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学歴と学閥の生理 - 鈴木寛側の山本太郞への凄絶なデマ攻撃
湯浅誠が7/19に書いた問題の文書が発見された。投票2日前、きわめて重要な時期の選挙メッセージであり、有権者に向けての訴えと呼びかけだ。湯浅誠は、都合が悪いと考えたのか、このページを選挙直後に削除していたが、テキストを転載しているBlogがあった。内容は、鈴木寛と山本太郞の両陣営のネット上でのバトル、すなわちネガティブ・キャンペーンについての自身の立場表明である。こう言っている。「やれあいつは情報を隠蔽しただの、あいつは中核派だのと、相手を貶めるための情報が錯綜し、あげくの果てに、おまえはどっちの味方なんだという非難がましいメッセージが来るに及んでは、正直、何やってんだよ、その外から見たら、どう見えるか、考えてみようよ、と思わざるをえない」。文書全体の要旨と結論としては、どちらも尊敬すべき有為な候補なのだから、両陣営は足の引っ張り合いを自制すべきというもので、一見すれば、良識的な見解が述べられているように見える。しかし、三木谷浩史と長島昭久が応援団のツートップに並ぶ鈴木寛の選挙運動に積極的に協力したこと、鈴木寛を「有為な人材」だの「尊敬すべき」だのと持ち上げていることは問題だし、何より、この主張の最大の問題は、鈴木寛をSPEEDI隠しの責任者だと認めていないことだ。湯浅誠は、鈴木寛がSPEEDI隠しの責任者として糾弾されることを不当視していて、鈴木寛がそのような非難を受ける事実はないという立場に立っている。


鈴木寛のSPEEDI隠しの責任を否認している。このことが、この文書の最大の問題点であり、とても看過することのできない認識だ。選挙応援を頼まれ、それを引き受けた立場だから、鈴木寛を擁護する論陣を張るのは当然で、クロをシロと言ってのけるのも仕方がない、という見方もあるだろう。しかし、これは湯浅誠の文章なのである。津田大介や東浩紀や堀江貴文のそれとは違うのだ。事故以来、原発や放射能についても朝日や世界や週刊金曜日に何がしかの原稿を書き、東電や当局を批判する口ぶりを示し、不条理な被曝被害を受けた住民の側に寄って立つ姿勢を見せてきた論者の一人のはずなのだ。脱原発の論客としてマスコミで責任ある発言をするということは、当然、国民的関心事として騒然となったSPEEDI隠蔽の問題についても、最低限の知見を持ち、客観的な認識と判断を持っているということを意味する。それが当然だ。そこから考えれば、湯浅誠が鈴木寛の選挙応援に立って獅子奮迅していること、そして何より、SPEEDI隠しの一件について鈴木寛の関与を否定し、鈴木寛への責任追及を一蹴し、鈴木寛の言い訳をそのまま認めて擁護している態度は、あまりに驚愕の裏切り行為で、信じられない不誠実に映ることだろう。国民はあのとき、SPEEDI隠しの真犯人の追跡と特定に、あれほど必死になったではないか。7/17に上がった「反証レポート」なるものは、一から十までデマとウソの書き並べで、投票前に工作員が有権者の郵便ポストに投げ込む謀略ビラの類と全く同質のものだ。

鈴木寛の陣営と支持者たちは、最初から、SPEEDI隠しに関与した鈴木寛を批判する声に対して、それを「デマ」だと一方的に決めつけ、140字しか文字量のないTWで「それはデマだ」雨霰のごとく降り注ぐ作戦に出た。「反証レポート」には具体的な事実の根拠や証拠は何も示さず、また反論の対象たる素材の参照もなく、一方的に鈴木寛の言い分を「事実」として捏造して並べているだけだ。右翼が南京大虐殺や従軍慰安婦の否定でやっている強引な手口と同じである。この「反証レポート」を書いた者と直接向き合って、SPEEDIの件を30分も討論すれば、「反証レポート」が全てデタラメだということが簡単に証明されよう。私でも論破することができる。無論、彼らはそれを知っていて、140字のTWで、「デマだ」と物理的に塗り潰す作戦に出て、「デマではない真実はここにある」という「エビデンス」を140字の中に短縮URLで埋め込み、TWを見る者の印象としての信憑性と説得力を上げるべく、この「反証レポート」のページを設えたのである。ともかく、7/16あたりから7/20まで、右翼を援軍に組み入れて、鈴木寛側の、山本太郞側に対する、「デマを言っている」という悪罵の連呼は、度を超えて凄まじいものがあった。今、選挙が終わって、結果が出て、2日経った現在でも、まだ山本太郞に対して、鈴木寛支持者からの「デマ」呼ばわりが続いている。彼らは、その「デマ」のレッテル攻撃を、山本太郞側への「ポピュリズム」のレッテルとシンクロナイズさせていて、巧妙なネガティブの印象操作の威力を発揮している。

山本太郞の側の選挙戦術は、確かに、地べたの民衆の心情を代弁する先鋭なアジテーションを有効な武器として使っていた。鈴木寛側はこれを狡猾に逆手に取り、山本太郞と支持者に非知性的で感情的なポピュリズムのマイナスイメージを塗り込み、そのイメージ宣伝をTWで拡散し、そのTWに効果的なメッセージとして「デマだ」「誹謗中傷だ」というフレーズを仕込んだのである。そうして、鈴木寛を「デマの被害者」に仕立て上げ、無知な大衆のポピュリズムに襲われた有能な知的エリートとして演出していた。その演出と宣伝に加わって、いかにもそれらしいシチュエーションを細工し醸成する役割を果たしたのが、津田大介と湯浅誠である。実際には逆で、少なくともネット上の空間では、大量の右翼が動員され、山本太郞を苛烈にリンチする狂暴で凶悪なTWが洪水のように溢れていた。「悪しきポピュリズム」の実態は、鈴木寛側が仕掛けたデマ宣伝による扇動によるものが多かった。今回、特に鈴木寛と山本太郞の政治戦を見ながら、問われているのは、単に原発政策だけでなく、学歴と利権の問題だと私は直観する。その断面の一つは、確かに、踏みつけにされている底辺の人々の琴線に、山本太郞の「高校を中退して芸能界に入って」の言葉が染みこみ、一方、灘高-東大法ー経産官僚でやりたい放題やってきて、遂にはSPEEDI隠しと20ミリシーベルト環境という、言語道断の放射能被害を住民に与えて責任逃れをしている悪徳官僚の鈴木寛への怒りのエネルギーという問題があるだろう。だが、そうではない逆のもう一つの断面に私は気づいた。

それは、逆の側の憎悪の感情、つまり、高学歴の人間が、山本太郞やその支持者に対して、執拗で獰猛な侮蔑を吐き、口汚く罵り、迫害と排斥の意思を露骨に示してTWを連打していた態様である。例えば、都内の私立中高一貫から早慶一橋あたりに引っ掛かり、今は東浩紀や宮台真司や飯田泰之の口真似をして喜んでいる連中。彼らにとって、山本太郞の政策主張の表現とか、支持者たちの山本太郞のアジテーションへの共感は、心理的に我慢ならないもので、発作的に叩き潰したい「愚劣な」光景なのである。TWの政治言論世界などというものは、とても小さな池で、鯨が泳げば水が溢れる狭い水槽である。せいぜい数万人とかが見ているだけの社会空間だ。その限定的な世界では、決して高卒以下の学歴の方が多く、大卒以上が少ないという比率にはならない。数で逆転する。そんなこともあったのか、なかったのか、山本太郞に対する剝きだしの攻撃TWが多く、そこには大衆蔑視の暴力的咆吼があった。そして彼らは、湯浅誠や津田大介や東浩紀など商業論壇の売れっ子のバックアップという言説的事実に支えられ、安心し、自分たちが知的な理性を持っていて、自分たちが正しい知性と判断力を持っているのだと確信し、激越で粗暴な罵倒の数々を山本太郞側に吐きつけていたのだ。あいつらは無知なのだと、バカな愚衆なのだと。7/17-7/20の間、TWは山本太郞をリンチする右翼の暴言で埋め尽くされ、TWの多数派は、山本太郞による鈴木寛批判を「デマ」だと決めつけるものだった。今でも、TWではその余韻が残り、山本太郞に「デマ」と「ポピュリズム」のレッテルを貼って軽蔑するTWで溢れている。

そうした中で、一件、見逃せないTWがあった。これは本田由紀が7/18に上げたものだ。池田香代子が山本太郞へのネガキャンを扇動し、池田香代子の支持者がそれに応じたTWを集めた情報の紹介である。どこから、池田香代子が山本太郞への攻撃を始めたのかは定かではないが、選挙終盤、池田香代子が、やはり山本太郞に対して「デマ」攻撃を浴びせ、右翼との左右共闘の形になっていたのは歴然たる事実だ。池田香代子も岩波文化人の一人であり、「鈴木寛を応援する会」の面々とはよく同じ雑誌の誌面に登場する。山本太郞の当選を阻止すべく、TWでのネガキャンに参戦したのだろうか。それについては動機は理解できる。問題なのは、本田由紀である。この本田由紀のTWは、池田香代子を支援するもので、つまり、このとき行われていた鈴木寛と山本太郞の両陣営のネット上のバトルにおいて、鈴木寛の側に与力し、山本太郞の原発関連発言を「デマ」だと認定するものと言える。つまり、政治的効果を狙って旗幟を鮮明にしたという行動に他ならない。本田由紀がこのような行動に出た理由は何だろうか。すべての行為には動機がある。動機の詮索は別に、やはり、ここには学閥の論理と生理が、また「エリートと大衆」の問題が介在しているように思えてならない。学閥の生理。脱線するが、船橋洋一が「応援する会」に名を連ねていた理由について、ネット界隈では、例によってCIAの陰謀がどうのこうのという、ネット床屋政談特有のTWが上がっていた。そうではない。もっと事情はプリミティブで、船橋洋一は灘高なのである。かわいい官僚の後輩のために喜んで名前を貸してやったのだ。

鈴木寛と山本太郞の壮絶なバトル。あの戦慄の発起人名簿。この政治思想史的な大事件を読み解くキーワードは、学歴と学閥である。そして、エリートの大衆蔑視と大衆憎悪だ。山本太郞の運動とその高揚をポピュリズムの言葉で言い表すことを、私は特に政治学の認識として否定しない。しかし、鈴木寛側の山本太郞へのデマ攻撃は、その10倍も20倍も愚劣でグロテスクな、最悪のポピュリズムの現実だったこと、その現場に立った目撃者として断言したい。


by thessalonike5 | 2013-07-23 23:30 | Trackback | Comments(4)
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Commented by kazu at 2013-07-23 20:09 x
たいへん鋭い指摘だと思います。支配者側と被支配者側の対立と言い換えてもいいのでしょうか? 一見階級対立などないように見せかけている日本社会の深層を見事にえぐっているように思いました。
Commented by ろうのう at 2013-07-23 20:17 x
宮台はどっからどう見てもリバタリアンなことを主張してるのに
「これが本当の反体制だぁー、これが本当の左派リベラルだぁー」
みたいな変なアジテーションで自分は左派リベラルだと見せかけようとするところが許せません。と言うかこの人の話を聴くと目まいがしてきます。

 小選挙区制について言うと
左派政党ははたして「政府がネオリベ改革を遅らせてるからいけない」なんて言っていいのかということを考えます。米民主党はさんざんブレていますがそれでも「共和党がネオリベ改革を遅らせてるから悪い」とは言いません。これを言っちゃうと左派でもなんでもない政党になっちゃうからです。日本の民主党は左派政党としての規範をもたなかった。OWSも「政府がネオリベ改革を遅らせてるから悪い」とは言いません。
日本人は一歩間違うと言ってしまうところがあります。
Commented by 業界団体(文部系) at 2013-07-23 20:35 x
偏差値エリート軍団は、低学歴の人間に対等に立たれるのを、生理的に嫌がるんですね。対等に立たれたら、受験勉強が報われないから。

原発事故がおこっても、低学歴の人間を制御するほうが、安全性を確保することよりも優先するんです。自分たちの議論は「理性的な熟議」で、低学歴の議論はパニック扱い。

論争しても、自分たちの間違えは良くあるミスで、低学歴の間違えはオカルトとかデマ扱い。専門性も何もない人間が、原発問題で、デタラメな「安全です」を言っても、偏差値が高ければ多めに見てもらえる。

ここに楔を打ち込めたのは嬉しい。
Commented by カプリコン at 2013-07-23 22:29 x
そして、金持ちなのに頭悪くて屈折しているのが安倍晋三や麻生太郎。本人達は、自分のバカさ加減に気付いているのか、いないのかは分かりませんが。そんな二人を操って「こいつらバカだよな」と舌を出しているのが官僚や知識人って感じなんですかね。


偏差値って嫌な言葉ですね。決められた学力で人間を選別するんですもの。受験勉強で頂点の大学に入った人間が偉いなんてとんでもない思い上がりです。

結局、今の世の中、弱肉強食。持てない者がささやかな幸せを望むことも許されず、持っている者は際限なくいろんな物を手に入れられる仕組みになっているのでしょうね。

湯浅誠のやっていることって、彼が「反貧困」に書いていた「貧困ビジネス」そのもですね。あの本読んで感動していた自分がバカでした。

東京都の選挙結果は、岩手県民の私も嬉しく思います。

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