編集部 メロディでデビューされるまで投稿は何回くらいしましたか?
(以下:編)慎結 花とゆめに1回、別冊花とゆめに2回、メロディに5回です。
(以下:慎)編 投稿しながら、次回作に向けて注意や工夫していたことはありますか?
慎 毎回違ったんですけど、まず背景と人物の描線の区別…人物が背景に埋もれてしまわないようにとか。そしてまた次の投稿で何か、例えば『キャラクターを立てて下さい』って批評されたら、今度はその工夫してみたり…そうやって課題は増えていくんですけど、克服したことにしてひとつひとつ(笑)。
編 それは、課題をひとつひとつ確実にクリアしようとするけど、できなくてもまた次の課題に取り組むと。
慎 はい、批評シートを目の前に置いて、次回の投稿作を描きました。クリアできなかったことは、デビューしてからもずっと自分の課題にしていました。ベタフラッシュとか苦手な効果をわざと毎回入れて練習していました。
編 持ち込みの経験はありますか?
慎 メロディへの投稿の1回目は持ち込みでした。その時に担当さんについてもらって。もし受賞レベルでなかったら投稿はやめようと思ったんですが、『最終選考には残るだろう』って言われたのでそのまま投稿しました。
編 担当からの印象的なアドバイスなどはありましたか?
慎 『双子のキャラクターの中で物語が完結してしまっていて、読者の気持ちが入り込む隙間が無い』って言われたのと、『ページをだらだら使い過ぎ』だと。最初は意味がわからなかったんですが、時間が経ってから、読者を置いてきぼりに絵を描いただけだったなって気づきました。あと『メロディでは読み捨てでなく、何度も読みたくなる作品を描いて欲しい』って言われて、読んで良かったって読者に愛されるものを描こうと思いました。
編 デビューされてからの作品は、物語に必要なだけではないキャラクターの表現がなされていたカンジですよね。デザインも含めて。
慎 そうですね。次はこのキャラクターに何を着せようかとか(笑)。
編 確かに描いているご本人が楽しそうな印象も持ちました(笑)。
編 プロ作家になってみて、投稿時代の反省点などはありますか?
慎 もうちょっと、投稿先に載ってる作品を研究するべきだったと思います。
編 ああ、すごく大事なことですね。
慎 「自分は自分だ」って投稿者ならではの傲慢なところがあったかなって(笑)。雑誌には雑誌の特色があって、どういうところが好まれるのか違うし。
編 市場の研究無しに就活するようなもんですよね。ラーメン食ったことないのに、日清食品受けるみたいな(笑)。
慎 遠藤淑子先生が大好きで、「遠藤先生と一緒に載りたい」っていう理由だけでした。
編 デビューしてからの困難はありましたか?
慎 私より後にデビューした人たちがみんな上手くって。そんな頃に担当さんに言われた言葉が心に残っていて『このままじゃ、ちょっといい話描くだけの新人さんで終わっちゃうよ』って。それは嫌だと思って。白泉社で描いてる先生方の作品は、いい話で終わってるだけじゃなくて、だから私も好きだし実際に売れてるんだなって…私もそんな作品を描きたいと思うようになりました。あと、絵に関しては『線を減らして』って言われました。大学受験のデッサンのクセが残っていて、画面が汚くて暗かったんですね。読みにくかったと思います。だから、思いきってはぶくようにしました。
編 役に立つアイデアのソースはありますか?
慎 中華レストランのバイトの経験が役にたちました。いろんな人がいるんですよ。メジャーデビュー目指しながら鍋振ってるバンドマンだったり、弁護士目指してる人だったり。それにレストランの厨房は戦場なんですよ。スタッフの罵り合いばかりで(笑)。私が通った学校って年齢も志向も似たような人ばかりだったので余計に驚きの連続でした。
編 人間観察ですね。面白いことを見つけるクセはつけておくと良いですね。
慎 あと本は何でも好きです。エッセイを特に。伊集院光さんの物の見方が大好きで、自分も真似てみようと思いました。映画もつまらないならつまらないなりに「なんでつまらないのか? 自分ならどうするか?」とか考えて何度も同じ作品を観たりします。
編 今日はありがとうございました。最後に投稿者の方へひとことアドバイスがあれば?
慎 投稿していた時の自分に言うなら「悩んでないで、さっさと描け!」ですね(笑)。こんなの賞に入んないとか、編集者に笑われるとか、どうでもいいんだよと。描かなきゃ上手くならないんだし。デビューも全然ゴールじゃないし。描くだけだと。ありきたりかもですけど。担当さんに言われたんですけど、私の絵が変わっていったことについて『芸能人も見られて綺麗になるって言うけど、まんがも描いてりゃ洗練されてくるねえ』って(笑)。
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