ーー事務方が政務三役に説明をするとき、公表について事務方から何も発言しなかったということか。報道から言われたことがきっかけだったのに、公表のことはテーマにならなかったということか。
進藤:そう。そういうこと。報道関係者から言われたことがきっかけとなった協議だが、会見で公表の要望を受けた本人が協議に出席していたら、変わったかもしれない。
ーー会見で要望を受けた人の代わりに協議に出席した人は、協議が報道関係者の質問がきっかけになって開かれていることを知っていたのか。
進藤:それを知らなかった。報道関係者から直接質問を受けた人は、そのことを上司に説明した。それを受けた上司が「政務三役に説明をしないといけない」と思い、別の人、SPEEDIを実際に扱っていた人に、政務三役への説明を頼んだ。そのときに、記者から求められたということを言わずに、とにかく政務三役に説明するからいくつか計算結果を示してくれと頼んだだけだった。
ーーそういったやりとりはどこかで報告されてるのか。
進藤:されていない。そのあたり事実関係を調査している。細かく質問された場合には今のように説明しているが、実際にはそういうことだったようだ。
ーーいままでの言い方でいうと、省内では、会見でSPEEDIの計算結果の公表を求められたことと、公表に関する可否判断が頭から抜けていた。「公表すると無用の混乱」というのは文科省は否定している。
進藤:言った・聞いたと記憶している人が誰も出て来ていない。
ーー「ただし公表の要否について具体的な決定はなされなかった」というのはどうか。
進藤:事務方から公表の要否について話が出ていないので、議論していない。公表のことは説明もしなかったので、だから決定がなされなかったというのは、事実としては間違っていないのではないか。資料にある「一般にはとても公表できない内容であると判断」というのは間違いだと思う。
ーーすると、翌16日の省内協議で公表に関する議論になったというのはなぜか。16日は公表に関する議論になったのか。
進藤:(15日の省内協議では)「1回全量放出」というもっとも過酷な場合を説明したようだ。16日はSPEEDIの「別途標準的なもの(計算結果)」を説明したが、すぐに鈴木(寛)副大臣から、モニタリングの役割分担が変わりSPEEDIは安全委員会で扱うべきだということがあり、合意され、このときも公表については何ら議論されないまま終わった。
ーー「別途標準的なものを用意することとなった」とのことだが、なぜそのようなものを用意することになったのか。
進藤:1回全量放出という極端なケースの計算結果を15日夕方の会議では出した。すごく多く放出されるものだった。
ーー文科省の中で、SPEEDIデータの公表について初めて議論が出たのはいつか。
進藤:このときは報道から要求があり、16日に笹木(竜三)副大臣の定例会見があり、そこでも同じく公表のことを聞かれた。会見記録は文科省のホームページに出ている。このときに、SPEEDIのデータの扱いは安全委員会がやることになったと答えた。記者から15日に聞かれたことにはこれで答えたかたちだ。
http://www.mext.go.jp/b_menu/daijin/detail/1303751.htm
進藤:次に検討を始めたのは、(2011年3月)20日以降に開示請求があり、どうするかということになった。このときすでに文科省がSPEEDIを扱っていたわけではなかったので、文科省で判断できるものではなく、原子力安全・保安院と原子力安全委員会と、扱いを相談するようになった。