生活保護法による医療扶助は、本法の扶助の一つとして、困窮のため最低限度の生活を維持することのできない方に対して医療の給付を行うものです。
国民の医療を保障する制度としては、本法のほか健康保険法、国民健康保険法等の医療保険制度、感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律、障害者総合支援法等がありますが、これらの制度はいずれも適用範囲が限られている等から、最終的な医療の保障は医療扶助が行うことになります。
この医療扶助は、各市町村を担当する福祉事務所が、生活保護法による指定を受けた医療機関に委託して行っています。
医療の委託から診療報酬の支払までの流れは、次のとおりです。
生活保護法による指定医療機関の診療方針及び診療報酬については、国民健康保険の診療方針及び診療報酬の例によることとされています。現在、国民健康保険の診療方針及び診療報酬は、健康保険の例によっています。したがって、生活保護法の診療方針及び診療報酬も健康保険の例によることとなります。
また、後期高齢者医療の対象の方については、後期高齢者医療の診療方針及び診療報酬の例によることとされています。
なお、これらの基準による診療が生活保護として適当でないとされる場合があり、具体的には次のような診療制限があり ます。
福祉事務所が、指定医療機関に対し被保護者の医療を委託した場合は、医療券を発行しますので、医療機関は、厚生省令 (昭和51年8月2日厚生省令第36号)に定められた各法共通の診療報酬明細書(以下「省令レセプト」という。)に必要事項を 転記のうえ、他の医療保険及び公費負担医療の請求分とともに編てつし、社会保険診療報酬支払基金神奈川支部へ請求します。 (生活保護法未指定医療機関は、省令レセプトが返戻されます。)
その取扱いは、次によります。
新規受診者(初回)に対する医療を委託した場合は、患者ごとに単票形式の
継続受診者に対する医療を委託した場合は、指定医療機関ごとに患者をまとめた名簿形式の
なお、調剤券として発行した場合は、新規、継続分ともに、「指定医療機関」の欄に「指定薬局名」が記載されます。
発行された医療券から省令レセプトに必要事項を転記して、診療報酬を請求します。この際、転記に誤りがないよう十分留意してください。
原則として、生活保護法単独分、医療保険・他法公費併用分ともに、被保護者(被保護世帯)ごとに設定された固定番号を使用しますが、保護の停廃止や本人支払額の変更等受給状況が変更する場合がありますので、毎月送付する医療券で必ず必要事項を確認のうえ請求してください。
なお、受給者番号に変動が生じた場合には、福祉事務所から指定医療機関に連絡しますので、診療報酬請求時の転記の際に注意してください。
保管期間は1年間とします。
公費負担者番号はこちら→公費負担者番号
福祉事務所のケースワーカーが、医療扶助を受給中の患者の主治医を訪問して、患者及びその家族の指導上必要な事項についてご意見を伺います。これは、委託患者の状況を把握して適切な生活指導等を行うために行われます。
なお、病状調査の内容は概ね次のとおりです。
これらの事項等について問題がある場合は、主治医と十分協議のうえ、患者及びその家族に必要な指導・援助・措置を行 うことになりますので、ケースワーカーの行う病状調査については、その趣旨を御理解のうえ、率直な御意見をお寄せいた だくようお願いします。
※ 病状調査等は、個人情報の保護に関する法律第23条第1項第1号の「法令に基づく場合」に該当しますので、被保護者の同意がなくても、福祉事務所に回答することができます。
被保護者に対する処遇を充実するため、次のものが支給される場合があります。
1 入院患者に対して、毎月定額の範囲内での日用品費。
2 失禁患者に対して、必要に応じて毎月定額の範囲内でのおむつ代(紙おむつ代又はおむつ洗濯代)。
3 入院に際して、寝巻又はこれに相当するものが必要に耐えない場合の、被服費。
4 入院、退院あるいは通院等のために必要な移送費。
5 治療上必要な治療材料として、例えば義肢・装具・眼鏡・収尿器・ストマ用装具等