有田芳生参院議員は3日、自身のツイッターで「大河原必勝の輪を広げていく」と発信し、中堅議員は「執行部の判断にかかわらず大河原さんをやる」という。鈴木氏を支援する中堅は「一本化の判断が遅すぎた。仕方ない」とあきらめ顔だ。
無所属で立候補して鈴木氏と争う大河原氏に対しては「離党するのが筋」(別の中堅)と処分の対象になるとの見方もある。だが党内の亀裂拡大を懸念する党幹部は「公示2日前の公認取り消しの方に無理がある」と慎重だ。大河原氏を支援する議員についても、今のところ黙認する構え。ある閣僚経験者は「東京選挙区が、まとまれない民主党の象徴になった」と嘆いた。