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福島第1、汚染水遮断対策 東電、地盤改良工事を公開
 | 放射能汚染水の海洋拡散を防ぐため、特殊薬液の水ガラスを注入し、「土の壁」を造る作業員=22日午後7時、福島第1原発(代表撮影) |
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福島第1原発の井戸水から高濃度放射性物質が検出された問題で、東京電力は22日、汚染水の海洋流出を防ぐ地盤改良工事を報道機関に公開した。「水ガラス」と呼ばれる特殊薬液を地盤に注入して「土の壁」を造り、汚染水を遮断する。効果は数年にとどまり、流出を食い止める決定打にはならない。(福島総局・山崎敦)
<水ガラス> 工事は作業員が防護服、全面マスク姿で作業する。日中は熱中症になる危険があり、夜間に行う。22日も午後7時に開始し、作業員10人が薬液を注入する重機を操っていた。放射線量は毎時50〜200マイクロシーベルトと高く、完全防備は欠かせない。工事は8日に始まり、8月中旬に終わるという。 水ガラスは2種類の薬剤を混ぜ、2秒で固まる。トンネル工事で実績があり、数年間の耐久性がある。1、2号機の海側に広がる地盤に全長90メートル、幅1.5メートル、深さ15.5メートルにわたって「土の壁」設け、水を遮る。
<汚染源> 井戸は地下水汚染状況を地上からのぞく観測用で、2号機の海側に設けられた。9日にストロンチウムなどベータ線を出す放射性物質が1リットル当たり90万ベクレル検出された。15日も89万ベクレルが出るなど濃度は下がっていない。周辺の井戸からもセシウム134が最大1万1000ベクレル(法定基準60ベクレル)、同137が2万2000ベクレル(90ベクレル)検出された。 原子力規制委員会は「汚染水が海に到達していると疑われる」と海洋流出を指摘して東電に抜本的解決を求めた。東電は流出を否定したが、22日、一転して流出を認め、危機管理能力の欠如をあらためて露呈した。 2011年4月に高濃度汚染水が漏れ出た2号機タービン建屋海側のトレンチ(作業用トンネル)の残留水のほか、タービン建屋下に流れ込んで汚染された水が流出したと考えられる。海洋汚染は避けられず、漁業者の反発は必至だ。
<遠のく廃炉> 高濃度汚染水は3号機の海側でも検出された。汚染源の特定を困難にし、廃炉作業を遅らせる。 3号機の炉心上部からは18日、湯気が立ち上っているのが見つかった。ネズミが侵入して最大29時間停電し、冷却装置が止まったこともあった。 メルトダウンした原子炉建屋の地下には毎日プール一杯分、約400トンの地下水が流れ込み、「汚染水製造工場」と化している。事故から2年4カ月。事故収束に向かっている実感は持てない。
2013年07月23日火曜日
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