(台北 22日 中央社)民間の出版社3社がこのほど新たに高校の歴史教科書を作成したが、教育部の教科書審査委員会は「日據(日本占領時代)」などの表現が学習指導要領に合わないとして認可申請を却下した。委員会は「日治(日本統治時代)」などの表現を求めたが出版社はこれに反発、教育部は「日據」「日治」を併記する方向で調整している。
戦後台湾の歴史教科書では、1895年から1945年までの日本による植民地統治について、中華民国史観の立場から「日據」としてきたが、1997年の教育改革で中学校の歴史教科書では「日治」を使うようになり、その後高校でも「日治」に一本化。同時に、中国史以外に、植民地時代も含めた台湾の歴史についても詳しく教えるようになった。教科書は各出版社が作成し、教育部が認可する。
不認可となった3社は、両岸統一を主張する学者が後ろ盾となり昨年新たに設立された出版社で、「正しい歴史教育」を合言葉に、日本統治時代=「日據」、中華人民共和国=「中共」、台湾史・中国史=「本国史」などの表現を使用し、いずれも検定意見がついた。委員会はほかにも、「馬英九総統の対外政策に北京は善意をもって反応」「陳水扁前総統一家の汚職」などの表現を問題視、「台湾は中華文化を主体とする社会」についても「多元文化を主体とする社会」に改めるよう求めた。
ただ、指導要領では「日據」との表現を禁じる規定はなく、馬総統は「私は“日據”派だが“日治”に反対はしない、色々な考えがあってよい」とコメント。教育部では、章タイトルは「日治」に統一し本文ではいずれの使用も認め、別途用語解説も明記する方針を固め、月内にも決定する予定だ。
(編集:高野華恵)