7月22日の海外株式・債券・為替・商品市場
(ブルームバーグ):欧米市場の株式、債券、為替、商品相場は次の通り。
◎NY外為:ドルが下落、米金融緩和の縮小は当面ないとの観測で
ニューヨーク外国為替市場では、ドルが主要16通貨全てに対して下落。米金融当局はしばらく緩和縮小に動かないとの観測が広がる中、高利回り資産の需要が高まった。
円はドルに対し4営業日ぶりに上昇。円をさらに押し下げるには一段の政策措置が必要になるとの見方が広がった。21日の参院選では自民・公明の両党が過半数の議席を確保し、衆参で与野党勢力が逆転していた「ねじれ国会」は解消された。ブラジル・レアルとオーストラリア・ドルは上昇。米連邦準備制度理事会(FRB)のバーナンキ議長は先週、上院銀行委員会の公聴会で発言し、9月に緩和縮小が開始されるのかどうか「判断するのは時期尚早だ」と述べた。
BNPパリバの通貨ストラテジスト、バシーリ・セレブリアコフ氏(ニューヨーク在勤)は電話取材で、「金融政策は長期にわたり非常に緩和的な状態が続くと市場は理解し、落ち着きを見せている」と分析。「新興市場ではセンチメントにやや安定が見られている。新興国通貨および商品はより前向きなリスク選好の恩恵を受けつつある」と続けた。
ニューヨーク時間午後5時現在、ドルは円に対し前週末比1%安の1ドル=99円67銭。一時1.4%安と、日中ベースで11日以来の大幅な下落率となった。円は対ユーロで0.6%上げて1ユーロ=131円42銭。ユーロは対ドルで0.3%高の1ユーロ=1.3186ドル。
ボラティリティJPモルガン・チェースのグローバルFXボラティリティ指数は9.21%と、終値ベースで5月14日以来の水準に低下。6月24日には1年ぶり高水準の11.96%を付けた。年初来の平均は9.33%。
BRICS(ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカ)の均等加重の通貨バスケットは2営業日続伸した。
ブラジル・レアルは3営業日ぶりに上昇。トンビニ・ブラジル中銀総裁の発言を受け利上げペースが加速するとの観測が強まった。レアルは0.6%高の1ドル=2.2331レアル。
豪ドルは値上がり。中国人民銀行(中央銀行)が19日、貸出金利の下限撤廃を発表したことに反応した。これまでは政策金利である基準金利を30%下回る水準を下限としていた。中国はオーストラリア最大の貿易相手国。豪ドルは0.8%高の1豪ドル=0.9249米ドル。
バーナンキFRB議長は先週の議会証言で、資産購入について「事前に方針が決まっているわけでは決してない」と言明した。
ドルは6月に上昇。バーナンキ議長はFOMC会合後の記者会見で、「入手するデータがこの経済予測と大まかに一致すれば、年内に購入ペースを緩めるのが適切だと委員会は現在のところ見込んでいる」と説明した。
円に売り余地ハンス・レデカー氏らモルガン・スタンレーのストラテジストは顧客リポートで、円の上昇で売る余地が生まれると指摘。改革で円は最終的に圧力を受けるためだと説明した。
参院選の結果、自民・公明の両党合わせた議席は242議席中135議席となった。
安倍首相は22日、デフレ脱却に集中すると表明。経済界からは法人税引き下げや規制緩和などを求める声が高まっている。
調査会社レッドタワー・アセット・マネジメント(アバディーン、スコットランド)のシニア為替ストラテジスト、ゲリー・セラヤ氏は「結局のところアベノミクスへの信頼という問題に行き着く。安倍政権が改革を推し進められるかどうか。そしてさらに重要なのは、それが円にとって本当にプラスなのかだ」と指摘した。
原題:Dollar Drops Amid Speculation Fed Tapering on Hold; RealRallies(抜粋)
◎米国株:小幅上昇、住宅統計や企業決算で緩和策継続との観測
22日の米国株 は上昇。株式上場投信(ETF)への月間資金流入は5年ぶりの高水準となった。朝方発表された住宅統計やマクドナルドなど各社決算の内容を受けて、緩和策が継続するとの観測が広がった。
ニューヨーク時間午後4時過ぎの暫定値では、S&P500種株価指数 は前営日比0.2%高の1695.53。ダウ工業株30種平均はほぼ変わらずの15545.55ドル。
パイオニア・インベストメント・マネジメント(ボストン)の運用担当者、ジョン・キャリー氏は「決算は景気の拡大を反映している。しかし好景気や勢いある経済というわけではない」と述べ、「米金融当局者が予測していたよりも若干景気が良くなり、想定よりも早期に緩和策が縮小されるとの懸念があった。今、ここに来て経済成長の伸びが比較的緩やかになり、企業の増益ペースも減速している中で、縮小をそれほど懸念することはないだろう」と続けた。
予想よりも良好な企業決算やバーナンキ連邦準備制度理事会(FRB)議長が資産購入策の継続期間について柔軟な姿勢を維持したことが材料となり、S&P500種は先週0.7%上昇し、最高値を更新した。
◎米国債:10年債利回りほぼ3週ぶり低水準、住宅統計で緩和継続観測
米国債市場では10年債利回りがほぼ3週間ぶり低水準で変わらず。米中古住宅販売が予想外に減少し、景気押し上げのための金融緩和が継続されるとの見方が高まった。
23日の入札を控えて2年債利回り0.302%となった。6月に行われた前回入札での最高落札利回りは0.430%だった。米財務省は今週、2年債のほかに5年債、7年債合計990億ドルの入札を予定している。バーナンキ米連邦準備制度理事会(FRB)議長が6月に年内の資産購入縮小を示唆したことを受け、10年債利回りは今月上昇し、2011年8月以来の水準に達していた。
BNPパリバの金利ストラテジスト、アーロン・コーリ氏(ニューヨーク在勤)は「住宅はFOMCのシナリオと一致しないデータの一つだ」と指摘。「月末を控え、米金融政策の将来についての見方は固まっていないようだ」と続けた。
ブルームバーグ・ボンド・トレーダーによれば、ニューヨーク時間午後5時現在、10年債 利回りは前週末比ほぼ変わらずの2.48%。同年債(表面利率1.75%、2023年5月償還)価格は93 21/32。
利回りは一時、2.46%まで下げ、3日以来の低水準に接近する場面もあった。過去2週間では合計26ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)低下した。30年債 利回りはこの日1bp下げて3.55%。一時は5日以来の低水準となる3.53%を付けた。
中古住宅販売全米不動産業者協会(NAR)が発表した6月の中古住宅販売件数(季節調整済み、年換算、以下同じ)は、前月比1.2%減の508万戸。ブルームバーグ・ニュースがまとめたエコノミスト調査の予想中央値は526万戸だった。前月は514万戸(速報値518万戸)に修正された。
RWプレスプリッチの政府債取引担当マネジングディレクター、ラリー・ミルスタイン氏(ニューヨーク在勤)は「今回は中古住宅販売が予想より低かった。先週は住宅着工件数と許可件数が非常に弱かった」と指摘。「最近の数字が弱めに出ていることを考慮すると、9月の緩和縮小はないだろう。この見方が米国債市場を支えている」と述べた。
米財務省は23日に2年債350億ドル、24日に同額の5年債、25日に7年債290億ドルの入札を予定している。
CIBCワールド・マーケッツのマネジングディレクター兼米国債トレーディング責任者、トム・トゥッチ氏(ニューヨーク在勤)は「直近の入札ではディーラーからの買いが入らなかった」と指摘。「今週は長期物のアウトパフォームが予想されている」と続けた。
FF金利は来年12月まで維持かバーナンキ議長は18日の上院銀行委員会で質疑に応じ、過去2カ月の利回り上昇がもたらした金融状況のタイト化は「歓迎しない」と述べた。
ブルームバーグがまとめたデータによると、フェデラルファンド(FF)金利誘導目標は60%の確率で来年12月まで0.25%で維持されると予想されている。
原題:Treasury Yields at Almost 3-Week Low as Existing-HomeSales Drop(抜粋)
◎NY金:続伸、1年ぶり大幅高-米緩和策継続の観測強まる
ニューヨーク金先物相場は続伸。約1年ぶりの大幅高となった。米金融当局が緩和策を継続するとの観測を背景に、価値保存手段としての金買いが膨らんだ。
米連邦準備制度理事会(FRB)のバーナンキ議長が債券購入 の縮小が9月に開始されるのかどうか判断するのは時期尚早だと述べたことを材料に、金は先週1.3%上昇し、週間ベースでは5月以来初の2週連続上昇となった。全米不動産業者協会(NAR)がこの日発表した6月の中古住宅販売件数は前月比1.2%減少した。
TDセキュリティーズの商品戦略責任者、バート・メレク氏は電話インタビューで「バーナンキ議長の発言を受けて、金に買いが入っている」と指摘。「弱い住宅の指標も緩和策がしばらくは続くという事実の確認になった」と述べた。
ニューヨーク商業取引所(NYMEX)COMEX部門の金先物12月限は前週末比3.3%高の1オンス=1337.30ドルで終了。2012年6月29日以来の大幅上昇となった。一時は1340.50ドルと、中心限月としては6月20日以来の高値をつけた。
原題:Gold Futures Advance Most in a Year on U.S. StimulusOutlook(抜粋)
◎NY原油:下落、米中古住宅販売の予想外の減少を嫌気
ニューヨーク原油先物相場は1年4カ月ぶり高値から下落。米中古住宅販売は予想外に減少し企業決算も予想を下回る内容となったことで、景気が失速し燃料需要が伸び悩むとの懸念が広がった。
全米不動産業者協会(NAR)が発表した6月の中古住宅販売件数 (季節調整済み、年換算、以下同じ)は、前月比1.2%減の508万戸。ブルームバーグ・ニュースがまとめたエコノミスト調査の予想中央値は526万戸だった。またマクドナルドの4-6月(第2四半期)決算では利益と売上高がアナリスト予想を下回った。ウェスト・テキサス・インターミディエート(WTI)の相対力指数(RSI、14日ベース)は21日ぶりに70を下回った。
IAFアドバイザーズ(ヒューストン)の商品調査ディレクター、カイル・クーパー氏は「相場は下落しており、データも支援材料になっていない」と指摘。「企業決算は原油にとっては重要になる。価格は過大評価されている。1バレル=100ドル超は行き過ぎだろう」と続けた。
ニューヨーク商業取引所(NYMEX)の原油先物8月限は前週末比1.14ドル(1.06%)安の1バレル=106.91ドルで終了。19日は終値で108.05ドルと、2012年3月以来の高値を付けていた。同限月は22日が最終取引。9月限は93セント安の106.94ドル。
原題:Crude Falls From 16-Month High on Unexpected Drop in HomeSales(抜粋)
◎欧州株:4営業日続伸、7週ぶり高値-UBSやフィリップス増益で
22日の欧州株式 相場は4営業日続伸。指標のストックス欧州600指数は7週間ぶり高値を更新した。スイスの銀行最大手UBSやオランダのロイヤル・フィリップス・エレクトロニクスが増益決算を発表した。
UBSは2年ぶり高値に上昇。フィリップスは8営業日続伸。ポルトガルのPSI-20指数は2.3%の値上がり。同国のカバコシルバ大統領が早期の総選挙を望まない意向を確認した。ベルギーの携帯電話会社モビスターは上場来の大幅安。利益見通しの下方修正や配当停止が響いた。
ストックス欧州600指数 は前週末比0.2%上げて300.30。この日は方向感のない展開だった。先週は1.2%上昇。米連邦準備制度理事会(FRB)のバーナンキ議長が資産購入ペースについて、米景気次第だとの柔軟な姿勢を示したことなどを受けた。
フォントベル・アセット・マネジメント(チューリヒ)の株式・商品戦略責任者、アンドレアス・ニッグ氏は「米金融当局が市場を落ち着かせ、強い相場上昇につながった」と振り返り、「欧州発の決算はこれまでのところ、一見して良好だが、相場がもはや非常に割安でないことも覚えておくことが大切だ」と付け加えた。
ストックス欧州600は年初から7.4%上昇。ブルームバーグのデータによれば、株価収益率(PER、予想ベース)は13.4倍と、過去3年の平均11.4倍を上回っている。
この日の西欧市場では18カ国中10カ国で主要株価指数が下落した。
原題:Europe Stocks Rise for Fourth Day as UBS,Philips Gain on Profit(抜粋)
◎欧州債:ポルトガル債上昇、総選挙の早期実施回避か-英独債も高い
22日の欧州債市場では、ポルトガル国債相場が上昇し、10年債利回りは1月以来の大幅低下となった。現政権が任期満了まで維持されるとの見通しをカバコシルバ大統領が示し、選挙の早期実施を望まない意向を確認したことを受けた。
ポルトガル10年債利回りは4週間ぶり低水準を付けた。この日はイタリアとスペインの国債も値上がりしたほか、ドイツ10年債利回りは6週間ぶり低水準に近い。欧州国債は先週、世界の主要中央銀行が金融緩和を続けるとの楽観で軒並み値上がりしていた。
バイエルン州立銀行のシニア債券ストラテジスト、マリウス・ダハイム氏(ミュンヘン在勤)は「カバコシルバ大統領による現政権維持の確認で、政治危機が当面解決したとの認識が増した」と指摘。その上で、「これはもちろんポルトガル国債を支えるプラスの要因だが、この政治的安定がどれだけ長く続くかはまだ分からない」とも付け加えた。
ロンドン時間午後4時15分現在、ポルトガル10年債(表面利率4.95%、2023年10月償還)利回りは前週末比42ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)低下の6.38%。これは1月2日以来で最も急激な低下。一時は6.31%と、6月20日以来の低水準まで下がった。価格は2.825上げて89.45。ポルトガル10年債利回りの過去最高は昨年1月に付けた18.29%。
ドイツ10年債利回りはほぼ変わらずの1.52%。19日には1.50%と、6月7日以来の低水準を付けていた。
イタリア10年債利回りはこの日、7bp低下の4.33%。同年限のスペイン債利回りは6bp下げて4.62%。
英国債は値上がりし、10年債利回りは2bp低下の2.26%。19日には2.24%と、6月20日以来の低水準となる2.24%を付けている。同国債(表面利率1.75%、2022年9月償還)価格は0.17上げて95.79。
原題:Portugal’s Rally Leads European Bonds asEarly Election Avoided(抜粋)原題:Pound Strengthens Fifth Day as Cameron SeesRecovery; Gilts Rise(抜粋)
更新日時: 2013/07/23 06:52 JST