今月初め、友人たちと忠清南道泰安郡を訪れた会社員のチョ・グンジュさん(26)は、ブログで満開に咲いた花の写真を見て、近くの花祭りに立ち寄った。入場料は9000ウォン(約800円)とやや高かったが、友人たちと良い思い出を作れると思えば惜しくはなかった。だが、会場に入ると、荒涼とした野原に無理やり植えたかのような花が咲いているだけで、特に目を引くイベントもなかった。チョさんは「入場券と一緒に会場内で使える2000ウォン(約180円)のクーポンを配っていることも、商売っ気を感じて不快だった」と語った。
各地方自治体が夏休みシーズンに観光客を呼び込もうと、先を争ってさまざまな祭りを開催している。7-8月に全国で開催される祭りや展示イベントは実に250件余りに上る。1995年の地方自治制導入以降、同じような地域の祭りが乱立しているとの指摘が絶えなかったが、最近はその程度がさらに深刻化している。特に、同じテーマで急ごしらえしたかのような祭りが増え、イベントや展示のレベルが期待に届かないとの批判が相次いでいる。
自治体は訪れる「観光客数」を増やすことしか頭にないため、とりあえず祭りを開催し、祭りのテーマとはかけ離れたイベントを詰め込むケースが多い。ジャガイモ・トウモロコシ祭りでブレイクダンス公演を行い、モモ祭りで全国青少年ダンス大会を開くといったありさまだ。韓国の祭りのうち、ノンバーバル(セリフのない)パフォーマンス「NANTA」や伝統芸能の農楽、マジック、タレントの公演などが行われる「総合型」祭りが多いのもこのためだ。
昨年、慶尚北道の尚州市農業技術センターと共同で「尚州クワの実祭り」を企画した尚州クワの実郷土産業事業団のパク・パンジュ事務局長(45)は「公務員たちは来場者数ばかりを重視している。祭りの収益金で地域経済の活性化を図る地域もあるが、多くの地域は割り当てられた予算を使い、予算に比して多くの観光客を呼び込みさえすればいいと考えているように感じられた」と打ち明けた。