回答する記者団

【情報公開】SPEEDI予測「公表できない」記載の文科省文書を見たい


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1 : 佐藤裕一 : 2012年03月05日(月)16時21分35秒
「一般にはとても公表できない内容と判断」と記した内部文書を見たい!

SPEEDI予測「公表できない」 文科省文書に記載
http://www.47news.jp/CN/201203/CN2012030201002418.html
東京電力福島第1原発事故5日目の昨年3月15日、緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム(SPEEDI)による放射性物質の拡散予測について、当時の高木義明文部科学相ら政務三役や文科省幹部が協議し「一般にはとても公表できない内容と判断」と記した内部文書が作成されていたことが2日、同省関係者への取材で分かった。
2 : 佐藤裕一 : 2012年03月07日(水)15時44分28秒
さきほど文科省から電話。この文書は、開示請求に対して文科省が開示した文書で、開示したのは1枚とのこと。せっかくだから、もとになった開示請求書と決定通知書も請求対象に加えておいた。
3 : 佐藤裕一 : 2012年04月03日(火)19時34分50秒
事務所に寄ったら3月30日付けの「開示決定の期限の延長について(通知)」が文科省から届いてた。延長の理由「文書の審査に時間を要し、かつ業務多忙のため開示請求があった日から30日以内に開示決定等を行うことが困難であるため」だと。たった1枚開示するのに延期するのかよ。
4 : 佐藤裕一 : 2012年04月03日(火)19時35分32秒
ちなみに「延長後の期限」は「平成24年5月7日(月)まで」になってる。紙1枚を開示するのに2カ月かけるのか文科省は。
5 : 佐藤裕一 : 2012年04月03日(火)19時39分54秒
あ、補正したから紙1枚じゃないのか。それでも数枚のはず。補正前の請求文面の最後の「内部文書」が、補正後では「開示文書」になってる。


【補正前の請求文面】
東京電力福島第1原発事故5日目の昨年3月15日、緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム(SPEEDI)による放射性物質の拡散予測について、当時の高木義明文部科学相ら政務三役や文科省幹部が協議し「一般にはとても公表できない内容と判断」と記した内部文書。

【補正後の請求文面】
東京電力福島第1原発事故5日目の昨年3月15日、緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム(SPEEDI)による放射性物質の拡散予測について、当時の高木義明文部科学相ら政務三役や文科省幹部が協議し「一般にはとても公表できない内容と判断」と記した内部文書について報道されているが、その内部文書の開示請求に係る開示請求書、決定通知書及び開示文書。
6 : 佐藤裕一 : 2012年04月04日(水)21時09分06秒
文部科学省情報公開担当に電話した。やりとりの内容はおおむね以下の通り。イライラしていて無理なことを言ってしまったorz


ーー延長通知を受け取った。「SPEEDI予測を公表できない」というのはA4用紙1枚と担当課から聞いている。それと、最初の報道のもとになった開示請求書と決定通知書だけなのに、なぜそんなに時間がかかるの?

「SPEEDI予測を公表できない」という文書に関してではなくて、開示請求書と決定通知書の方に時間がかかっている。

最初の請求者に第三者意見照会を出している。その人が書いた開示請求書を佐藤さんに出していいかどうか電話で問い合わせたところ、「請求書の文面は自分で調べて得た情報をもとにしているので、できれば出さないで欲しい」という回答があった。それで、電話ではなく書類でもわらなければということで、第三者意見照会をしている。

第三者意見照会の期限は来週後半くらい。意見を受けて5月7日までに佐藤さんに開示するかどうかを決定することになる。仮に、第三者意見照会で「開示しないでほしい」という意見があって、文科省は「支障がないから開示する」と決定した場合、最初の請求者にも佐藤さんに開示するということを伝える。

第三者意見照会で意見を聞かれた側は異議申立や訴訟ができるので、開示決定から開示実施までに2週間、時間をいただくことになる。情報公開法13条3号で「少なくとも二週間を置かなければならない」とある。5月7日までに決定してから2週間以上なので、5月後半近くになってしまうかもしれない。

ーー開示を2段階に分けて開示してもらうことはできるか。「SPEEDI予測を公表できない」という文書を先に出してもらい、そのあと、最初の請求者の開示請求書と決定通知書というように。

この開示請求はすでに決裁が進んでいるので、分けてに出すのは難しい。情報公開法11条の特例延長の場合は、60日以内に一部分を開示して残りを徐々に出して行くこともあるが、今回はあくまで10条2項の通常の延長。通常延長と特例延長は途中で変えられるものではない。特例延長は文書が大量にある場合に認められるもので、1枚では認められるものではない。

ーー「SPEEDI予測を公表できない」という部分だけ別途請求するので、すぐに対応してもらえないか。新規の請求ということになり、また1カ月待たされるのか。

手続き自体は進んでいるなので、お待ちいただければとは思う。別に請求をこちらで受け取れば、それはそれで進めることになる。ただ、いまの請求が止まっているから早く進めるという理由にはならない。別途もう1通出すというのは理解できるし担当課にも説明はするが、すぐに対応されるかどうかは約束できない。
7 : 佐藤裕一 : 2012年04月04日(水)21時09分33秒
情報公開法から関係箇所を抜き出し。


行政機関の保有する情報の公開に関する法律(情報公開法)
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/H11/H11HO042.html

(開示決定等の期限)
第十条  前条各項の決定(以下「開示決定等」という。)は、開示請求があった日から三十日以内にしなければならない。ただし、第四条第二項の規定により補正を求めた場合にあっては、当該補正に要した日数は、当該期間に算入しない。
2  前項の規定にかかわらず、行政機関の長は、事務処理上の困難その他正当な理由があるときは、同項に規定する期間を三十日以内に限り延長することができる。この場合において、行政機関の長は、開示請求者に対し、遅滞なく、延長後の期間及び延長の理由を書面により通知しなければならない。

(開示決定等の期限の特例)
第十一条  開示請求に係る行政文書が著しく大量であるため、開示請求があった日から六十日以内にそのすべてについて開示決定等をすることにより事務の遂行に著しい支障が生ずるおそれがある場合には、前条の規定にかかわらず、行政機関の長は、開示請求に係る行政文書のうちの相当の部分につき当該期間内に開示決定等をし、残りの行政文書については相当の期間内に開示決定等をすれば足りる。この場合において、行政機関の長は、同条第一項に規定する期間内に、開示請求者に対し、次に掲げる事項を書面により通知しなければならない。
一  本条を適用する旨及びその理由
二  残りの行政文書について開示決定等をする期限

(第三者に対する意見書提出の機会の付与等)
第十三条  開示請求に係る行政文書に国、独立行政法人等、地方公共団体、地方独立行政法人及び開示請求者以外の者(以下この条、第十九条及び第二十条において「第三者」という。)に関する情報が記録されているときは、行政機関の長は、開示決定等をするに当たって、当該情報に係る第三者に対し、開示請求に係る行政文書の表示その他政令で定める事項を通知して、意見書を提出する機会を与えることができる。
2  行政機関の長は、次の各号のいずれかに該当するときは、開示決定に先立ち、当該第三者に対し、開示請求に係る行政文書の表示その他政令で定める事項を書面により通知して、意見書を提出する機会を与えなければならない。ただし、当該第三者の所在が判明しない場合は、この限りでない。
一  第三者に関する情報が記録されている行政文書を開示しようとする場合であって、当該情報が第五条第一号ロ又は同条第二号ただし書に規定する情報に該当すると認められるとき。
二  第三者に関する情報が記録されている行政文書を第七条の規定により開示しようとするとき。
3  行政機関の長は、前二項の規定により意見書の提出の機会を与えられた第三者が当該行政文書の開示に反対の意思を表示した意見書を提出した場合において、開示決定をするときは、開示決定の日と開示を実施する日との間に少なくとも二週間を置かなければならない。この場合において、行政機関の長は、開示決定後直ちに、当該意見書(第十八条及び第十九条において「反対意見書」という。)を提出した第三者に対し、開示決定をした旨及びその理由並びに開示を実施する日を書面により通知しなければならない。
8 : 佐藤裕一(MP 130 ♥) : 2012/04/21 土 03:43:54
4月20日16時30分から文科省1階の開示室というところで文書の開示と補足説明を受けて来た。まずは開示文書(A4用紙1枚)を>>9に書き写した。
9 : 佐藤裕一(MP 130 ♥) : 2012/04/21 土 03:44:19
機密性2(取扱注意)
平成23年3月19日放射線班メモ


○SPDI(NUSTEC)とWSPDI(NEAT)の扱いについて
・SPDIの運用開始年月日:3月11日午後から運用開始
 1時間ごとの単位放出による定期配信図形の関係箇所(ERC、OFC、NEAT)への配信を開始。この間、防衛省、米大使館党からの求めに応じて評価結果を配信。また、EOC、ERC及びNSCは、それぞれの立場から複数回、独自の入力条件で評価依頼がNUSTECにあったことをNUSTEC派遣員より確認している。これらの評価結果は、すべてNUSTEC本部に電子データとして保管されているものと承知。
・WSPDIの運用開始年月日:3月14日午後から運用体制確立。
 EOC放射線班より、全量一回放出及び一定量連続放出時の広域評価結果について、3月15、16日に複数依頼している。なお、千葉県分析センターが検出した大気中のヨウ素及びセシウムの放射能濃度結果を用いた、福島第1発電所全体から連続的に放出されている放射能(Bq/h)(放出源情報)を求める逆算の依頼が最後の依頼となったが、官邸主導による当省の役割変更により、当省への送付は中止するとともに、NSCへ参考に送付するよう指示した。


・SPDIとWSPDIの結果について3月15日の3役会議の後に提出
 SPDIの内容は、一回放出による100Km圏内の評価結果、
 WSPDIの結果は、全量一回放出の評価結果で関東および東北地方に放射性雲が流れるという結果。
 これらをみて、3役は一般にはとても公表できない内容であると判断。
 会議では、SPDI及びWSPDIの結果については、別途標準的なものを用意することとなった


・翌3月16日の3役会議では、当省はモニタリングデータの提供に徹することとし、データの評価は行わないこととする、とされた。この一連でSPDI及びWSPDIの公表に関する議論になった際、鈴木副大臣より、当省は影響の評価は行わないことになったのであるから、評価がないSPDI等の公表は意味がないので、今後SPDI及びWSPDIの運用は安全委員会において運用・公表する、ものである、との提案があり、合意された。


・鈴木副大臣から示された「当省はSPDI等の運用を行わず、NSCに振り向けるとの論理構成」については、加藤重治審議官もメモをとったと記憶する。
10 : 佐藤裕一(MP 130 ♥) : 2012/04/21 土 04:14:29
上のリンクは開示文書のダウンロード。下のリンクは、開示文書の説明をしてくれた文科省情報公開担当者と原子力安全課企画官。

SPEEDI予測「公表できない」記載文書と補足説明の文書
http://kishadan.com/lounge/download/file.cgi?id=201204210412196

SPEEDI予測「公表できない」記載文書の補足説明をした文科省職員
http://kishadan.com/lounge/bbs/image.cgi?id=201204210402256
11 : 佐藤裕一(MP 130 ♥) : 2012/04/21 土 04:14:57
どんな補足説明があったのか別途書きます。
12 : 佐藤裕一(MP 130 ♥) : 2012/04/21 土 15:10:13
4月20日に文科省から受けた補足説明のだいたいの内容。要するに文科省の主張。「文書は不正確で、事故調の中間報告で書かれている方が正しい」というのがよく出てくる。このとき見ているのは中間報告の261頁あたりのところ。


東京電力福島原子力発電所における事故調査・検証委員会
http://icanps.go.jp/
Ⅴ 福島第一原子力発電所における事故に対し主として発電所外でなされた事故対処
http://icanps.go.jp/post-1.html
2 SPEEDI情報の活用及び公表に関する状況(←事故調の記載はこの261頁)
http://icanps.go.jp/111226Honbun5Shou.pdf


説明してくれたのは文部科学省科学技術・学術政策局原子力安全課企画官の進藤和澄さん。


 進藤:こちらが今回ご請求いただいた「一般にはとても公表できない内容であると判断」と書かれている文書。この文書に不正確なところがある。大臣も「不正確な記述が含まれている」と国会で話している。この資料を渡すときはいつも補足説明をしている。事故調(東京電力福島原子力発電所における事故調査・検証委員会)の報告書には正しく書かれているという事情もある。

 進藤:「一般にはとても公表できない内容であると判断」と書かれているが、これは会議に出席した1人が書いたもので、他の出席者からはこのことの確認がとれていない。事故調の中間報告には、「ただし、SPEEDIの計算結果等の公表の要否について具体的な決定はなされなかった」とある。事故調が多くの人にヒアリングした結果、「公表の要否について具体的な決定はなされなかった」とも書かれており、現状では事故調の方が正しいと考えている。

 進藤:その次の行の「SPEEDIとWSPEEDIの結果については、別途標準的なものを用意することとなった」という記述も言葉足らずがある。(2011年3月)15日の会議で結論が出なかったため次の日に議論になったということが書かれているが、これも言葉足らずだ。

 進藤:最初に開示したときにも同じような説明をしたが、文言だけを取って報道されたのが実際のところ。会議の資料にはこう書かれていると報道された。それがこの資料についての一番大きな間違い。

 進藤:その他にも細かい点があり、3月15日の「3役会議」(政務三役会議)と資料にあるが、政務三役会議ではなく、政務三役も出席してる省内協議というのが正しい。事故調の中間報告では正しく「政務三役が出席した省内協議」と書かれている。政務三役会議ではなく、あくまで政務三役が出席した省内協議。

 進藤:もう1つ。この資料には「(WSPEEDIの結果は、全量一回放出の評価は)関東および東北地方に放射性雲が流れるという結果」と書かれているが、実際は東北地方だけに流れる結果だった。これも事故調の中間報告では「東北地方に高い放射性雲が流れる」と正しく書かれている。資料は不正確だ。

 進藤:さらに1つ。資料では一番最後の行で原子力安全委員会の「加藤重治審議官もメモをとったと記憶する」と書かれているが、加藤審議官に確認をしたところ、「当時、出席したかどうかも覚えてない、メモというのもない」とのことだった。

 進藤:この資料は保存されている文書なので公開したが、いま申し上げた4点は不正確な部分。とくにこのうち3点については、多くの人がヒアリングを受けた事故調報告では正しく修正されている。
13 : 佐藤裕一(MP 130 ♥) : 2012/04/21 土 15:10:37
ーー「一般にはとても公表できない内容であると判断」に対応する部分は、事故調の中間報告では「SPEEDIの計算結果等の公表の要否について具体的な決定はなされなかった」になっている。具体的な決定はなくとも、そのような発言があったということではないか。

 進藤:そういう発言はなかった。事故調の中間報告には「文部科学省は、3月15日に行われた同省の記者会見において報道関係者からSPEEDI計算結果の公表を求められた」とある。この要望を受けて事務方が政務三役に説明を行ったという流れからすると、公表の要否について何も言及がなかったとしたらヘンだと(みなさん)思う。現実的には、記者会見で報道関係者からSPEEDIの計算結果の公表を求められた人がいるのだが、その人がこの会議(省内協議)に出たかというと、ずっとプレス対応をしていて出ていない。

 進藤:この要望を受けての省内協議で、政務三役にSPEEDIとはこういうものだという説明をした者はいる。その者は、会見で報道関係者から公表を求められて宿題のようになっていたことをまったく知らなかった。知らないまま、ただ「SPEEDIやWSPEEDIについて感心が高まっているから説明する」と指示されて省内協議で説明をした。なので、そもそも、公表の要否の判断を求めるために政務三役に説明したわけではなく、SPEEDIやWSPEEDIについて、はじめて政務三役に説明した場だった。公表の要否について何ら説明をしていないし、何ら言及もないままだった。

ーー省内協議でSPEEDIの計算結果は配布されていると。

 進藤:はい。当時、省内協議には報告案件などいろいろな案件があり、その1つとしてSPEEDIについて政務三役に説明した。

ーー「公表の要否について言及はなかった」と今言っていたが、事故調の中間報告の方では「公表すると無用の混乱を招く恐れがあるとの意見が出された」とある。公表の話はこのとき出ているのか。

 進藤:事故調の中間報告では「公表すると無用の混乱を招く恐れがあるとの意見が出された」と書かれているが、中間報告が出た後、当時の政務三役5人全員や当時の出席した事務官などに対し、そういう意見を言ったか、聞いた事があるかについて、文科省の事務方が省内検証で聞いたところ、言った・聞いたという人はいないということになった。

ーーとすると「公表すると無用の混乱を招く恐れがあるとの意見が出された」というのはどこから出て来たのだろうか。

 進藤:事故調はヒアリングを受けた誰かから聞いたということでこうなっている。事故調のヒアリングを受けた人が何人かおり、事故調にこういう説明をしたかどうか聞いても、「無用の混乱を招く恐れがある」と言ったと記憶している者はいない。

ーー事実は見解が割れているということか。

 進藤:そう。3月15日はまさに事故が起き、水素爆発が次々に起きているときだった。ただ、そうはいっても、SPEEDIやWSPEEDIについて一度も政務三役に説明した事がなかったので、この日、記者会見で記者から問われたことをきっかけに、「一度も説明していないのはよくないだろうからまずは説明しよう」ということで説明をした。ただ、その場で、公表の要否について政務三役に判断してもらおうというようなことはまったく思っていなかった。
14 : 佐藤裕一(MP 130 ♥) : 2012/04/21 土 15:10:47
ーー事務方が政務三役に説明をするとき、公表について事務方から何も発言しなかったということか。報道から言われたことがきっかけだったのに、公表のことはテーマにならなかったということか。

 進藤:そう。そういうこと。報道関係者から言われたことがきっかけとなった協議だが、会見で公表の要望を受けた本人が協議に出席していたら、変わったかもしれない。

ーー会見で要望を受けた人の代わりに協議に出席した人は、協議が報道関係者の質問がきっかけになって開かれていることを知っていたのか。

 進藤:それを知らなかった。報道関係者から直接質問を受けた人は、そのことを上司に説明した。それを受けた上司が「政務三役に説明をしないといけない」と思い、別の人、SPEEDIを実際に扱っていた人に、政務三役への説明を頼んだ。そのときに、記者から求められたということを言わずに、とにかく政務三役に説明するからいくつか計算結果を示してくれと頼んだだけだった。

ーーそういったやりとりはどこかで報告されてるのか。

 進藤:されていない。そのあたり事実関係を調査している。細かく質問された場合には今のように説明しているが、実際にはそういうことだったようだ。

ーーいままでの言い方でいうと、省内では、会見でSPEEDIの計算結果の公表を求められたことと、公表に関する可否判断が頭から抜けていた。「公表すると無用の混乱」というのは文科省は否定している。

 進藤:言った・聞いたと記憶している人が誰も出て来ていない。

ーー「ただし公表の要否について具体的な決定はなされなかった」というのはどうか。

 進藤:事務方から公表の要否について話が出ていないので、議論していない。公表のことは説明もしなかったので、だから決定がなされなかったというのは、事実としては間違っていないのではないか。資料にある「一般にはとても公表できない内容であると判断」というのは間違いだと思う。

ーーすると、翌16日の省内協議で公表に関する議論になったというのはなぜか。16日は公表に関する議論になったのか。

 進藤:(15日の省内協議では)「1回全量放出」というもっとも過酷な場合を説明したようだ。16日はSPEEDIの「別途標準的なもの(計算結果)」を説明したが、すぐに鈴木(寛)副大臣から、モニタリングの役割分担が変わりSPEEDIは安全委員会で扱うべきだということがあり、合意され、このときも公表については何ら議論されないまま終わった。

ーー「別途標準的なものを用意することとなった」とのことだが、なぜそのようなものを用意することになったのか。

 進藤:1回全量放出という極端なケースの計算結果を15日夕方の会議では出した。すごく多く放出されるものだった。

ーー文科省の中で、SPEEDIデータの公表について初めて議論が出たのはいつか。

 進藤:このときは報道から要求があり、16日に笹木(竜三)副大臣の定例会見があり、そこでも同じく公表のことを聞かれた。会見記録は文科省のホームページに出ている。このときに、SPEEDIのデータの扱いは安全委員会がやることになったと答えた。記者から15日に聞かれたことにはこれで答えたかたちだ。http://www.mext.go.jp/b_menu/daijin/detail/1303751.htm

 進藤:次に検討を始めたのは、(2011年3月)20日以降に開示請求があり、どうするかということになった。このときすでに文科省がSPEEDIを扱っていたわけではなかったので、文科省で判断できるものではなく、原子力安全・保安院と原子力安全委員会と、扱いを相談するようになった。
15 : 佐藤裕一(MP 130 ♥) : 2012/04/21 土 15:10:57
ーー15日の記者会見で公表を求められた職員の人、宿題を受けた人は、報道対応を終えた後、どこに行ったのか。公表を求められた件について当日中に何か対応していたのか。

 進藤:それ以上はしていない。そもそも広報自体がそのときは原子力災害対策本部が一元的にやるとなっており、文科省が単独で広報できるとは本人も思っていなかった。報道から聞かれたことについてすぐに文科省がアクションするものでもないと思っていた。

ーーその人は宿題を捨てたということか。

 進藤:上司には報告したが、次の日にはSPEEDIは文科省が扱うことではなくなり、それ以上は扱いの検討をやめた。

ーー報道から要求を受けた人の上司は、政務三役に説明した人に対して何と指示をしたのか。

 進藤:「SPEEDIがどういうものなのか説明をしないといけないだろう」ということで、いくつかシミュレーションを使って説明をするということになった。

ーー公表の判断をテーマに加えなかったのは、この上司に責任があるということか。

 進藤:上司は少なくとも、政務三役への資料を準備した者に対して、説明することになった背景や会見での要望を伝えていなかった。徹夜続きでいろいろな作業がある中で「短時間でこれをやって」という話ではあるが、事実としてはそういうことだった。会見で求められたという背景伝えたということではなかった。そのため、政務三役に説明した者は背景を承知しないままだった。

ーー上司のポジションは。

 進藤:事務方の相当ハイクラスの方。

ーー具体的に。

 進藤:答ないとだめか。

ーーもちろん。

 進藤:森口(泰孝)次官。当時は森口文部科学審議官。

ーー会見で記者から要求を受けた人が、直接、森口さんのところに行ったのか。

 進藤:はい。
16 : 佐藤裕一(MP 130 ♥) : 2012/04/21 土 15:11:05
ーー森口さんが「SPEEDIの説明をしなければいけない」と言い、しかし公表については指示を出さなかったと。

 進藤:そういう背景があって政務三役に説明をしようと思ったきっかけは、説明した者に伝えなかったようだ。

 進藤:報道から求められていて関心が高まっているのに、「SPEEDIについて政務三役に一度も説明をしたことがないのはどうなのか」「これは1回説明しなければいけない」と思って説明をした。

 進藤:ただ、こういう事態なので、政務三役が揃っているところに、報告・相談が入れ替わり立ち代わりしている中、SPEEDIについても短時間で説明した。

ーー政務三役も出席している省内協議というのは、SPEEDIの説明のための場ではなかったということか。

 進藤:こういう事態だからいろいろなことが起こっていて、次々に説明・相談をしている中で、ごく短時間、SPEEDIの話があったというだけ。

ーーその場所はどのような部屋で、誰がいたのか。

 進藤:政務三役5人(高木義明大臣、鈴木寛副大臣、笹木竜三副大臣、笠浩史政務官、林久美子政務官)は全員いた。部屋は大臣室。大臣室というのは間違いない。事務方も、分かっているだけで、当時の文部科学審議官と、当時の官房長、総務課長はいたようだ。事務方としてこの3名は常時いた。それ以外は説明者によって入れ替わりやっていたようだ。
17 : 佐藤裕一(MP 130 ♥) : 2012/04/21 土 15:11:13
ーー「一般にはとても公表できない内容であると判断」ということをメモした人は誰か。

 進藤:当時、SPEEDIなどを運用していた放射線班の者。

ーーその人をAさんと呼ぶとすると、Aさんはある意味、説明のために大臣室に走るわけか。大臣室での説明には何人で行ったのか。

 進藤:大臣室に言って説明をする。Aさんが記憶するところでは、少なくとも原子力安全委員会の加藤重治審議官もいっしょに行った。Aさんと加藤審議官の2人ではないかと。ただ、加藤審議官は行ったことを覚えていないという。

ーーこの資料を作ったのもAさんか。

 進藤:はい。

ーーその場で直接聞いて「とても公表できない内容と判断」とのメモを取ったのもAさんか。

 進藤:そう。

ーーこの資料を作った人も、公表できないと聞いた人も、Aさんだったということか。

 進藤:はい。当時、命じられてSPEEDIの資料を作り、政務三役も出席した会議で説明をした人が、経緯の文書も作った。

ーーもう一度。

 進藤:上司から言われて説明の資料も準備した人も、政務三役のところに行って説明をした人も、この文書を作った人も、みんなAさん。他の人はSPEEDIが安全委員会の扱いになった経緯が分からないので、何らかの形で経緯が分かるようにしなければいけないだろうということで、この文書を作った。

ーーだから19日付けになっているのか。

 進藤:はい。経緯を知らない人は本当に分からないので、こういう文書を作った。この文書は、政務三役が出席した会議で具体的にどのような議論があったのか正式に正確に残すことを意図したのではない。
18 : 佐藤裕一(MP 130 ♥) : 2012/04/21 土 15:11:26
ーーこの文書を作れとAさんに指示したのは誰か。

 進藤:文科省の非常事態対策センターの中の誰かが、SPEEDIの扱いが原子力安全委員会になっている理由を教えてほしいと聞いたようだ。

ーーそれが放射線班に伝わってAさんに書かせたということか。

 進藤:はい。Aさんは実際にSPEEDIを扱っていて、政務三役を含む会議にも出ていたので、Aさんが直接理由を聞かれたので作った。

ーーAさんの具体的なポジションは。

 進藤:管理職。当時、放射線班の班長をしていた。

ーー事故がなければ、通常時のポジションはどこか。名前は。

 進藤:放射線規制室の室長。中矢室長という人。中に弓矢の矢。下の名前は覚えていない。

ーー年齢は。

 進藤:50代。

ーーこれまでこの文書を開示するときは、今日のように補足説明をしてきたとのことだが、他の人に説明して私に説明していないことはあるか。

 進藤:あなたが一番長い。


__おわり__
19 : 佐藤裕一(MP 130 ♥) : 2012/04/28 土 20:10:23
事故後の2011年3月16日、SPEEDIの扱いが文科省から原子力安全委員会に移ったという経緯は、たぶんここに出ている経緯のことだな。


W-SPEEDIによる試算結果の公表に至る経緯等
平成23年4月27日 原子力安全委員会事務局
http://www.nsc.go.jp/jaea_wspeedi/wspeedi_keii.html


東京電力福島第一原子力発電所事故に関する
W-SPEEDIによる試算結果の公表について
平成24年4月27日 原子力安全委員会
http://www.nsc.go.jp/jaea_wspeedi/



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