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中国金融改革、なお段階的 預金保険制度の整備など課題

2013/7/20 0:20
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 【北京=大越匡洋】中国は銀行の貸出金利の下限規制を撤廃し、金融改革を一歩前に進めたが、その歩みはまだ速いとはいえない。預金金利を含め、金利水準を銀行の自由な競争に委ねるためには、預金者を保護する預金保険制度の整備なども欠かせないが、いまだに実現していない。中国政府は今後もコントロール可能な範囲での段階的な改革を進める構えだ。

 「預金保険制度や銀行の破綻処理制度は現在検討中。預金金利の自由化へ向けた改革は穏当で秩序だった形で進める」。中国人民銀行は19日、今回の改革で預金金利の上限規制を変更しなかった理由をホームページ上でこう説明した。

 金利を自由化し、銀行間の競争を加速させれば、競争に負けた銀行が破綻する場合の備えも必要になる。実際に銀行が経営破綻すれば、中国共産党が主導して国が預金者を保護するとみられるが、預金保険などが未整備のまま金利の自由化だけを先行すれば、社会不安が広がりかねない。

 李克強首相は銀行融資が実体経済に十分に行き渡らない現状を問題視しており、「金利改革には前向きだ」(中国の銀行幹部)とされる。だが預金保険制度は長年検討を進めてきたが、大手国有銀行が負担増を嫌って抵抗してきた。

 今回決めた貸出金利の下限規制の撤廃も、中国では「かねてうわさされており、想定の範囲内」(国際金融筋)というのが一致した見方だ。基準金利を下回る金利で融資している銀行は少ないため、実際の影響は限定的で「当局が主導し、できる改革から手を着ける手法」(同)だといえる。

 中国で拡大する「影の銀行」の問題は、20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議でも焦点だ。19日からの会議開催のタイミングに合わせて改革を発表し、国際社会からの圧力をかわす狙いがあるのは明らかだ。「自主的に改革を進めている」という演出に、中国は常にこだわる。

 昨年以降、中国は金利規制を段階的に緩和するなど改革を進めてきたのは確かだ。問題は、すでに高速成長時代が終わりを告げ、経済とかけ離れてマネーが膨らむいびつな構造が広がっていること。効率的で筋肉質な経済につくりかえるため、今まで以上に改革のスピードが求められている。

 国内金融だけでなく、人民元の資本取引など為替制度にも規制は残る。段階的な緩和ではなく、痛みを伴う改革に正面から取り組めるか。習近平指導部は、中国経済の持続的な安定成長への移行に向けて、重い課題を背負っている。

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銀行、李克強、預金保険制度、中国、中国人民銀行、習近平

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