岩手競馬最大のスターに何があったのか。岩手県警水沢署は２３日、飲食店で知人男性を殴るなどしたとして、岩手県競馬組合所属の調教師で、元騎手の菅原勲容疑者（４９）を現行犯逮捕した。

　水沢署によると、犯行時刻は２３日の午前０時２０分ごろ。岩手県奥州市内のＪＲ水沢駅周辺の居酒屋で被害者の男性（５１）が別の知人と飲食していたところ、菅原容疑者が１人で来店。顔見知りであったことから男性があいさつすると、激怒した菅原容疑者が殴ったり、髪を引っ張ったりするなどの暴行を加えたたため、店側が通報。駆けつけた警官に菅原容疑者が現行犯逮捕された。

　菅原容疑者は酒に酔っていたが泥酔状態ではなく、取り調べにも応じて容疑を認めた。同署によると、被害にあった男性は自営業で競馬関係の職業ではないが、菅原容疑者と顔見知りで、特別に親しい関係ではないという。

　同署は両者の間に何らかのトラブルがあった可能性も含めて動機などについて捜査を進める。

　同容疑者を知る関係者は「礼儀正しく温厚な男。暴力を振るうような人ではない」と話すなど、競馬関係者の間では動揺が広がった。また捜査関係者から「岩手の男なら競馬をやらなくても名前を知っている。あの有名人がなぜ？」といった声が上がるなど、驚きを隠せないでいる。

　菅原容疑者は１９８１年に騎手デビュー。９１年に１５０勝でリーディングジョッキーとなると、地方競馬を代表する名手として全国にその名をとどろかせるようになる。１９９９年にはメイセイオペラで中央競馬ＧＩのフェブラリーステークスを制し、地方競馬所属馬として初の中央ＧＩ制覇を成し遂げた。地方競馬歴代８位の４１２７勝を挙げ、昨年３月に引退。調教師に転向するといきなり５１勝を挙げ、勝率は全国２位。今年もここまで１５勝と順調なキャリアを築いていた。