降圧剤:データ操作 京都府立医大が謝罪 学長ら会見

毎日新聞 2013年07月11日 21時38分(最終更新 07月12日 00時59分)

不正を指摘された論文の内部調査結果について記者会見する京都府立医科大の吉川敏一学長(中央)。左は伏木信次副学長、右は副学長の福居顕二・同大学付属病院長=京都市上京区で2013年7月11日午後7時23分、森園道子撮影
不正を指摘された論文の内部調査結果について記者会見する京都府立医科大の吉川敏一学長(中央)。左は伏木信次副学長、右は副学長の福居顕二・同大学付属病院長=京都市上京区で2013年7月11日午後7時23分、森園道子撮影

 ◇ノバルティスファーマ元社員がデータ解析

 降圧剤バルサルタンに血圧を下げる以外の効果もあるとした臨床試験疑惑で、京都府立医大(吉川敏一学長)は11日記者会見し、同大の論文の結論が誤っていたうえ、「バルサルタンに効果が出るように解析データが操作されていた」と明らかにした。販売元の製薬会社ノバルティスファーマ(東京)の元社員がデータ解析していたことも確認した。製薬社員が関与した論文が、薬の売れ行きに有利になる形で操作されており、医薬研究への信頼を揺るがす重大事態に発展した。大学はノ社と研究者との金銭関係も調査する。

 今後はノ社の不正への関与が焦点となる。事態を重く見た厚生労働省は、文部科学省と連携して再発防止策を協議する方針。府立医大は、学長らの給与を自主返納する。吉川学長は「深くおわびし、再発防止に努めたい。申し訳ございません」と謝罪した。関係者の処分も検討する。

 論文の責任者は松原弘明元教授(56)。研究チームは、2000年のバルサルタン発売後、医大病院とその関連病院で臨床試験を実施した。高血圧患者約3000人を、バルサルタン服用の約1500人と別の降圧剤服用の約1500人とに分けて、経過を比較。「バルサルタンには他の降圧剤より脳卒中を45%、狭心症を49%減らす効果がある」などと結論付け、09年に学会誌で発表した。

 この日の発表によると、府立医大が、研究チームの事務局が保存していた患者データ約3000例について調査したところ、医師の入力データでは脳卒中などの発症に差が見られなかったのに、解析に使われたデータでは、バルサルタンの方が発症を抑制することになっていた。

 また、カルテをたどれた223人分を分析。解析に使ったデータには、カルテに記載のない脳卒中や狭心症などの症例があったり、カルテに記載のある患者の症例がなかったりする例が計34件存在した。いずれも同種の降圧剤に比べてバルサルタンの効果を強調する方向で操作されていた。

 大学の聞き取りに対し、松原元教授は「意図的なデータ操作はしていない」と説明したという。

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