戸田建設は、放射性物質に汚染されたコンクリートを破砕し、骨材としてコンクリートに再利用した際、通常の製造方法で放射線量を約40%低減できることを実験で明らかにした。今まで、汚染されたコンクリートは基本的に廃棄物として処理しており、再利用を前提とした実証実験は初の試みと、7月12日に発表した。
実験には、放射能濃度が1kg当たり約1万ベクレルのコンクリートを使用。破砕時の放射線量は1時間当たり0.348マイクロシーベルトを示した。その後、通常の方法でコンクリートを製造して何も策を講じなくても、最終的に同量を約40%低減できることが分かった。さらに、普通細骨材の代わりに、砂よりも比重が重く放射性物質を遮蔽する効果がある銅スラグなどの重量骨材を使用したところ、同量は3~5%低減した。
東日本大震災の復興では、埋め戻しやコンクリート打設などに使用する砂や砕石といった骨材の不足が深刻な問題となっている。さらに福島第一原子力発電所の事故の影響を受けた地域では、既存のコンクリート構造物を撤去する際、汚染されたコンクリートの大量発生が予想され、処分地の確保や処分方法の確立などが課題として残っている。
汚染されたコンクリートを復興工事で骨材として使用できれば、骨材不足と放射性廃棄物の処理という課題を同時に解決できる。そういった背景の下、戸田建設の実験が、環境省の2012年度除染技術実証事業の一つに採択された。
放射線量を低減したコンクリートは、汚染廃棄物の中間貯蔵施設のく体や地下構造物など、常時、人が近付かない構造物での使用が考えられる。
ただし使用するとしても、安全で効率的な骨材製造技術の確立や製造した骨材の品質管理方法などを検討する必要がある。また、建設作業従事者やコンクリート構造物の利用者、周辺住民などの健康リスクなども慎重に評価しなければならない。
(日経コンストラクション 真鍋政彦)
[ケンプラッツ 2013年7月24日掲載]
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コンクリート、戸田建設、放射性物質、汚染
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