12回、アポリナリオ(左)からダウンを奪う亀田興毅=東京ビッグサイトで(斉藤直己撮影)
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◇WBA世界バンタム級タイトルマッチ&WBA女子世界ミニマム級タイトルマッチ
WBA世界バンタム級タイトル戦は王者亀田興毅(26)=亀田=が挑戦者の同級3位ジョン・マーク・アポリナリオ(23)=フィリピン=から2度のダウンを奪い、3−0の判定勝ち。7度目の防衛に成功した。WBA女子世界ミニマム級タイトルマッチは、王者多田悦子(32)=フュチュール=が同級1位アナベル・オルティス(27)=メキシコ=に1−2の判定で敗れ、10度目防衛に失敗した。
◆「前回より進歩」
危なげない勝利。10回と12回にダウンを奪ったが、見せ場に乏しかった。判定勝ちを収めた興毅に笑顔はなかった。
「良いところと悪いところがあった。前回より進歩している。まあ、これからやね」
4月の6度目の防衛戦では、判定勝ちはしたものの、ふがいない内容にリング上で泣きながら土下座した。以来、眠れぬ夜を過ごしながら、引退か現役続行か揺れ続けた。
「中途半端にダラダラやるくらいなら引退した方がええ。25歳で3階級制覇…。それなりに結果を出してきた。もうええやろ、という自分。まだまだやれるやろ、30歳で5階級制覇できるやろ、という自分。結局、後者の自分が勝ったんや」
約1カ月、悩みに悩み抜いて決めた現役続行。そして、その日から徹底的に体をいじめ抜いて肉体改造した。
「これが俺のデビュー戦。でも、またしょうもない試合をしたら限界。デビュー戦であり、ダメなら終わりの隣り合わせの試合や」
そう公言してリングに立ち、かろうじて結果は出した。8月1日にフィリピンで末弟の和毅がWBO世界バンタム級王座に挑戦する。世界初の3兄弟世界王者の偉業がかかる。
「それがオヤジ(父・史郎さん)のゴール。俺たち3兄弟の夢は、そこから始まる」と興毅。亀田家節目の大一番を前に、長男が負けるわけにはいかなかった。勝って和毅にバトンを渡せたことが、最大の収穫だったのかもしれない。 (竹下陽二)
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