詐欺:僧らを3000万円詐取容疑で逮捕 「得度で改名」制度を悪用−−京都府警
毎日新聞 2013年06月26日 大阪朝刊
多重債務者を僧侶にして名を変えさせ、さらに養子縁組で姓を変えさせる方法で、金融機関から融資金3000万円をだまし取ったとして京都府警組織犯罪対策2課などは25日、京都市山科区大宅古海道町、僧侶、三浦道明容疑者(48)ら4人を詐欺容疑で逮捕した。府警によると、僧侶になると戸籍の改名が許可される制度を悪用し詐欺を働いたとして、僧侶が逮捕されるのは極めて珍しい。余罪があるとみられ、被害総額は約1億円に上るとみて調べている。
他に逮捕されたのは、三浦容疑者の実弟で京都市下京区柿本町、無職、三浦真明(46)▽融資を受けた大阪府寝屋川市清水町、会社員、高尾道真(54)▽養子縁組の相手となった京都市右京区西京極畔勝町、自営業、森岡保(65)−−の3容疑者。
容疑は2010年5月下旬、京都市の銀行で、高尾容疑者は多重債務者で融資資格がないことを隠し、マンション購入名目で3000万円をだましとった、としている。道明、森岡両容疑者は否認し、真明、高尾両容疑者は認めているという。
府警によると、道明容疑者は09年、自身が代表役員の宗教法人「定光坊」(大津市)で高尾容疑者が得度したとの書類を福井家庭裁判所(福井市)に提出し、本名の「高尾真」から僧名「高尾道真」に改名させた。道明容疑者は、高尾容疑者を得度させる際、袈裟(けさ)を着せ、10分間程度お経を読んで聞かせただけだったという。
数カ月後、別の金融機関で融資を申し込んだが、審査で借金が分かり断られたため、10年4月、森岡容疑者と養子縁組して「森岡道真」に改名。偽造した源泉徴収票などを提出し、融資を受けた。
捜査関係者によると、道明容疑者は大津市の門跡寺院の住職(故人)の息子だが、現在はこの寺院とは関係がないという。