関越道バス事故 きょう運転手初公判7月23日 7時19分
去年4月、群馬県の関越自動車道で、乗客7人が死亡し、38人がけがをしたバス事故で、居眠り運転をしていたなどとして自動車運転過失致死傷などの罪に問われている45歳の運転手の初公判が、23日、前橋地方裁判所で開かれます。
去年4月29日の早朝、群馬県藤岡市の関越自動車道で、石川県から千葉県に向かっていた高速ツアーバスが、道路脇の壁に衝突し、乗客7人が死亡、38人がけがをしました。
この事故で、運転手の河野化山被告(45)が、居眠り運転をしていたなどとして自動車運転過失致死傷などの罪に問われ、23日、前橋地方裁判所で初公判が開かれます。
河野運転手は、起訴された後に健康状態を詳しく調べたところ、突然、強い睡魔に襲われる睡眠時無呼吸症候群と診断され、弁護側は裁判で争点の一つにする方針です。
一方、検察側は、河野運転手が、事故のおよそ20分前から眠気を感じて、事故を予見できたにもかかわらず、そのまま運転を続けていたとして、過失責任があると主張する方針です。
事故をきっかけに、高速ツアーバスは安全対策が見直され、夜間に運転手が1人で運転できる距離が短縮されたほか、来月からは、高速ツアーバスが廃止され、国の許可を得て定期的に運行する、高速乗り合いバスに一本化されます。
安全対策強化で帰省バス不足も
去年4月の関越自動車道の事故のあと、国は安全対策を強化し、高速ツアーバスの制度そのものを廃止します。
一方で、事業からの撤退が相次ぎ、この夏の帰省ラッシュにバスが不足し、路線によっては予約が取りづらいといった影響が出ることも予想されています。
乗客を乗せて高速道路を走るバスには、高速ツアーバスと、観光バスなどそれ以外の貸し切りバス、それに路線バスの3つのタイプがあります。
事故を受けて国土交通省は、関越道で事故を起こした高速ツアーバスを対象に、安全基準を厳しくし、去年7月、運転手が夜間1人で乗務できる距離を、670キロから、原則400キロに見直しました。
さらに12月には、観光バスなどそれ以外の貸し切りバスも、来月1日からは路線バスも対象となり、乗客を乗せて高速道路を走るバスは、すべて厳しい安全基準が適用されるようになりました。
安全基準の見直しに先立って、国が2700人余りの運転手にアンケート調査を行ったところ、およそ80%の人が、「夜間、安全に運転できる距離」について、「400キロまで」と回答したということです。
また、3つのタイプのバスのうち、高速ツアーバスと、路線バスを、来月1日から「高速バス」に統一し、高速ツアーバスの制度そのものを廃止します。
これは高速ツアーバスの場合、客を集める旅行会社と、バスを運行する会社が別々で、安全管理などの責任があいまいとなり、問題だと指摘されてきたからです。
関越道の事故を受けて、国が去年、高速ツアーバスの運行会社を調べたところ、全体の64%の会社が、運転手に必要な休憩をとらせなかったり、長時間運転させたりしていたということです。
このため、高速バスに統一することで、ツアーを企画し、客を集める会社が、運転手の健康管理といったバスの運行についても責任を持つことになり、停留所の設置も義務づけられました。
一方で、これまで高速ツアーバスを手がけてきたバス会社にとっては、運転手の増員などを迫られ、新たな経費が必要になるため、事業からの撤退が相次いでいます。
国土交通省によりますと、高速ツアーバスを手がけていた合わせて286社のうち、高速バスとして事業を継続するのは、今の時点で111社と、全体のおよそ40%にとどまっています。
このため、多くの高速ツアーバスが運行されてきた東京と、大阪や名古屋、それに仙台を結ぶ路線は、この夏の帰省ラッシュにバスが不足し、予約が取りづらいといった影響が出ることも予想されています。
[関連ニュース] 自動検索 |
[関連リンク] |
|