【北京=大越匡洋】中国人民銀行(中央銀行)は19日、銀行の貸出金利の下限規制を20日から撤廃すると発表した。硬直的な金利規制が「影の銀行(シャドーバンキング)」を拡大させているとの国際的な懸念が強まるなか、自由化へ向け一歩を踏み出したことになる。習近平指導部は金融改革を進め、経済のゆがみを是正することをめざす。
中国は預金金利、貸出金利にそれぞれ基準金利を設定。これまで預金金利の上限を基準金利の1.1倍、貸出金利の下限は基準金利の0.7倍としていた。例えば、期間1年の定期預金金利の上限は3.3%、同貸出金利の下限は4.2%となり、銀行に一定の利ざやを保証する仕組みだ。
銀行からみれば優良企業でも4.2%以上の金利で貸し出せるため、あえてリスクの高い中小企業や新興企業などに融資せず、大手国有企業に銀行融資が偏る原因となっている。貸出金利の規制撤廃で、銀行間の競争で金利水準が決まる余地が広がる可能性がある。
硬直的な金利制度は、「影の銀行」が拡大する温床にもなってきた。高利回りの金融商品(理財商品)で調達した資金を不動産開発プロジェクトなどに融通する仕組みがまん延。当局が銀行の不動産向け融資を制限していることもあり、銀行を介さない資金が地方の不動産開発に流れ込み、バブルの芽を生んでいる。
今回は預金金利の上限規制に変更はなく、預金、貸し出しの基準金利そのものもなくなるわけではない。「影の銀行」の抑制効果は限定的との見方が多いが、「自由化に向けた重要な一歩」(みずほ総合研究所の伊藤信悟中国室長)といえる。
人民銀によると、現在、銀行が基準金利以下で融資しているケースは全体の1割強。貸出金利の下限規制を撤廃しても、銀行の利ざやの縮小は限定的とみられる。中国は金融システムに大きな影響が出ない範囲で預金金利自由化などを徐々に進めていく方針。
経済政策を担う李克強首相はかねて金融改革に前向きな姿勢を示しており、今回の規制緩和もその一環。20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議が19~20日にモスクワで開催される機会を捉え、国際社会に金融改革を進める姿勢を示す狙いもあるとみられる。
日銀の黒田東彦総裁はモスクワで19日、中国が金利自由化に動き出したことについて「方向は好ましい」と歓迎する意向を表明した。
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