アングル:消費増税の実施は秋に最終判断、先送りなら政治リスク
[東京 22日 ロイター] - 参院選で圧勝した安倍晋三政権を待ち受ける最大の政治課題は、2014年4月に予定される消費税引き上げの最終決断だ。安倍首相は選挙結果の大勢が判明した21日夜、様々な経済指標を勘案して秋に判断する考えを示した。
政府・与党内からは予定通りに増税するべきとの声が挙がる一方、一部の首相ブレーンは小刻みな増税案や増税先送りを提案する。法改正が必要な対応を強行すれば、自民党内の財政タカ派の同意が得られず、政治リスクに発展する可能性も指摘されている。
<復調する経済、ネット増税に懸念も>
現行5%の消費税率は2014年4月から8%に、翌15年10月には10%とすることが法律で定められている。同時に、それぞれ施行日の半年前に最終判断する「弾力条項」を設け、経済状況を考慮しない消費税引き上げは行わない方針も規定している。
足元の経済はアベノミクス効果で順調に回復し、政府・日銀とも景気判断を上方修正する好調さが続いている。 もし、14年4月の3%上げに修正を加えるなら、相当の説明責任が求められそうだ。
にもかかわらず、安倍首相が慎重になるのは、今回が「ネット増税」となることと無関係ではないようだ。消費税率を5%に引き上げた1997年には消費増税に先行して所得税を減税した。今回は純粋な増税で、これに復興増税も加わっている。
安倍首相は増税によって景気が腰折れし「税収が減っては元も子もない」と繰り返してきたが、21日夜も「4─6月GDP(国内総生産)の数字が出る。様々な経済指標を勘案して、秋に判断していきたい」と述べるにとどめた。
「15年間続いてきたデフレ脱却ができるかもしれないチャンスをつかんだ。このチャンスは絶対放したくない」とする一方、「同時に、財政再建をマーケットはみている。財政再建は極めて重要である」とも語り、修正が長期金利上昇につながるリスクを警戒。「デフレ脱却、経済成長、同時に財政再建、こういう条件をクリアしていくためにはどうすべきか、しっかり判断していきたい」と語った。 続く...