【コラム】日本の政治家による妄言へ対処法

 「あの件で政治的には死亡宣告を言い渡されたが、韓国の友人たちを恨んだことは一度もない」

 2011年2月にソウルで行われた「韓日キリスト教議員連盟」に出席し、「独島(日本名:竹島)は韓国領土」という内容の「韓日共同宣言」に署名したことが問題になり、所属していた民主党を離党した土肥隆一元議員が先日、記者に語った言葉だ。「日本の議員が竹島は韓国領土と主張した」という報道が日本でも流れると、土肥氏は緊急記者会見を開き「内容を見ていなかった。竹島は日本領土」と釈明した。しかし、彼の政治生命は既に終わっていた。

 同年3月11日の東日本巨大地震直後、「大地震は天罰だ」と言った石原慎太郎東京都知事(当時)は発言撤回という「謝罪でない謝罪」により免罪符を与えられた。それどころか、その後の都知事選で圧勝。さらに衆議院議員選挙に当選して日本維新の会の共同代表を務め、妄言を繰り返している。

 土肥氏の共同宣言事件は石原氏に比べれば小さなハプニングで終わる可能性もあった。決定的な違いは「親韓派議員」という烙印(らくいん)だろう。当選回数7回という土肥氏は、日本の植民地支配に対する謝罪活動を行ってきた。その活動に不満を持っていた勢力が絶好のチャンスを逃すはずがなかった。

 日本には妄言があふれているが、土肥氏のような良心的な日本人も数多い。旧日本軍により強制動員された従軍慰安婦関連展示館「女たちの戦争と平和資料館」の館長を務めている池田恵理子氏もそうだ。池田氏は1990年代にNHKプロデューサーを務め、慰安婦問題の実体を暴いた番組を制作した。すると、政界までもがその番組を問題視し、子会社に出された。だが、池田氏は子会社でも業務外の時間を使って関連番組を制作した。

 中央大学の吉見義明教授は1992年から旧日本軍の慰安婦強制動員を証明する史料を探し出すなど、関連問題を日本社会で世論化する先頭に立った。大林寺(宮城県栗原市)の斎藤泰彦住職は「日本の英雄」と賞賛されている伊藤博文を射殺した安重根(アン・ジュングン)義士の位牌(いはい)を守り、記念碑を建てただけでなく、安義士の「東洋平和論」に関する本まで出版している。

 日本で戦時徴用された韓国人4人が新日鉄住金(旧日本製鉄)を相手取って未払い賃金などの個人補償を求めた訴訟の差し戻し控訴審で、ソウル高裁が今月10日、新日鉄住金に賠償を命じる判決を言い渡したのも、日本の良心を持つ人々の尽力があった。こうした人々は90年代から日本で戦時徴用関連裁判を支援し続けてきた。東京・新大久保などで「朝鮮人を殺そう」という反韓デモが行われる現場には、彼らを非難する市民たちがさらに多く集まってくる。そして、反韓デモ隊を取り囲み「あなたたちの方こそ日本の恥」と大声で叫ぶのだ。

 今後も日本の政治家による妄言は後を絶たないだろう。糾弾をためらう理由はない。しかし、忘れてはならないのは、日本人全体を卑しめたり、攻撃したりすべきではないということだ。極端な表現が含まれる糾弾は韓国人たちが内に抱える鬱憤(うっぷん)を晴らすことはできるが、日本にいる良心的な市民の地位を失わせ、韓流ファンまでもが背を向けるようになるかもしれない。そうなればかえって反韓勢力の活動領域が広がるだろう。日本のナショナリズムの風は強くなっているが、その風に立ち向かう日本人も数多くいる。私たちは彼らの存在を忘れてはならない。

東京=車学峰(チャ・ハクポン)特派員
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