2013-07-23

内田樹は3年前に何と言っていたか

はてなブックマーク内田樹参院選についての感想記事が人気を集めている。

参院選の総括

http://b.hatena.ne.jp/entry/blog.tatsuru.com/2013/07/23_0850.php

現に、今回の参院選では「ねじれの解消」という言葉メディア執拗に繰り返された。それは「ねじれ」が異常事態であり、それはただちに「解消されるべきである」という予断なしでは成り立たない言葉である。だが、そもそもなぜ衆参二院が存在するかと言えば、それは一度の選挙で「風に乗って」多数派を形成した政党の「暴走」を抑制するためなのである選挙制度の違う二院が併存し、それぞれが法律の適否について下す判断に「ずれ」があるようにわざわざ仕立てたのは、一党の一時的な決定で国のかたちが大きく変わらないようにするための備えである。言うならば、「ねじれ」は二院制本質であり、ものごとが簡単に決まらないことこそが二院制の「手柄」なのである

国会には「ねじれ」があって然るべきという意見のようだ。

さて、このような記事を書いた内田は、3年前、つまり2010年参院選によってねじれが発生した際に何を書いていたか見てみよう。

フリーズする政治

http://b.hatena.ne.jp/entry/blog.tatsuru.com/2010/07/16_1531.php

鳩山政権支持率をあそこまで下げておいて、鳩山政権の「居抜き内閣」には法外な支持率を与え、世論調査では消費税率アップに賛成しておいて、消費税率について踏み込んだ政策提言をしたとたんに「消費税導入反対」に切り替え、有権者意向に配慮しないと不満を言い、有権者に媚びるとは政治家としての矜恃がないと非をならす。

これはダブルバインド・セッティング以外の何ものでもない。

そう考えると、日本有権者が何をしようとしているのかを伺い知ることができる。

彼らは政治過程を「フリーズ」させようとしようとしているのである

政治家たちを「黙って嵐が過ぎるのを待つ」ようなマインドセットに追い込むことを目指しているのである

もちろん、個々の有権者に訊ねてみれば違うことを答えるだろう。

けれども、総意としては「政治過程フリーズ」を求めているのである

衆院与党3分の2に達しない「真性ねじれ国会」とは、多くの識者が指摘するとおり、「何も決まらない国会である

ダブルバインド呪縛にかかった国会である


この記事において、内田ねじれを生み出した「ダブルバインド呪縛」を良いことと捉えているのか悪いことと捉えているのかは一読した限りでは判然としない。

だがよく読めば、内田ダブルバインドという機序を

仕掛ける方を「主人」に、仕掛けられる方を「奴隷」に、政治的に非対称な関係固定化するための装置

と述べていて、さら

人を支配する方法としてメディアは「菅直人ダッチロール」を論難するが、私はむしろ有権者ダッチロール」が問題であると思う。

とも述べている。このことから内田はこの呪縛を基本的に悪いことであると捉えていると言えるだろう。

では、内田はこの3年間で「ねじれ」に関する認識を180度転換したのだろうか?

それとも単に、自分が気に入っている集団かそうでないか意見を変えているだけなのであろうか?

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