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国際
中国軍への警戒論が噴出 米の専門家ら
【ワシントン=佐々木類】今年6月の米中首脳会談後、米国の中国専門家らから、冷戦時代のソ連軍との比較を踏まえ、中国軍の意思決定過程が不透明で行動を読みにくいとの見解が噴出している。
こうした議論は、中国軍のトップを兼ねる習近平国家主席が6月の米中首脳会談でオバマ米大統領に「新型大国関係」を提唱したことを受け、米識者が旧ソ連との比較をする中で目立ってきた。冷戦時代、米国とソ連は鋭く対立したが、ソ連軍の戦略や動きは米国側には比較的予想しやすかったとされている。
中国軍事戦略専門家のラリー・ウォーツェル氏は大手シンクタンク「ヘリテージ財団」での講演で、「米中両国間には経済と軍事両面で埋めがたい深い溝がある。特に中国の軍事戦略は理解しにくい」と述べた。
具体例として、中国海軍は何のために太平洋、インド洋、アフリカ沿岸まで活動範囲を広げ、米海軍艦艇などの航行の自由を脅かすのか分からないとした。
また、旧ソ連が限定的で比較的、明確な軍事戦略を持っていたとされるのに対し、中国軍は習近平主席の「中国の夢」に沿って軍拡を進め、仮想敵国の港湾などへの軍事攻撃のほか、サイバー攻撃能力を高めていると批判した。
特に、「冷戦時代は宇宙開発が直接の脅威になることを知っていたため、米ソ両国は節度を持って宇宙開発を進めていた。だが、中国とはこの分野で対話が成立せず、重大な関心を払う必要がある」とした。
「だれが対中戦争への準備を許可したのか?」というテーマで行われたジョージ・ワシントン大学での討論会では、米国防大戦略研究所のT・X・ハムズ上級研究員が「旧ソ連とはそれなりにうまくやってきた。ソ連軍が何を考えているかが分かり、次を予想できたからだが、中国軍は、だれが軍を制御しているのか不明で、行動を予測できない」と懸念を表明した。
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