参院選比例代表の当選者は四十八人。その真ん中ぐらいの票を集めながら落選した候補者がいる。緑の党から立候補したアーティストの三宅洋平さんだ。獲得した十七万六千九百七十票は比例代表の落選者の中では最多だった▼みんなの党の川田龍平さんや自民党の渡辺美樹さんら知名度のある候補者を上回る票を得ながら、当選を果たせなかったのは、緑の党全体の得票が少なかったためだが、三宅さん独特の選挙活動は若い世代を中心に日を追うごとに支持が広がった▼東京選挙区で当選した山本太郎さんと共闘しながら、「選挙フェス」と称する街頭ライブを全国各地で展開。原発やTPP、改憲に反対するメッセージを熱っぽく訴えた▼その動画はツイッターやフェイスブックなどを通じて爆発的に広がった。最終日夜の東京・渋谷駅前は、ツイッターなどを通じて知った大勢の若者で埋め尽くされていた。インターネットを使った選挙運動は参院選から解禁となったが、大きな効果があった例だろう▼「負けた気はしない。十数万人の票というのは、質量が重い。三年後の参議院選をめざす。これから千日間で世の中を変えましょう。選挙、面白くてやめられないぜ!」と三宅さん▼自民党の圧勝の裏に、選挙に無関心だった若い世代をネットでつなげ、社会を変えてゆこうとする新しい運動の芽吹きが見えてきた。