殺人暴力集団「中核派」の似非脱原発フロント組織(NAZEN)等がこともあろうに、子どもがいてはいけない福島県内に子ども診療所を計画中であることをご存知だろうか。
しかも、3億円という巨額ながら、すぐに機能可能な診療所建設にはまったく足らない非現実的なカンパ目標額を掲げて募金を展開している。実は、3億円という金額では、まともな診療ができる診療所は建設できない。
このほど被災地の南三陸町で竣工した公立南三陸診療所では、3億円の診療所建設費と、3億円の診療機器購入費3億円のあわせて6億円が日赤などの募金でまかなわれたといわれている。
しかも、福島県内では、東京都内の一部地域よりも放射線量が低い地域が一部にはあるものの、やはり全般的に線量が高い地域が多く、さらには、福島第一原発では4号機の燃料プール倒壊による更なる過酷事故も心配されており、不測の事態が起きた場合のことを考えれば、福島県内での新たな診療施設、とくに子どもを対象にした医療施設をつくるべきではないというのが放射線防護市民運動の常識である。
福島県内は基本的にすべて子どもたちが住んではいけない地域と考えたほうが万が一のリスクに対応できるはずだ。現状、子どもが暮らしているからといって、そのサポートを口実に診療所を新設するなどということは、本来の子どもの被曝回避にはなんの役にも立たない。
県内の子ども救急救命医療を整備するのは、福島県庁や国の責任であり、市民運動等がこの下請けをするべきではない。多くの住民のかかりつけ医療機関として長年機能してきた既存の医療機関が県内での診療を継続することは否定しない。しかし、わざわざ福島県内に診療所を建設するメリットがどこにあるだろうか。
中核派は殺人・暴力活動の一方で様々なネットワークを作ってきたようだが、そうした同調者のネットワークを活かせば、福島県外で放射能汚染の少ない地域での「転地療養」、「転地診療」体制を組むことも可能なはずである。彼らのサイトを見ると、広島市の郊外に同調者の医師らによる診療所もあるようだ。もし、福島の子どもたちを本気で救いたいならば、そのような福島から遠い県外の診療所の近くに安全な食事を提供できる保養・滞在施設をつくり、子どもの体調管理や内部被曝検査は診療所で行うというのが基本だろう。
しかし、それでも、まともな臨床経験をもった小児科医や放射線防護の専門医を確保できる可能性はとても低い。
福島県内に子どもを中心とした診療体制を構築するのはきわめてナンセンスと言わざるを得ない。子どもの医療費が無料になることによって子どもが受診しやすい等と安易に考えることや、診療所が福島県民健康管理調査の検査の受託を目論むなどということは、まさに山下俊一らの立身出世のための子どもたちを実験材料にした甲状腺疫学調査に協力することであり、子どもたちの福島県内への足止めを狙う福島県知事らの策謀に手を貸すことに他ならない。
今求められているのは、常設の福島県内診療所ではなく、子どもを避難させる目的での福島県内各地でのキメの細かい巡回内部被曝検査・診断事業である。しかもこの事業は期限を決めて一斉に行われなければならない。もう一年以上も被曝の危険性に晒されている子どもたちを一刻も早く汚染の少ない地域に転地させ、食事や飲料水等からの内部被曝のリスクを目に見えるかたちで低減させることによって子どもの生物学的半減期を促進させることが大切である。専門家によれば、例えば、2ヶ月転地し、放射能の汚染がほとんどない食品や飲料を摂取し、汚染されていない空気を取り込んで元気に戸外活動に取り組むことを通じても、かなりの内部被曝の低減効果が期待できるとされる。
あくまで福島の子供たちを支援する医療施設や転地保養施設等のハコモノは汚染がほとんどない県外での創設が基本である。そして県内では常設の診療所等のハコモノは不要で、ホールボティカウンターを含む移動式検査室のユニットをまるごと運べる大型トラックと検査の専門家と診断の専門医の確保だ。放射線防護市民運動としてこれらを取り組むにしても、このような観点からの事業の構築が必要だろう。
子どもの内部被曝を軽減するもっとも有効な方法を選択するのが、放射線防護市民運動の基本である。
そのような観点から、ベラルーシなどに保養所を建設した広河隆一氏(報道月刊誌「DAYS JAPAN」編集長)が代表世話人となり、すすめられている沖縄・久米島における、福島の子どもたちの保養センター「沖縄・希望21」(仮称)の建設計画は、きわめてまっとうな計画といえるだろう。
広河氏は、すでに1991年に「チェルノブイリ子ども基金」を設立し、ベラルーシなどに保養所を建設してきた実績もあり、良心的な医療・教育関係者のネットワークも構築してきた。今回の計画では、すでに2000万円をこの計画の資金として寄付した歌手の石井竜也氏、久米島町の平良朝幸町長も協力しており、施設のもととなる陶芸工房の跡地建物の提供も決まっており、福島からクラス単位で月100人ほど受け入れるための改修計画も具体化している。
子どもを本気で守るためには、このように具体的な計画を早期に実現していかなければならないのであり、なんらの具体的な青写真も掲げることなく、実現可能性が少ない中核派系組織のプランは、組織の幹部の給料やボーナスを稼ぐための募金のための募金といわれてもしかたがないだろう。
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