バルサルタン:臨床試験疑惑 降圧剤不正「意図的操作」明言避け 大学側会見、元社員は聴取拒む

2013年07月12日

 府立医大の論文は、日本循環器学会の診療ガイドラインにも盛り込まれ、医師たちの薬の選択に影響を与えてきた。日本医師会の今村聡副会長は「論文が間違っていたなら、他の適切な治療を受ける患者の機会を不当に奪った恐れがある」と厳しく批判している。

 患者数が3000人規模の大規模な臨床試験には10億円以上の費用がかかるともいわれる。ノ社が研究チームや個々の研究者に資金提供をしていたことに関心が集まるが府立医大は「調査中」として明らかにしなかった。ノ社も開示していない。

 府立医大は、肝心の統計解析をした元社員からは事情聴取できていない。「(ノ社に)既に退職しているとの理由から断られた」という。これに対し、ノ社は「元社員の強い意思だ」としており、大学による任意調査の限界を露呈し、疑惑の真相解明は容易ではない。【八田浩輔、河内敏康】

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 ◇降圧剤バルサルタンの臨床試験を巡る動き

00年11月    ノバルティスファーマが日本での販売を開始

02年〜      東京慈恵会医大チームが試験を開始

          京都府立医大、滋賀医大、千葉大、名古屋大の各チームも順次試験を始める

07〜12年    慈恵を皮切りに5大学が論文を公表。バルサルタンのPRに利用される

12年 4月〜   英医学誌ランセットなどに名大を除く4大学の論文の結果を疑問視する意見が掲載される

13年 2月 1日 欧州心臓病学会誌が京都の主論文を「重大な問題がある」として撤回

      12日 ノ社が社長会見で京都チームについて「会社としての関与はない」と見解

      28日 京都チームの責任教授が辞職

    3月28日 本紙が「京都チーム試験に社員が関与」と報道

    5月 2日 本紙が「全ての試験で社員関与」と報道

      22日 ノ社が社内調査を経て「不適切だった」と一転謝罪

      24日 日本医学会が「試験の国際的な信頼が揺らいだ」と批判

      27日 厚生労働省がノ社を厳重注意

      29日 日本医師会が「製薬企業による公正性を欠く関与は許されない」と批判

    6月 3日 ノ社が社長らの報酬をカット

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