【記者手帳】見つからない首脳会談議事録をめぐる問題

 2007年の南北首脳会談の議事録を探している韓国の与野党と、大統領関連の記録物を保管する国家記録院は、19日も議事録を見つけることができなかった。検索用のキーワードについて与野党が今月5日に合意して以来、2週間にわたって議事録を探したものの、見つけることができず、韓国中が混乱に陥っているというわけだ。今回の事態を見守ってきた記録管理の専門家たちは「今回の問題で、国家の記録管理システムがどれだけお粗末なものだったかが明らかになった」と指摘した。

 国家記録院側が「議事録を保管していない」と主張していることから、今月22日までの予定で行われている専門家による検索でも、議事録を見つけられない可能性が高い。だが、仮に議事録を見つけられたとしても、今回明らかになった問題点はさらにクローズアップされるだろう、と専門家たちは指摘している。

 専門家たちは最大の問題点として、キーワードを入力しても本文の検索が不可能な「索引システム」を挙げている。盧武鉉(ノ・ムヒョン)元大統領関連の指定記録物36万件の中には、その内容とは無関係なタイトルが付けられており、タイトルを見ただけでは内容が分からない資料が少なくないという。盧元大統領サイドは「秘密文書などはタイトルから内容を類推できないようにして管理しているケースがある」と説明している。

 だが専門家たちは、30年間封印される指定記録物のタイトルまで変える必要があるのか、と指摘している。また、国家記録院の専門家数十人が2週間にわたって検索しても、わずか6年前の記録物を容易に見つけ出せないとなると、30年後にはどうやって探すのかという問題もある。結局、問題の議事録はなかったも同然ということになり、莫大(ばくだい)な国家の予算を無意味な資料の保管に使っているというわけだ。

 国家記録院は07年末、それまでの「国の記録院」を大統領記録館に再編するに当たり、専門家たちを米国など海外の記録館に派遣し、ベンチマーキング(ほかの優れた点を学び、それを基準に業務などを改革する手法)を行った。検索システムもこのとき、一部改善された可能性が高い。だが、大統領の指定記録物を定める側が、なるべく見つけられないような仕掛けをしているとすれば、検索システムの改善も意味がないということになる。

宣政敏(ソン・ジョンミン)記者
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