7月23日の海外株式・債券・為替・商品市場
(ブルームバーグ):欧米市場の株式、債券、為替、商品相場は次の通り。
◎NY外為:ドル下落、製造業指数の低下で-緩和縮小先送りの見方
ニューヨーク外国為替市場では、ドルが主要16通貨の過半数に対して下落。リッチモンド地区の製造業景況指数が市場予想に反して低下したことで、当局が債券購入プログラム縮小を先送りするとの見方が強まった。
円は対ドルで下げていたが、上昇に転じた。米住宅価格指数の伸びが市場予想を下回ったことが手掛かり。5日に発表された雇用統計で予想を上回る雇用者の伸びが示されたものの、その後公表された住宅着工件数や中古住宅販売は市場予想に反し減少している。米連邦準備制度理事会(FRB)のバーナンキ議長は先週、上院銀行委員会の公聴会で発言し、9月に緩和縮小が開始されるのかどうか「判断するのは時期尚早だ」と述べた。
ロイヤル・バンク・オブ・スコットランド・グループ(RBS)の為替ストラテジスト、ブライアン・デンジャーフィールド氏は電話取材で、「雇用関連を除き、指標は経済活動の弱さを示唆している」とし、「データの軟化がやや目に付くことや、緩和縮小観測の後退から、短期的に重要なのはポジションの解消だ」と述べた。
ニューヨーク時間午後5時現在、ドルは対円で前日比0.2%下げて1ドル=99円43銭。一時0.5%高の100円18銭を付ける場面もあった。対ユーロで0.3%安の1ユーロ1.3223ドル。一時1.3239ドルと、6月21日以来の安値を付けた。また0.2%上げる場面もあった。円は対ユーロで0ほぼ変わらずの1ユーロ=131円48銭。
ボラティリティ低下JPモルガン・チェースのG7ボラティリティ指数は9.22%に低下。一時9.18%と、日中ベースでは5月9日以来の低水準を付けた。同指数は9営業日連続で下げ、2012年7月以降で最長の連続低下となった。6月24日には11.96%と、年初来高水準を付けた。
ソシエテ・ジェネラルのシニア為替ストラテジスト、セバスチャン・ゲーリー氏(ニューヨーク在勤)はボラティリティについて、「7月初めから低下してきており、今もその傾向が続いている」と指摘。「低下の理由は主に2つ。1つはバーナンキ議長がハト派的な姿勢を強調しようとしていること。2つ目は中国に対する弱気姿勢の後退だ」と続けた。
円は主要通貨の大半に対して下落。李克強首相率いる中国政府は7%成長を景気減速下で容認できる最低ラインと見なしていると、複数の中国メディアが報道。政府が必要に応じて景気対策を講じることが示唆された。
ドルは対円での上げを消す展開。リッチモンド連銀が23日発表したところによると、7月の同地区製造業景況指数はマイナス11。ブルームバーグ・ニュースがまとめたエコノミスト調査の予想中央値は9への上昇だった。同指数はゼロが拡大と縮小の境目を示す。
米連邦住宅金融局(FHFA)が発表した5月の住宅価格指数(季節調整済み)は前月比で0.7%上昇した。ブルームバーグがまとめたエコノミスト予想の平均値は0.8%上昇だった。
米当局の債券購入エコノミスト調査によれば、金融当局が9月に債券購入プログラムを200億ドル縮小させると予想する向きが増えている。
バーナンキ議長は先週の議会証言で、資産購入について「事前に方針が決まっているわけでは決してない」と言明。また購入規模縮小は政策引き締めには当たらないと述べた。
ラボバンク・インターナショナルのシニア為替ストラテジスト、ジェーン・フォーリー氏は「市場は、緩和縮小は引き締めではないとの考えに慣れつつある」とし、「重要なメッセージは金融緩和であり、それはドルには弱気材料だ」と続けた。
原題:Dollar Falls on Signs of Economic Cooling; Canada CurrencyGains(抜粋)
◎米国株:S&P500種が反落、企業決算を材料視-ダウは小幅高
23日の米国株市場ではS&P500種 株価指数が反落。前日までは4営業日連続で上昇していた。この日は米金融当局による緩和策縮小時期の観測のほか企業決算も材料視された。
損害保険会社トラベラーズは下落。資産から負債を除いた純資産が2008年以来で最も落ち込んだことが影響した。ビデオストリーミングサービス最大手ネットフリックスも安い。契約者数の伸びがアナリスト予想を下回ったことが嫌気された。一方、アナログ半導体最大手テキサス・インスツルメンツ(TI)は上昇。7-9月(第3四半期)の売上高と利益がアナリスト予想を上回る可能性があるとの見通しを示したことが好感された。
S&P500種 株価指数は前日比0.2%安の1692.39。ダウ工業株30種平均は22.19ドル(0.1%)高の15567.74ドル。
ワッデル・アンド・リード・インベストメント・マネジメントのハンク・ハーマン最高経営責任者(CEO)は「企業の売上高が精彩を欠き、利益も売上高に比べれば若干良好という程度のようだ」と述べ、「市場は米金融当局の緩和策縮小をめぐる混乱期を乗り越えた。今は企業のファンダメンタルズに注目している」と続けた。
リッチモンド連銀製造業景況指数リッチモンド連銀が発表したところによると、7月の同地区製造業景況指数はマイナス11。ブルームバーグ・ニュースがまとめたエコノミスト調査の予想中央値は9だった。同指数はゼロが拡大と縮小の境目を示す。この統計が発表された後、S&P500種は上げを失った。
ブルームバーグがまとめたデータによると、これまでに第2四半期決算を発表 したS&P500種構成企業130社のうち1株当たり利益が予想を上回ったのは71%となっている。売上高が予想を上回ったのは約52%。
シカゴ・オプション取引所(CBOE)のボラティリティ指数(VIX)は2.8%上昇の12.63。前日までは4日連続で低下していた。VIXは約80%の確率でS&P500種と反対方向に動く。
S&P500種産業別10指数のうち6指数が下落。テクノロジー株やヘルスケア関連株が安い。
トラベラーズは3.8%下落。当局への届出によると、同社の1株当たり純資産(BPS)は4-6月期に66.65ドルと、前四半期の68ドルから落ち込んだ。628億ドル相当ある債券ポートフォリオの純含み益は17億7000万ドル減少した。
ネットフリックスは4.5%下落。インターネットテレビサービスの国内契約者数は4-6月に63万人増加したもののアナリスト予想平均の70万人は下回った。同社は7-9月(第3四半期)の純利益は1株当たり30-56セントになるとの見通しを示した。アナリスト予想では1株利益43セントとなっている。
TIが上昇TIは4%上昇。同社7-9月期の売上高は30億9000万-33億5000万ドルの見通し 。ブルームバーグがまとめたアナリストの予想平均は32億ドルとなっている。1株利益は49-57セントとの見通しを示した。アナリストの予想は51セント。
ユナイテッド・テクノロジーズ(UTX)も上昇。2013年通期利益見通し の下限を引き上げた。4-6月決算では、ジェットエンジンや航空宇宙関連部品の需要増が寄与し、利益がアナリスト予想を上回った。
防衛最大手ロッキード・マーチンは2%高。同社は通期利益見通しを引き上げた。4-6月決算は利益が市場予想を上回った。
原題:S&P 500 Declines as Investors Weigh Earnings, Fed StimulusPace(抜粋)
◎米国債:下落、2年債入札振るわず-緩和縮小近いとの見方
米国債相場は3営業日ぶりに下落。この日行われた2年債入札(350億ドル)では応札倍率が過去10回の平均に満たなかった。米金融当局による資産購入プログラムが終了に近づきつつあるとの見方が背景にある。
投資家の需要を測る指標の応札倍率は3.08倍。過去10回の平均値3.54倍を下回った。米連邦準備制度理事会(FRB)が月850億ドル(約8兆4600億円)の債券購入 規模を9月に縮小し始めると予想するエコノミストが増えている。ブルームバーグの調査で明らかになった。米財務省は24日に5年債350億ドル、25日に7年債290億ドルの入札を予定している。
三菱UFJ証券USAのシニア米国債トレーダー、トーマス・ロス氏は「緩和は縮小されるという事実を市場はあらためて受け入れつつある」と指摘。「10年債利回りで2.50%は納得のいく水準だと市場は判断した」と述べた。
ブルームバーグ・ボンド・トレーダーによれば、ニューヨーク時間午後5時現在、10年債 利回りは前日比3ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)上昇し2.51%。同年債(表面利率1.75%、2023年5月償還)価格は6/32下げて93 15/32。
既発2年債の利回りは0.31%でほぼ変わらず。
メリルリンチ・オプション・ボラティリティ・エスティメート(MOVE)指数は74.05に上昇。前日は72.62と、ほぼ2カ月ぶりの低水準だった。5日には2010年12月以来での最高となる117.89に上昇していた。過去1年の平均は64.8。
入札の需要2年債入札の結果によると、最高落札利回りは0.336%。ブルームバーグニュースがプライマリーディーラー(政府証券後任ディーラー)21社を対象にまとめた予想は0.338%だった。
ED&Fマン・キャピタル・マーケッツの債券トレーディング部門シニアバイスプレジデントのトーマス・ディガロマ氏は、2年債入札での応札倍率をみる限り、需要は平均より「弱い」と指摘。「5年債がやや苦戦しそうなのは単に5年物セクターがすでに安値を離れたからだ」と解説した。
海外の中央銀行を含む間接入札 者の落札全体に占める比率は30.4%。6月入札では2012年2月以降で最高の35.8%だった。過去10回の平均値は25.2%。プライマリーディーラー以外の直接入札者の落札全体に占める比率は16.4%。前回入札では7.8%。過去10回の平均値は23.9%となっている。
9月の縮小開始EDF&マンのディガロマ氏は「量的緩和の縮小が9月に始まるというのが一般的な感触だ。債券市場にとっては良いシナリオではない」と述べた。
ブルームバーグがまとめたデータによると、年初からこれまでの国債入札(計1兆1930億ドル)の応札倍率は2.93倍となっている。昨年は3.15倍(入札規模は2兆1530億ドル)と過去最高を記録した。
米国債のボラティリティ (変動性、期間10日)を示す指数は前日に2.44%に低下。8日は2011年11月以来の最高となる7.49%を付けていた。
ブルームバーグが今月18-22日に実施した調査によれば、エコノミスト54人のうち、今月30、31日開催の連邦公開市場委員会(FOMC)で緩和縮小に踏み切ると予想した回答者はいなかった。予想中央値によると、最初の縮小時に購入規模は、米国債が350億ドル、住宅ローン担保証券(MBS)が300億ドルの計650億ドルに縮む見込みだ。
原題:Treasuries Fall as Demand at Two-Year Note AuctionDeclines(抜粋)
◎NY金:反落、インドの輸入規制強化で-現物買いに打撃との見方
ニューヨーク金先物相場は反落。世界最大の金消費国であるインドが金の輸入規制を強化したことが背景。前日は一時1カ月ぶり高値をつけていた。
インド準備銀行(中央銀行)は前日、過去最高水準にある経常赤字を抑制するため輸入した金の20%を宝飾品として輸出することを業者に義務付ける新規則を発表した。インドは今年に入って金の輸入関税を2倍の8%に引き上げている。同国の宝飾業団体によれば、今年下期の金輸入は63%減の175トンとなる可能性がある。
スタンダード・バンクの商品ストラテジスト、マーク・グラウンド氏は電話インタビューで、「インドの輸入規制は現物需要に新たな一撃を加えた」と指摘。「金は下落しやすい状況が続いている」と述べた。
ニューヨーク商業取引所(NYMEX)COMEX部門の金先物12月限は前日比0.2%安の1オンス=1335.20ドルで終了。前日は一時3.6%高の1340.50ドルと、中心限月としては6月20日以来の高値をつけた。
原題:Gold Falls From One-Month High as India Adds ImportRestriction(抜粋)
◎NY原油:上昇、中国経済への不安が後退-ドル下落も影響
ニューヨーク原油先物相場は上昇。中国政府が7%以上の成長を達成させる意向を示唆したとの報道や、ドルの対ユーロでの値下がりが手掛かりとなった。
李克強首相率いる中国政府は7%成長を景気減速下で容認できる最低ラインと見なしている、と複数の中国メディアが報じた。ドルは対ユーロで1カ月ぶり安値に下落。またブルームバーグの調査では、24日発表される原油在庫は半年ぶり低水準への減少が予想されている。
プライス・フューチャーズ・グループ(シカゴ)のシニアマーケットアナリスト、フィル・フリン氏は「中国は7%成長を確実に達成する見通しで、原油相場には支援材料だ」としたほか、「現在は多くの取引がドルに関連しているように思われる」と述べた。
ニューヨーク商業取引所(NYMEX)の原油先物9月限は前日比29セント(0.27%)高の1バレル=107.23ドルで終了。相場は今月に入ってから11%、年初来では17%値上がりしている。
原題:WTI Crude Rises as China Pledges Growth Amid WeakeningDollar(抜粋)
◎欧州株:反落、米リッチモンド連銀の製造業景況指数が予想外の低下
23日の欧州株式 相場は反落。指標のストックス欧州600指数は日中に7週間ぶり高値を付けたが、下落に転じた。オランダの電話会社ロイヤルKPNやフランスのメディア企業ビベンディはそれぞれの資産売却計画が好感されたものの、米リッチモンド連銀が発表した7月の製造業景況指数が予想に反して低下したことが響いた。
スイスのポンプメーカー、スルザーは2008年10月以来の大幅安。通期利益率見通しの引き下げで売られた。KPNは約5カ月ぶり高値に上昇。ドイツの携帯電話事業をスペイン同業のテレフォニカに売却することで合意した。ビベンディは約8週間ぶりの大幅高。モロッコテレコム株53%の売却でエミレーツ・テレコミュニケーションズと交渉したことが明らかになった。
ストックス欧州600指数 は前日比0.3%下げて299.44。この日は0.5%上げる場面もあった。前日まではスイスの銀行最大手UBSやオランダのロイヤル・フィリップス・エレクトロニクスの増益決算を好感し、4営業日続伸していた。
PFAペンション(コペンハーゲン)のシニアストラテジスト、ウィトルド・バーク氏は「企業の合併・買収が材料視されるのは、市場が個々の企業に注目していることを示す完璧な例だ。週後半には欧州のマクロ経済指標に注目が戻るだろう」と指摘した。
24日にはユーロ圏の7月の総合景気指数が、25日にはドイツのIfo経済研究所がまとめる同月の独企業景況感指数が発表される。この日に米国で発表された7月の米リッチモンド連銀製造業景況指数はマイナス11と、前月のプラス7(改定値)から低下。ブルームバーグがまとめたエコノミストの調査中央値ではプラス9が予想されていた。
この日の西欧市場では18カ国中10カ国で主要株価指数が上昇した。
原題:European Stocks Retreat as U.S.Manufacturing Report Disappoints(抜粋)
◎欧州債:ドイツ債が1週間ぶり下落、中国不安が後退-英国債も安い
23日の欧州債市場では、ドイツ10年債が1週間ぶりに下落。中国政府が7%を下回る成長率を容認しないとの趣旨の報道が同国で相次いだことから中国経済の先行きに安心感が生じ、比較的安全な資産の需要が後退した。
ドイツ2年債利回りは2週間ぶり高水準に上昇。ユーロ圏の7月の消費者信頼感指数の予想以上の改善を受けた。同指数はマイナス17.4と、前月のマイナス18.8から上昇。ブルームバーグがまとめたエコノミスト27人の調査中央値ではマイナス18.3が見込まれていた。スペインとイタリアの国債相場も下落。
ダンスケ銀行(コペンハーゲン)のチーフアナリスト、アラン・フォンメイレン氏は中国からの報道を受け、「リスクセンチメントは全般的に良く支えられている」と指摘。加えて、欧州中央銀行(ECB)が供給した過剰流動性が減少するとの懸念で短期金利が上昇し、それに伴ってドイツ債利回りが上昇しているとも説明した。
ロンドン時間午後4時29分現在、ドイツ10年債利回りは前日比4ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)上昇の1.55%。19日には1.50%と、6月7日以来の低水準を付けていた。同国債(表面利率1.5%、2023年5月償還)価格は0.325下げて99.535。2年債利回りは5bp上げて0.15%と、4日以来の高さに達する場面があった。
複数の中国メディアは、李克強首相率いる同国政府は7%成長を景気減速下で容認できる最低ラインと見なしていると報じ、必要な場合には当局が景気拡大を支えるため行動を起こす可能性が示唆された。李首相はこれまで、当局は成長と雇用が共に下限を下回らないようにすべきだとの認識を示してきたが、下限がどの水準かは明言していなかった。
イタリア10年債利回りは4bp上昇して4.35%。同年限のスペイン債利回りは6bp上げて4.67%。ポルトガル10年債は4日ぶりに値下がりし、利回りは2bp上昇の6.41%。前日は一時49bp下げて6.31%と、6月20日以来の低水準を付けていた。
安全資産の需要後退で英国債も値下がり。10年債利回りはここ2週間で最も上昇した。英住宅ローン承認件数が6月に前月比で増え、英景気の回復兆候と見なされたことも一因。
ロンドン時間午後5時現在、英10年債利回りは5bp上げて2.31%。5日以来の大幅上昇となった。同国債(表面利率1.75%、2022年9月償還)価格は0.37下げて95.45。
原題:Bunds Decline as China Damps Safety Bid,Money Market Rates Rise(抜粋)原題:Gilts Decline on U.K. Mortgage Approvals, China’s GrowthPledge(抜粋)
更新日時: 2013/07/24 06:47 JST