【シリコンバレー=岡田信行】米IT(情報技術)大手の老舗3社ともいえるマイクロソフト(MS)、インテル、IBMの4~6月期決算は軒並み低調だった。スマートフォン(スマホ)を中心とするモバイル市場成長の風に乗れないまま、新興国の景気減速の逆風が直撃。各社とも業績回復を狙って、リストラや経営陣の刷新などに懸命になっている。
18日までに発表されたMS、IBM、インテルの四半期決算は、IBMとインテルがそれぞれ減収減益となった。
MSは業務用ソフトなどの販売が好調で10%増収となったが、昨年秋に発売したタブレット(多機能携帯端末)「サーフェス」の販売は低調なまま。販売をテコ入れするための値下げと在庫調整で、基本ソフト(OS)を手掛けるウィンドウズ部門の営業損益が急減。リストラ費用などを除いた実質1株あたり利益は29%減となった。
MSはスマホ用OS「ウィンドウズフォン」でスマホ市場を攻略しているが、「iPhone(アイフォーン)」を手掛けるアップルや、モバイルOS「アンドロイド」の普及が進んでいるグーグルに比べて存在感に乏しい。
米調査会社IDCによると、今年1~3月のスマホ用OSシェアはアンドロイドが75.0%、iPhoneが17.3%だったのに対し、ウィンドウズフォンは3.2%。急成長分野のモバイル市場で風に乗り切っていない状況だ。
インテルの減収も、主力のパソコン用半導体の出荷が減る一方で、“モバイルの風”に乗れなかった結果だ。スマホやタブレットの普及で、パソコンの世界出荷台数は6四半期連続で前年割れ。インテルはモバイル機器向けの半導体販売を強化するものの、同分野に強い米クアルコムなどを切り崩せずにいる。
IBMはサーバーやストレージ(外部記憶装置)などハード(機器)事業が不調。モバイル機器の普及に伴い、いつでもどこでもインターネットに接続し、様々なソフトを利用したり、データを預けたりするクラウドコンピューティングが普及し、サーバーやストレージの需要が見込めるはずだった。
しかし、世界経済の先行き不透明感が強まるなか、企業のIT投資が絞り込まれ、重点投資分野の新興国でも逆風が吹いた。特に中国、ロシアなどが減速。新興国売上高は前年同期比横ばいにとどまった。
事態を打開するため、MSやインテルがモバイル分野で製品・サービスを開発し、事業の構造転換を急いでいるほか、IBMもクラウドなど他の重点分野の収益拡大を急いでいる。インテルは5月に経営トップが交代。MSは今月11日に大幅な組織の再編を発表した。リストラや経営陣の刷新、新製品戦略などの試みが奏功し、収益回復につながるか。“老舗”IT3社の意地をかけた挑戦が続いている。
マイクロソフト、アイフォーン、サーフェス、インテル、スマホ、ウィンドウズ、iPhone、IBM、アップル、グーグル、クアルコム
日経平均(円) | 14,589.91 | -218.59 | 19日 大引 |
---|---|---|---|
NYダウ(ドル) | 15,543.74 | -4.80 | 19日 16:33 |
英FTSE100 | 6,630.67 | -3.69 | 19日 16:35 |
ドル/円 | 100.43 - .48 | +0.09円安 | 20日 5:49 |
ユーロ/円 | 131.96 - .02 | +0.25円安 | 20日 5:49 |
長期金利(%) | 0.805 | +0.005 | 19日 15:31 |
NY原油(ドル) | 108.05 | +0.01 | 19日 終値 |
各種サービスの説明をご覧ください。