不正利用:「フォロワー」「いいね」売買 政治家も
毎日新聞 2013年07月23日 02時30分(最終更新 07月23日 06時56分)
参院選から解禁されたインターネットを使った選挙運動では、候補者のツイッターのフォロワー(閲覧者)や、フェイスブック(FB)で賛意を示す「いいね!」の数が注目された。だが、ネット上ではフォロワーや「いいね!」を売買するビジネスが存在する。運営会社は不正利用として禁じるが、関係者は言う。「フォロワー数はスーツや腕時計みたいなもの。最初は見せ金でも、そこからリアルなビジネスが始まるのです」【本多健】
「政治関係ですか? 月に5件ほど問い合わせがあります」。大阪市内に事務所を構える男性はこともなげに言う。「購入された方もいますよ」
ツイッター利用者の名前とパスワードを登録してアカウント(登録者名)を取得すると、登録した他の利用者のつぶやきも収集でき、政治家、芸能人らのアカウントには多数のフォロワーがつく場合がある。フォロワーなどを金銭を用いて増やすには、既に大量のフォロワーがついているアカウントを購入し名義を変更▽指定のアカウントにフォロワーなどを追加−−の2手法があるが、この男性が扱うのは前者のアカウントごとの販売だ。
最近模様替えしたホームページには売り文句が並ぶ。<Twitter 70000フォロワー付き 140000円 SOLD OUT><ネット選挙運動で非常に強力な武器><支持政党や候補者の応援に>。「ルール違反では?」と問うと「一応(抜け)穴を見つけています」という答えが返ってきた。
一方、2キロほど離れた場所に別の事務所を構え、フォロワーなどを客のアカウントに追加するサービスをしている男性(29)によると、最も重要な客はアイドルやミュージシャン。「ファンや関係者が本人に知らせず、応援のつもりで購入するケースもありますよ」
この男性はフォロワーなどを海外の同種業者から仕入れて転売しているという。ただし1000人分の「いいね!」なら1日程度でつけるが、一気に何万もつけると運営者側にアカウントを凍結(利用停止)される。さじ加減は「経験値しかない」。