名古屋グランパスによる高校ナンバーワンFW獲得の動きが表面化した。23日までに、今年の高校選手権で準優勝&得点王に輝いた京都橘高FW小屋松知哉(18)に来季新加入の正式オファーを出した。小屋松は25日から2日間、トヨタスポーツセンターでの練習に参加する予定で、これを皮切りにJ数クラブによる争奪戦の幕が上がる。
高校年代を代表するスピードスターの獲得合戦に、グランパスが火をつける。小屋松にはC大阪、京都など関西を中心に複数のJクラブが水面下で獲得に動いており、グランパスへの練習参加をはじめ、他のクラブも活発化することは確実。また、高校選手権で2トップを組んだ1学年先輩のFW仙頭のいる東洋大も有力な進路のひとつと見られている。
魅力はなんといってもスピードだ。50メートル5秒8と言われる快足は、昨季所属したロンドン五輪日本代表FW永井(現スタンダール)に匹敵。久米GMも「初速から速かった永井とはタイプが違うが、今のグランパスには積極的にDFラインの裏に抜ける選手がいない。アーセナルのウォルコットを見ても、スピードはFWとして最大の魅力」と説明した。U−18日本代表ではサイドMFや右サイドバックなど、複数のポジションでスピードの使い道を探っている。
09年のサテライトリーグの廃止以後、J1各クラブでは若手の実戦不足が問題視され、高校の有力選手が大学進学を選ぶケースが多くなった。しかし今季からU−23世代のJ2への期限付き移籍が自由化されたほか、来季発足するJ3にはU−20選抜チームが参戦する方向となっており、育成環境は整いつつある。
「大学や他クラブとの競争になるかもしれないが、とにかく名古屋に入ってくれと話をしている。環境を見てほしい」と久米GM。現日本代表のMF本田圭佑やDF吉田麻也が羽ばたいたグランパスで、日本サッカー界の金の卵を育て上げる。
【小屋松知哉(こやまつ・ともや)】 1995(平成7)年4月24日、京都・久御山町生まれの18歳。小学2年から久御山バイソンズでサッカーを始め、中学時代は宇治FCに所属。準優勝した今年の第91回高校選手権では2トップを組んだ仙頭と並んで5得点で得点王。170センチ、57キロ。U−18日本代表。
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