参院選:李元徳教授に聞く「自公大勝、韓日関係への影響は?」

国民大学・李元徳(イ・ウォンドク)教授
「日本の極右勢力はごく少数」
「韓国は日本の大多数を占める中間勢力から支持を引き出す外交を」

参院選:李元徳教授に聞く「自公大勝、韓日関係への影響は?」

 国民大学の李元徳(イ・ウォンドク)教授(日本政治)は「今回の日本の参議院選挙は自民党が勝利したが、これは日本国民が(極右的な政策を進める)安倍首相を支持したからではない」「韓国は人権・平和・正義など、人類普遍の規範を訴えながら対日政策を進めていけば、日本の中間勢力から支持を引き出すことができる」などの見方を示した。李教授は今年からサバティカル(研究休暇)を利用して東京大学の客員研究員として日本に滞在しており、一時帰国中の21日に本紙とのインタビューに応じた。

-自民党と公明党の連立政権が過半数議席を獲得した。

 「日本の参議院選挙は現政権の中間評価という性格がある。ところが野党が支離滅裂の状態に落ちこんでしまったため、反安倍(首相)勢力を結集する『受け皿』ができなかった。(しかし)安倍首相は直ちに改憲の手続きを進めることはできないだろう。自民党内部にも改憲をためらう勢力が存在するだけでなく、政界再編をしてまで無理に(改憲を)進めれば、反発を受けるからだ」

-安倍政権の安定で韓日間の対立がさらに深まることが予想されるが。

 「朴槿恵(パク・クンヘ)大統領が年内に首脳会談を行い、東京大学や日本の国会といった場所での講演を通じ、日本軍慰安婦問題などについて普遍的な言葉を使って日本国民に呼び掛ければ、日本の中間勢力から支持される可能性もある。日本国内の政治状況を見ると、(侵略戦争について謝罪した)『村山談話』(1995年)と(慰安婦の強制動員を認めた)『河野談話』(1993年)の撤回を支持する勢力はそれほど多いわけではない。日本の極右勢力の相手をしないという理由で対日外交を軽視してはならない」

-安倍首相はこれまでの談話に代わる「安倍談話」を出すと公言している。

 「安倍首相がこれまでの談話を否定し、後退させるのなら、政治的には非常に困難な立場に置かれる可能性が高い。歴史認識や慰安婦問題などについては、米国も日本に対してすでに憂慮の念を伝えている。また靖国神社問題は『伏兵』だ。日本の政治指導者が靖国神社を参拝することについては、国際社会における普遍的な『モラル』に合致しないという点を訴え、堂々と批判すればよい」

-自衛隊を国防軍に昇格させる方向には進まないだろうか。

 「この問題は韓日関係というレベルだけで考えるべきではない。もちろん日本の強硬な安全保障政策は韓国の立場からすれば望ましいものではない。(ただし)日本の安全保障は東北アジアの国際情勢における問題であり、これは米国による東アジアへの介入強化や、中国との領土紛争、北朝鮮の核開発などとも連動して動いている。米国も一定限度の範囲内で安全保障政策における日本の役割強化を求めているが、米国も日本が核兵器を持つなど、行き過ぎた動きを示すことには反対するだろう」

-今後の東アジア情勢で最も心配すべき状況は」

「中国と日本が電撃的に関係改善に乗り出すシナリオが心配だ。安倍首相が突然、北朝鮮を訪問することも考えられるだろう。(そうなれば)韓国だけが孤立する立場に置かれかねない。日本は韓国に比べて経済規模が4倍も大きく、国際的にも非常に重要な立場にある国だ。われわれは北朝鮮問題、さらには統一問題を念頭に置いた政策を進めなければならない。米国、中国と共に日本との協力を強化することは、韓国の外交戦略にとって重要な軸とならざるを得ない」

李漢洙(イ・ハンス)記者
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