2013-07-23 事実を報道できないこの国のマスメディアのチキン(臆病)な体質
■[日本の食の安全]食の安全が守られていない重大な事実を報道できないこの国のマスメディアのチキン(臆病)な体質
さて参議院選挙も終わり、23日には、日本がいよいよTPPに正式参加することになります。
この機会に当ブログとして一度しっかり取り上げたいと思っていた重要なテーマ「日本の食の安全」について、今回から何回かに分けて角度をいろいろと変えてエントリー、読者のみなさんとともにしっかりと考察してみたいと思います。
日本の食の安心・安全を考える上で、特に重要と思われるものに食品のトレーサビリティ(traceability)がしっかり担保されているのかという問題があります。
トレーサビリティとは日本語では追跡可能性(ついせきかのうせい)ともいいます、つまり特に食品分野で物品の流通経路を生産段階から最終消費段階までしっかり追跡が可能なことです。
原料や産地が明確になっており、どこでどのような加工がほどこされてどのような添加物が含まれているのか、すべてが消費者に明確になっているか、またその情報の信頼度も高いか、偽装表示、産地偽装問題などがないかも含まれます。
日本の場合、食料品や食料加工品の原料の大半が輸入に頼っていますので、食品によっては原産国の栽培現場や養殖現場にまで遡ってしっかりトレーサビリティを担保しなければ、安全は守ることができないわけです。
第一回目の今回は、「日本の食の安心・安全」の目を覆いたくなる悲惨な現状と、それをまったく報道することが出来ない、この国のマスメディアのチキン(臆病)な体質について、ファストフードの雄「日本マクドナルド」の中国産鶏肉問題と某100円寿司の寿司ネタ問題のふたつの事例を示して取り上げてみたいです。
■日本マクドナルドが、病死した鶏肉を長期にわたって加工していた中国の「河南大用グループ」から調達〜『週刊文春』
今春、『週刊文春』は何週にもわたる連続キャンペーンをしました、テーマは中国から輸入される「毒食品」についてで、とくに我々が普段からよく利用する外食産業やスーパーの加工食品・PB商品で、多くの中国産食材が使われていることに関してその危険性を含めて取り上げていました。
『週刊文春』記事によれば、中国の養鶏場で起きていることは「食の安全」に関しては脅威そのものです。
今年の1月、中国のネットに「河南大用食品グループが、病気で死んだ鶏を長期にわたって加工販売し有名ファストフード店で売っていた」という情報が流れます。
「有名ファストフード店とは、中国のマクドナルドとケンタッキー・フライド・チキン(KFC)」であり、情報が流れたのは中国KFCが「『成長ホルモンと抗生物質を過剰に投与した鶏』を使用していた事実を認めて謝罪した」直後でありました。
同グループは、「年間4億羽を出荷し、世界中に輸出」する、鶏に関する「日本や中国のファストフードチェーンの調達基地」であり、取材陣は、同グループの本拠地である中国・河南省で取材を進めます。
そこで彼らが知ったのは「抗生物質なしでブロイラー産業が成り立たない」ことや、養鶏場で生産される鶏が「仲介業者に買い叩かれている」という実状であります。
また、さらに、鶏のエサとして使われるトウモロコシには、人間の神経を侵す「有機塩素」を含む農薬が使われている可能性も出てきます。
そして、日本マクドナルドが文春の取材に対して、「鶏肉原料の一部に河南大用グループの鶏肉を扱っている」とようやく認めたのです。
今回は、たまたまマクドナルドの死肉がヤリ玉にあがっているものの、「中国産鶏肉調整品の代表例は、唐揚げ、焼き鳥、フライドチキン、チキンナゲット、ミートボール、竜田揚げ」であり、中国から「輸入された22.2万トンのうち、半分は外食産業で消費されている」という現実があります。
ことはファストフード全体の問題なのです。
さて、今回の日本マクドナルドは、文春のしつこい取材攻勢でようやく「中国産鶏肉」が原料であることを認めましたが、現在でもHPでチキンナゲットが「中国産鶏肉」が原料の一部であることを明示していません。
つまり日本マクドナルドでさえ食のトレーサビリティ・追跡可能性を隠ぺい・隠匿(いんとく)しているのです、消費者に真実を伝えていません。
さらに恐ろしい事実としてこの、日本マクドナルドが病死した鶏肉を中国から輸入していた事実を、日本のマスメディアはどこもこの文春記事の追従報道をすることを避けているのです、完全に無視しています。
今に至るもTVや新聞はまったくこの日本マクドナルドの問題を取り上げていません。
・・・
■回転寿司のネタの正体〜影武者達への鎮魂歌〜
さて100円寿司の寿司ネタも「食の安全・安心」の観点からは悲惨な状況なのですが、これもマスメディアが取り上げることは絶対にありません。
回転寿司のネタの正体については、こちらのブログサイトがたいへん詳しく取り上げられていて参考になります。
回転寿司のネタの正体〜影武者達への鎮魂歌〜
関心ある読者は是非上記ブログで直接お読みいただくとして、興味深かった点を3箇所ほど失礼して引用してご紹介。
まずはエビ。
甘エビはアルゼンチンアカエビが正体です。
こいつがウニと並んで、溶液に浸ってる期間が長いというか添加物の巣窟のような気がします。
甘エビに限らず、ボタンエビやシマエビの正体もこれ。
大きさで仕分けされます。
北米やロシアで獲れたエビが中国に運ばれ溶液処理され日本に送られます。
「中国に運ばれ溶液処理」とありますが防腐剤等の処理のことですね、筆者によればエビは「こいつがウニと並んで、溶液に浸ってる期間が長いというか添加物の巣窟」なのだそうです。
で、ウニ。
実は100円回転寿司ネタの中で偽装でないネタもあります。
それはウニ、特殊な食感なんでやはり代替品が見つからないようです。
とにかくコストの安いところから大量に仕入れてます。
それも安い時期に極端な話、1年分の消費量を一度に仕入れることもあります。
問題は、鮮度が少しでも落ちればウニは溶けてきます。
それを防ぐために、まずは防腐処理のため酸化防止剤を散布、その後、ミョウバン(水酸化アルミニウム系化合物)を塗布。これが凝固剤になりウニが溶けるのを防ぎます。
安物のウニが総じて苦みがあるのはこのミョウバンの苦みです。
記事に出てきた溶液、痛みの激しいネタには殺菌剤としてカビキラーやワイドハイターでもお馴染みの次亜鉛酸ナトリウムが入っています。
ウニは数少ない「偽装でないネタ」なのだそうですが、その代わり「防腐処理のため酸化防止剤を散布、その後、ミョウバン(水酸化アルミニウム系化合物)を塗布。これが凝固剤になりウニが溶けるのを防ぎ」、「痛みの激しいネタには殺菌剤としてカビキラーやワイドハイターでもお馴染みの次亜鉛酸ナトリウムが入って」いるのだとか。
最後にイクラ。
子供大好きのイクラの正体はマス子、あるいは人工イクラ。
人工イクラって実は、食材のために開発されたものでなくカプセル錠剤の開発中にできた偶然の産物らしいです。
人工イクラ、実は下手な放射性物質よりも発がん性、催奇形性の高いカラギーナンていう粘度安定剤使うんです。
書籍の中には今でも「超危険な寿司ネタ」として紹介されていますが、私、いまこの人工イクラってほとんど流通してないような気がするんです。
そう思う理由は簡単、マス子のほうがコストが全然安いし作るまでの期間が短いから。
「ほとんど流通してないような気がする」そうですが、「下手な放射性物質よりも発がん性、催奇形性の高いカラギーナンていう粘度安定剤使う」のが人工イクラなのだそうです。
この100円寿司の寿司ネタ問題、ここでも食のトレーサビリティはまったく担保されていません、それどころか看板に偽りがありとまではいえませんが、詐欺行為ギリギリのかなり危ない状態です。
低価格の回転寿司には小さなお子さんを連れた若い家族がたくさん利用しているわけですが、大多数のお父さん・お母さんはこれらの深刻な事実を知りません。
なぜならマスメディアが絶対報道しないからです。
・・・
■「食の安全」が守られていない重大な事実を報道できないこの国のマスメディアのチキン(臆病)な体質
日本マクドナルドの問題も100円寿司の寿司ネタの深刻な問題も、日本のマスメディア、テレビや新聞は絶対報道しません、いやできません。
日刊SPAの記事からテレビ局関係者の発言を紹介。
(前略)
しかし、別の“重大”な問題もある。某局の情報バラエティ番組の製作を手がける制作会社のディレクターは言う。
「いま週刊誌などで報じられている中国産食品の多くは、原産地表示の必要のない加工食品や、レストランの食材など外食産業や流通大手で使用されているでしょう。ファストフード、居酒屋チェーン、牛丼チェーン、回転寿司チェーン、弁当チェーン、そして大手スーパーやコンビニ……。みんなテレビ局の優良スポンサーだから、できるはずないじゃないですか。とくに最近では、低予算でそこそこの視聴率をとるとあって、食品会社や外食産業とのタイアップ番組が各局とも花盛りです。いままで以上に、スポンサーには気を遣わざるをえないので、自分の首を締めるような企画をするわけないじゃない。会議では何度もネタとして提案はされるんですが、現状ではすべて却下されている状況です」
日本マクドナルドが鶏肉の原料の一部を、病死した鶏肉を長期にわたって加工していた中国の「河南大用グループ」から調達していたことが『週刊文春』の報道で明らかになったが、テレビではまったくといっていいほど報道されなかった。これもディレクター氏によると「スポンサータブーだから」だと証言する。
(後略)
中国毒食品をテレビが報じない理由はスポンサータブー!?
つまりです、この一言ですべてです。
ファストフード、居酒屋チェーン、牛丼チェーン、回転寿司チェーン、弁当チェーン、そして大手スーパーやコンビニ……。みんなテレビ局の優良スポンサーだから、できるはずないじゃないですか
「スポンサータブーだから」、日本マクドナルドが鶏肉の原料の一部を、病死した鶏肉を長期にわたって加工していた中国の「河南大用グループ」から調達していた事実も、回転寿司チェーンの寿司ネタがとんでもないことになっている事実も、この国では一切報道されないから、多くの消費者はその事実を知ることができないでいるのです。
これがこの国の「食の安全」の悲しい現状です。
まず、「食の安全」が守られていない重大な事実を報道できないこの国のマスメディアのチキン(臆病)な体質こそ糾弾されるべきでしょう。
TPP参加もけっこうですが、現状でも残念ながら「食の安全」が正しくチェックされていないこの国において、安全基準のグローバル化などと称して食料輸入のさらなる「規制緩和」が施されるとしたら、この国の食の安心・安全にとり深刻な状況を招くことになりかねません。
「食の安全」の確保、食料品のトレーサビリティの消費者への正確な開示、くれぐれもこれらの慎重な議論が求められるところです。
■「日本の食の安全」について考察するシリーズ
第一回 食の安全が守られていない重大な事実を報道できないこの国のマスメディアのチキン(臆病)な体質
(了)
(木走まさみず)
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「下手な放射性物質よりも発がん性、催奇形性の高いカラギーナン」という程恐ろしいものではなさそうです。幼児に対して気をつけようくらいみたいです。
食の安全に対する報道に対しては仰るとおりマスコミは甘いですし、日本の行政のチェック機構も甘く感じます。