篠田麻里子、聖地秋葉原で卒業　「結婚願望は３２歳までに」

　人気アイドルグループ「ＡＫＢ４８」の篠田麻里子（２７）が２２日、東京・秋葉原のＡＫＢ４８劇場で卒業公演した。８年分の酸いも甘いも詰まった思い出深い場所で、約２５０人のファンに、アイドルとしての最後の勇姿を見せつけた。公演には、自身がキャプテンを務めるチームＡのメンバー１６人が出演。苦楽を共にした大島優子（２４）、小嶋陽菜（２５）、板野友美（２２）、峯岸みなみ（２０）の４人も駆けつけた。

　午後６時の開演前。舞台裏でチームＡのメンバーはすでに号泣していた。「篠田チームＡ」として最後の円陣。キャプテン篠田の掛け声に、全員が心を一つにした。２００倍を超える倍率の中から抽選で選ばれた２５０人のファンの大声援が飛ぶ中、約２時間半にわたる最後のステージで篠田が完全燃焼した。

　「最初はキャプテンに任命されてそれだけでプレッシャーでした。メンバーを見て、若すぎるなと。自分も（今）１９歳だと思っていますが、いろんなギャップがあって、初めて組閣（チームメンバーの入れ替え）ってつらいなって思いました」

　いつもは面倒見の良いあねご肌が、冗談を交えながらも初めて漏らした本音だった。

　アンコールで、駆けつけた板野や小嶋らとともに篠田の卒業ソング「涙のせいじゃない」を涙ながらに披露。さらに、チームＡメンバー全員で「上からマリコ」を歌った。高橋みなみは、篠田の母から預かってきた手紙を代読。心憎いサプライズに、篠田はおえつしながら号泣していた。

　「ＡＫＢは私にとって青春でした。自分の青春は（デビュー時には）終わっていましたが、新しい青春というか…。かわいい後輩がいて、応援してくださる皆さんがいて…。こういう環境がすごく幸せです」

　篠田は感無量の表情で、最後の曲「あなたがいてくれたから」を紹介した。ところが、楽曲名を言い間違えるハプニングもあり、会場は爆笑に包まれた。

　卒業後はモデルやデザイナーなど、ファッションの仕事を中心に活動する。「これは悲しい卒業じゃなくて、前向きな卒業だと思っています。皆さん大好き！！」。締めくくりのあいさつだった。ところがここでも「やっぱり卒業しません」とジョークを放ち、和やかな雰囲気の中、笑顔でステージを後にした。

　アイドルを目指して福岡から上京後、１９歳でＡＫＢ４８の第１期オーディションを受けたが落選。その後は劇場内のカフェでアルバイトをしていた。月給は約４万円。友人とルームシェアして暮らしていたが、料金の滞納で電気や水道が止められたこともあった。

　０６年１月、ＡＫＢメンバーのファン投票で、カフェ店員の篠田が正規メンバーを差し置いて１位を獲得。総合プロデューサーの秋元康氏から課された「４日以内に１２曲の振り付けをマスターしろ」という条件をクリアし、１月２２日、ついに念願の劇場デビューを果たしたのだった。

　「ずっと（カフェから）見てて、なかなか（劇場へ続く）扉の奥には入れないんだけど、たまに入るとみんながキラキラ輝いていて、ステージに立ちたいと思った」。グループで唯一、ファンの声によってメンバー入りしたからこそ、ＡＫＢ４８劇場で恩返しのラストを飾りたいという思いは人一倍強かった。

　どん底からはい上がり、国民的アイドルグループになるまでのサクセスストーリーを誰よりも長く、そして深く味わったメンバーといえよう。

　篠田は終演後、取材陣の合同インタビューに応じ心境を語った。

　−最後の公演を終えて

　「自分の原点で最後を迎えられたのは、再スタートにもなるし、いい区切りになりました。新しい一歩を踏み出す不安もありますが、自分らしく前を向いていけたら」

　−ＡＫＢの一番の思い出は

　「言い合ってもその人を嫌いにならない絆ですね。けんかがあっても絆が深まるグループ。それは自分にとっても財産です」

　−２３日から恋愛解禁になるが

　「それ、言われると思いました。でも、そういう気持ちにならないと思うので、徐々に…」

　−結婚願望は

　「こういうドレス着ると出てきますね。できれば３２歳までに。理想？　自分を持ってて、引っ張ってくれる人がいい。私が結構（気が）強めなので、引っ張ってくれる人がいい」

　−「上からマリコ」のセンターは誰に引き継いでほしいか

　「歌う機会があるなら、私が歌いに行きます！！　それまでは（誰も）歌わないでほしいかな。『マリコ』の部分を他のメンバーに変えるのはありですけどね」

　−前田敦子がＡＫＢのエースなら、篠田麻里子は

　「縁の下の力持ちですね。前に出たいタイプじゃないけど、みんなを支えられるタイプでありたい」