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復興進める政治切望 参院選自民大勝、ねじれ解消に被災者は

開票から一夜明け、当選した候補のあいさつを聞く仮設住宅の住民=22日、名取市内

 参院選から一夜明けた22日、東日本大震災の被災地では、「衆参ねじれ解消」に「復興へ弾みがつく」との期待感が広がった。一方で「自民の独裁」に警戒する声も。復興加速に向け、被災者は今後の政策を注視する。

 宮城県南三陸町の仮設住宅に暮らす主婦及川はるよさん(66)は「政権が安定し復興が進むはずだ」と自民党大勝を歓迎した。自宅は津波で流された。「受験を控える孫は自分の部屋がなく、かわいそう。一日でも早く、わが家に住みたい。施策の充実を望む」
 福島市の仮設住宅に住む無職斎藤アキイさん(75)は福島第1原発事故で福島県飯舘村から避難した。「着実に政策を実行してくれそう」と自民党候補に一票を投じた。夫は昨年、避難先で体調を崩して死去。「村に早く帰りたい」と帰還への取り組みを懇願する。
 「前の民主党政権の震災対応はつまずいた」と話すのは、仙台市若林区のみなし仮設に暮らす農業佐藤利幸さん(75)。衆参ねじれ解消で「決められない政治」からの脱却に期待する。
 「農機具一つそろえるにも個人の農家には支援がない。直接、支援が行き届く法律をつくってほしい」と注文を付ける。
 宮城県山元町の会社員斎藤勤さん(62)は震災後、暮らしの厳しさが身に染みる。震災で半壊した自宅を再建した借金、物価高がのしかかる。
 「国は物価上昇を誘導し、消費税増税も控える。年金で暮らせるかどうか不安だ。自民党独裁になれば、暮らしはますますひどくなるのでは」と心配する。
 被災女性でつくる手芸品の制作・販売を手掛けるサークルの代表で、宮城県東松島市野蒜の主婦門馬和枝さん(67)は「被災者の自立する気持ちを引き出す仕組みを整えてほしい」と要望する。
 岩手県釜石市中心部の店舗と自宅を津波で流失した桑畑真一さん(59)は、仮設商店街で書店を営む。「既存制度にとらわれない大胆な施策を講じないと、復興は加速しない」と指摘。「復興に与党も野党もない。皆で知恵を出し合ってほしい」とくぎを刺した。


2013年07月23日火曜日

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