特集ワイド:参院選 今だから、安倍首相にあえて一言 大勝後の政権は、もろい

毎日新聞 2013年07月22日 東京夕刊

中継インタビューを終え、会場を後にする安倍晋三首相(右)。左は石破茂自民党幹事長=東京都千代田区の自民党本部で2013年7月21日午後11時15分、小松雄介撮影
中継インタビューを終え、会場を後にする安倍晋三首相(右)。左は石破茂自民党幹事長=東京都千代田区の自民党本部で2013年7月21日午後11時15分、小松雄介撮影

 続いて、小学生時代の安倍さんの家庭教師を務めた自民党の平沢勝栄衆院議員(67)に尋ねた。「気短なところもある人だけど焦らなくなりました。以前は使命感が強すぎ、短距離走のように急いでいろんなことに手を出し過ぎた。今回は一歩一歩着実。政権運営はマラソンと同じ。ペース配分が大事です」

 ですが、と続けた。「私は改憲に賛成ですが、安倍さんが春ごろ株高・円安になったからといって改憲を言い出したのは早計でした。アベノミクスの実感、まだ国民にないでしょ。経済が固まっていないのに改憲を持ち出しても国民には違和感がある。8月には安倍応援団のような学者らが靖国神社参拝を唱えるでしょうが、国民的合意はできていません。慎重に対処すべきですね」

 定規で安倍氏を小突いたこともあるという平沢さん、いまだ閣僚経験なし。「たたかれたことを忘れていないからって? あははっ、そうかもね、何せ頑固だから」

 自民圧勝について「僕にはいよいよ与党の『ヤンキー化』が進んでいるようにしか見えません」と話すのは精神科医の斎藤環さん(51)だ。「ヤンキー」とは服装などで周囲を威嚇し、自分を強く見せようとする若者を指す。斎藤さんは「『気合』『絆』を重視し、難しい理屈はどうでもいい、今が良ければいいという反知性主義の感性」との意味を加え、現代社会を読み解くキーワードとしている。

 「安倍さんが言う『頑張った人が報われる社会に』とは、気合があれば何とかなるというヤンキー的精神主義そのものです。頑張れない、頑張らない人を含めて救うのが政治の最大の役割。自民党改憲案には『家族の絆』もあるし、外国を威嚇するような『国防軍』もある。将来の国民の健康より、目先の原発再稼働に走る発想も『いま』を重視するヤンキーと同じです」

 安倍首相は3月の参院予算委の質疑で、現行憲法解釈の基礎を築いた憲法学者、故芦部信喜氏について「存じ上げていない」と答弁した。「改憲がライフワークと公言していながら驚くべきことです。改憲は正しい、だから理屈はどうでもいいという反知性主義があらわになった。『そんな学者、知らなくていいじゃないか』と擁護する声もありましたが、この人たちは最高指導者に知性を求めないヤンキー性を共有しています」

 ずいぶん辛辣(しんらつ)な見方だ。「本来、保守思想は深い知性の裏打ちが必要です。昔の自民党はリベラルから右までそろっていて、保革対立の中で保守としての知性を磨いてきた人が多かった。安倍さんも『美しい』とか『新しい』とか形容詞を並べるのではなく、知的かつ論理的に構築された国家論を語ってほしい」

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