【社説】盧元大統領支持派は議事録紛失問題を解明せよ

 野党・民主党の文在寅(ムン・ジェイン)議員は23日、2007年に行われた盧武鉉(ノ・ムヒョン)元大統領と金正日(キム・ジョンイル)総書記による南北首脳会談の議事録が紛失した問題について「国家記録院に議事録がないという理由で、事実に関する判断が難しくなるわけではない」と述べ、議事録がなくとも問題はないとの考えを示した。文議員が言う「問題」とは西海(黄海)北方限界線(NLL)放棄に関連することだが、要するに文議員は「国家情報院が公表した議事録と、会談前後の他の記録があれば十分」と言いたかったようだ。同党の田炳憲(チョン・ビョンホン)院内代表も22日「国家情報院に保管されている(議事録の)原本を原本と見なせばよい」と発言した。

 民主党は今年6月末、国家情報院が公表した議事録について「毀損(きそん)された」「歪曲(わいきょく)文書」などと文句を言い「原本と見なすことはできない」と主張してきた。ここ1週間ほど前から与野党の議員が国家記録院で議事録を探し、これに国民の注目が集まったのは、民主党が国情院に保管されていた議事録をこのように「信頼できない」と主張したのが大きな理由だ。とりわけ文議員をはじめとする親盧派(盧元大統領に近かったグループ)は、民主党内の反対派を抑えて「国家記録院にあるはずの原本を確認すべき」と主張し、最後までこれを押し通した。ところが国家記録院に議事録が残されていないことが明らかになると、彼らは自分たちの主張を180度変え「国情院にあるものでもよい」と言い始めた。

 国家記録院に議事録がなかったことについて、民主党は当初「李明博(イ・ミョンバク)政権がこれを廃棄した」などと主張したが、記録院をくまなく探しても見つからなかったことで、突然「国家記録院に議事録がなくても問題はない」と言い分を変えた。あれほどうるさく騒ぎ立てていた民主党が、このように突然態度を変えた理由は何だろうか。おそらく議事録がないことが盧元大統領とその周辺の責任であることが明らかになるのを恐れ、先手を打って言い逃れを始めたのではないか。だとすれば彼らの行動こそまさに国民を愚弄(ぐろう)するものだ。盧元大統領とその関係者が、議事録を国家記録院に引き渡さなかったことが明らかになれば、これは10年以下の懲役か3000万ウォン(約267万円)以下の罰金に相当する犯罪行為となる。そのためこれは適当にやり過ごす性質の問題ではない。

 一方、盧武鉉政権で議事録に関与していた張本人たちは、全員が完全に口を閉ざしている。議事録を作成したのは当時国家情報院長だった金万福(キム・マンボク)氏と、大統領府の安全保障政策担当秘書官を務めた趙明均(チョ・ミョンギュン)氏だ。また大統領府記録管理秘書官だったキム・ジョンホ氏は、大統領関連の記録物を国家記録院に移す作業を担当した。今回の議事録紛失問題が表面化して以降「真実の鍵」を握るこれらの人物はメディアとの接触を完全に断ち切っている。中でも議事録が国家記録院に移されたかどうかを知る趙明均氏は、今年初めに検察に出頭し「盧元大統領が『首脳会談の議事録は国家情報院で管理し、大統領府には置くな』と指示した」などと説明していた。

 文議員はきのう「国民はもううんざりしている」として「NLL問題の終息」を呼び掛けた。しかし文議員はこの問題の当事者の 1人だ。国民をうんざりさせた張本人であれば、そのようなことを言う前に、議事録がなぜ国家記録院にないのか、まずは自ら真相を解明して国民に説明すべきではないか。文議員は今こそ国民の前に姿を現し、一連の問題の経緯を最初から最後まで正直に明らかにすべきだ。

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