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事件
【降圧剤データ操作】「飲み続けていいのか」 不安の患者に臨床現場は怒り
2013.7.13 01:03
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「不正の影響は大きい。日本での研究は費用はかかるが質は高いというのが世界での評判。しかし、今回の一件は日本の信頼を一気におとしめかねない」。厚労省の担当者はそう嘆く。
厚労省は、文部科学省と進めている、臨床研究を実施する際の倫理指針の見直し作業の中でもデータ操作問題を検討。臨床研究データの質をどう保証するか、さらに議論を続ける。
残り4大学も…
府立医大と同様の研究を行っていた4大学は、対応に追われている。
英医学誌に掲載された論文で問題を指摘された東京慈恵医大は調査委員会で調査しており、「まとまり次第報告する」という。滋賀医科大も5月末に調査を開始。論文にノ社の元社員と思われる名前が大阪市立大の肩書で記載されているといい、「恣意(しい)的なデータ操作が確認されれば研究に関わった教授や大学の威信に関わる問題。詳細を調査する必要がある」とした。
「これまでの調査では執筆者に元社員は確認されなかったが、論文作成の過程で関与した可能性も残る」というのは名古屋大。千葉大は「調査中で詳細は答えられない」としている。
臨床現場からも憤りの声があがる。東京都千代田区のクリニック「四谷メディカルキューブ」で高血圧の患者などを診療する加藤辰也副院長(61)は「患者から『飲み続けていいのか』という問い合わせが来ている。降圧効果は確かだが、この状態だと今後は『薬を変えて』という声も出るだろう」と指摘した。
【用語解説】ディオバン
せきなどの副作用が少ないとされる降圧剤「アンジオテンシンII受容体拮抗(きっこう)薬(ARB)」の一つ。体内物質「アンジオテンシンII」を抑えて血管を広げ、水分や電解質を調整し、血圧を下げる。国内ではノバルティスファーマが販売し、平成24年には1083億円を売り上げた。
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