サウジアラビアのメッカ(Mecca)で道路を横断する女性(2007年2月7日撮影)。(c)AFP/HASSAN AMMAR
【11月22日 AFP】サウジアラビアで2006年に起きた集団レイプ事件で、同国裁判所は14日、被害者の女性に200回のむち打ち刑と禁固6月の判決を言い渡した。この判決に対し、米国を始めとする各国で非難が起きている。
イスラム教の聖地メッカ(Mecca)を擁するサウジアラビアは、イスラム教スンニ派(Sunni)のなかでも最も戒律の厳しいワッハーブ派(Wahhabism)を国教としている。
そのため厳格な性別による分離を課しており、女性の行動を厳しく制限している。女性には、親族以外の男性との社交は認められず、人前では全身を布で覆うことが義務づけられている。
被害者の女性は19歳で身元は公表されていないが、この女性の出身地である東部州(Eastern Province)のイスラム教シーア派(Shiite)信者が多く住む地域、Al-QatifにちなんでQatif girlとして知られるようになった。
2006年10月に起きた集団レイプ事件で裁判所は当時、被害者であるこの女性に対して、親族ではない男性と車に同乗していた罪で90回のむち打ち刑を言い渡した。
その後、高裁は訴えを受理したが、今月14日に下された判決では200回のむち打ちと禁固6月という1審判決より重い量刑が言い渡された。
英字紙「アラブ・ニュース(Arab News)」が法廷筋として報じたところによると、判事団はこの女性が「メディアを通じてことを荒立てて司法に影響を及ぼそうとした」として刑を重くしたものだという。
■クリントン米上院議員も判決を激しく非難
米大統領選の民主党有力候補であるヒラリー・クリントン(Hillary Clinton)上院議員は21日、「非道極まりない」との声明を発表し、判決に対して激しい憤りをあらわにした。
さらに同盟国のサウジ国内の問題だとして、判決破棄の要請を行わなかったジョージ・W・ブッシュ(George W. Bush)政権の対応にも厳しい非難を浴びせた。
同議員は「サウジアラビアのアブドラ・ビン・アブドルアジズ(Abdullah bin Abdul-Aziz)国王に判決の破棄と起訴の取り下げを要求するようブッシュ大統領に求める。わたしが大統領になれば、もう一度米国が人権を最優先することを世界にアピールするつもりだ」と述べた。
米国務省は20日、この判決に対する「驚き」を示すにとどまり、サウジアラビアに判決破棄を求めるまでには至らなかった。(c)AFP