7月19日の海外株式・債券・為替・商品市場
(ブルームバーグ):欧米市場の株式、債券、為替、商品相場は次の通り。
◎NY外為:ドルは総じて下落、緩和縮小観測が後退
19日のニューヨーク外国為替市場ではドルが主要通貨の大半に対して下落。バーナンキ連邦準備制度理事会(FRB)議長の発言を受けて、緩和策の縮小が近く実施されるとの観測は遠のいた。
中国人民銀行(中央銀行)が国内銀行が設定できる貸出金利の下限を撤廃すると発表したことを受けて、ニュージーランド・ドルは上昇した。参院選を前に円は週間ベースでドルに対して下落。モスクワでは20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議が始まった。バーナンキ議長は前日の上院銀行委員会公聴会で、9月に緩和縮小が開始されるのかどうか「判断するのは時期尚早だ」と述べた。
ウェルズ・ファーゴ・セキュリティーズの主任為替ストラテジスト、ニック・ベネンブローク氏(ニューヨーク在勤)は「ドルは全般的に軟調だ」と述べ、「米金融当局が漸進的に債券購入策を縮小させていくとの見通しから、長期的にはまだドル高傾向だ」と続けた。
ニューヨーク時間午後5時現在、ドルは対ユーロで0.3%安の1ユーロ=1.3143ドル。週間ベースでは0.6%安。ドルは対円で0.2%上げて1ドル=100円65銭。週間ベースでは1.4%上昇。ユーロは対円で0.5%高の1ユーロ=132円26銭。
ニュージーランド・ドルは対米ドルで0.3%上昇した。
円が対ドルで下落の見方米商品先物取引委員会(CFTC)が示したデータによると、先物トレーダーは円が対ドルで下落するとの見方を強めた。ヘッジファンドや大口投資家による円のネットショート(売り越し)は16日時点で8万5762枚と、前週の8万305枚から増加した。
JPモルガン・チェースのグローバルFXボラティリティ指数 は9.72%と、5月28日以来の低水準。6月24日には1年ぶり高水準の11.96%をつけた。
主要10通貨に対するブルームバーグのドル指数 は0.2%低下して1032.77。
コモンウェルス・フォーリン・エクスチェンジの主任市場アナリスト、オマー・エシナー氏(ワシントン在住)は「今週のバーナンキ議長の発言後、必要な場合には資産購入を増やすことを含めてあらゆるシナリオが浮上した」と述べた。
ブルームバーグが入手した草案によると、G20会議は明確なコミュニケーションに基づいて金融政策を変更するべきだと共同声明に盛り込む見通し。
参院選21日に投開票される参院選をめぐっては自民、公明の連立与党が改選される121議席のうち65席以上を獲得するとみられている。日本経済新聞が世論調査を実施、17日に伝えた。
先進10カ国の通貨で構成されるブルームバーグ相関加重通貨指数によると、円は年初から11%下落した。ドルは5.3%上昇。
米銀が決済機関デポジトリー・トラスト・アンド・クリアリング(DTCC)へ提出したデータをブルームバーグがまとめたところによると、外為オプションの店頭取引は合計280億ドル。前日は310億ドルだった。
原題:Dollar Drops as Bets Fade on Fed Tapering; N.Z. CurrencyRallies(抜粋)
◎米国株:3日続伸、GE決算を好感-ハイテク株は安い
米株式 相場は3日続伸。ゼネラル・エレクトリック(GE)の決算が予想を上回り、買いを促した。一方でグーグルやマイクロソフト の決算は失望を誘った。S&P500種株価指数は週間で4週連続高となった。
GEが上昇し、工業株をけん引した。ファイザーなどヘルスケア株も高い。一方、S&P500種のセクター別では情報技術(IT)株指数が大幅安。マイクロソフトが大きく下げ、グーグルも売られた。アドバンスト・マイクロ・デバイシズ(AMD)は急落。7-9月期の粗利益率が縮小するとの見通しを示したことが嫌気された。
S&P500種 株価指数は前日比0.2%高の1692.09と最高値を更新した。一時は0.3%下げる場面もあった。ダウ工業株30種平均は4.80ドル下げて15543.74ドル。ナスダック100指数は1.1%下落し、1カ月ぶりの大幅安。
バークレイズのウェルス部門(ロンドン)の株式ストラテジスト、ヘンク・ポッツ氏は「決算はまずまずの水準を維持している。勝ち組と負け組に分かれた。失望を誘うハイテク企業もあるが、必ずしも長期的なトレンドになるとは考えていない」と述べた。
ブルームバーグがまとめたデータによると、50日移動平均 を上回っているS&P500種構成銘柄は18日現在で全体の84%だった。5月には93%に達し、1年7カ月ぶりの高水準となった。年初来の最低は6月の12.8%。前日には108銘柄が52週高値を更新、52週安値を更新した銘柄はなかった。
朝方に中国人民銀行(中央銀行)が国内銀行の設定できる貸出金利の下限撤廃を発表すると、寄り付き前の取り引きで株価先物相場は上昇した。
決算ブルームバーグがまとめたデータによると、これまでに第2四半期決算を発表したS&P500種構成企業のうち1株当たり利益が予想 を上回ったのは約72%となっている。売上高が予想を上回ったのは約53%。
S&P500種の金融株指数を構成する企業の80%で利益が予想を上回っており、全体よりも好調。ブルームバーグがまとめた予想によると、金融株指数の構成企業は21%の増益が見込まれている。金融株を除くS&P500種は1.4%の減益が予想されている。
S&P500種のセクター別では10業種のうち7業種が上昇。ファイザーが2.1%上昇するなど、ヘルスケア株指数は1.4%高。
GE工業株指数は1.2%上昇。GEは4.6%高の24.72ドルと、2008年9月以来の高値。ジェットエンジンと掘削機器の需要が好調で受注残が過去最高となった。継続事業ベースの調整後利益は37億ドル(約3700億円、1株当たり36セント)と、前年同期の41億ドル(同38セント)から8%減少したが、1株利益はブルームバーグ・ニュースがまとめたアナリスト13人の予想平均35セントを上回った。
S&P500種のIT株指数は2%安。決算は全10セクターのうち最も失望されている。決算を発表した17社の利益は平均で予想を3.6%下回っている。S&P500種全体では予想を2.6%上回っている。
アナリストの予想によると、IT株 は6.7%の減益が見込まれている一方、S&P500種全体では2%の増益が予想されている。
マイクロソフトは11%安と、2009年1月以来で最大の下げ。16日には5年ぶりの高値を付けていた。4-6月(第4四半期)利益はアナリスト予想に届かず、その差は過去10年で最大となった。OS(基本ソフト)「ウィンドウズ」対応のパソコン(PC)の需要落ち込みが影響した。
グーグルは1.6%下落。売上高と利益がアナリストの予想を下回った。携帯端末を通じたネット広告が伸びた結果、広告の平均単価が下がった。
AMDは13%安と、S&P500種 の構成銘柄で下げが最もきつい。増収予想を示したものの、粗利益率の低下を予想したため、売りを浴びた。
原題:U.S. Stocks Rise as GE Earnings Overshadow TechnologySlump(抜粋)
◎米国債:2週間の上昇として約1年で最大-FRB議長発言
米国債相場は上昇。2週間の上昇としては過去11カ月間で最大となった。量的緩和の縮小が近いとの市場の懸念を連邦準備制度理事会(FRB)のバーナンキ議長が和らげたことが背景にある。
10年債利回り は今月早い段階でつけた年初来の高水準から低下。バーナンキ議長は18日、9月の縮小開始をめぐり「判断を下すのは時期尚早」だと述べた。17日には、資産購入について「事前に方針が決まっているわけでは決してない」と言明していた。米連邦公開市場委員会(FOMC)は今月30-31日に会合を開催する。また財務省は来週、発行総額990億ドルの入札を実施する。
CIBCワールド・マーケッツのマネジングディレクター兼米国債トレーディング責任者、トム・トゥッチ氏(ニューヨーク在勤)は「概して市場はバーナンキ議長のコメントに縛られる状況が続いていた。超低金利はさらに長期間続き、量的緩和は経済統計次第になる」と指摘。「供給面では大きな動きは予想していない。10年債利回りについては、しばらくは2.5%付近で推移するとみている」と述べた。
ブルームバーグ・ボンド・トレーダーによれば、ニューヨーク時間午後5時現在、10年債利回り は前日比4ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)低下の2.48%。同年債(表面利率1.75%、2023年5月償還)価格は1/8上げて93 20/32。
10年債利回りは週初から10bp低下。先週 は16bp下げていた。2週間の低下幅としては昨年8月31日までの2週間以降で最大となる。今月8日には2.75%と、ほぼ2年ぶりの高水準を付けていた。
緩和縮小見通しソシエテ・ジェネラルのトレーダー、ショーン・マーフィー氏(ニューヨーク在勤)は緩和縮小について、「時間枠は9月から年末に先延ばしされた可能性がある」と指摘。「この先、経済指標への依存は極めて大きくなる」と続けた。
ニューヨーク連銀はこの日、2020年8月から22年11月に償還を迎える米国債31億4200万ドルを買い入れた。
ブルームバーグのデータによれば、投資家は40%の確率で当局が14年12月までにフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を0.5%以上に引き上げるとみている。1週間前は49%の確率と予想していた。
バーナンキ議長は前日、上院銀行委員会が開いた公聴会で質問に答え、ここ2カ月に見られる利回り上昇の結果として金融環境が引き締まっている状況を「歓迎しない」と述べた。
10年債利回り予想10年債利回りは5月21日の取引終了から7月5日の取引終了までに81bp上昇。5月22日にはバーナンキ議長が、「今後数回の会合」で債券購入ペースの減速を決定することもあり得ると発言した。
TDセキュリティーズUSAの米金利調査ディレクター、ミラン・マルレイン氏(ニューヨーク在勤)は電子メールで「利回りは向こう数週間、やや低下する可能性があると引き続き見込んでいる」としながらも、「今四半期中により持続的な景気回復の兆候が現実の形をとり始めることから、ゆっくりとしたペースながらも金利の正常化が本格的に始まると予想され、10年債利回りは年末までに2.60%に戻るとみている」と述べた。
ブルームバーグがまとめたエコノミストの加重平均予想によれば、10年債利回りは年末時点で2.63%と見込まれている。
原題:Treasuries Post Biggest 2-Week Gain in Year on BernankeComments(抜粋)
◎NY金:続伸、週間では2週連続高-金融緩和継続期待で
ニューヨーク金先物相場は続伸。週間では2週連続で上昇した。米連邦準備制度理事会(FRB)のバーナンキ議長が今週の議会証言で、金融緩和のペースを維持する考えを示唆したことが材料。
バーナンキ議長は18日の上院銀行委員会の公聴会で、9月に緩和縮小が開始されるのかどうか「判断するのは時期尚早だ」と述べた。金は2008年末から11年6月にかけて70%上昇した。連邦公開市場委員会(FOMC)が政策金利を過去最低に維持し、2回の量的緩和で2兆3000億ドルの債券を買い入れたことが背景にある。
キトコ・メタルズのグローバル・トレーディング・ディレクター、ピーター・フグ氏はリポートで、「バーナンキ議長の発言は量的緩和の規模を少なくとも数週間前に考えられていたよりも、もう少し長く維持することを示唆しているとの声が多い」と指摘した。
ニューヨーク商業取引所(NYMEX)COMEX部門の金先物12月限は前日比0.7%高の1オンス=1294ドルちょうどで終了。終値としては6月19日以来の高値となった。週間では1.3%上昇。
原題:Gold Futures Rise for Second Straight Week on StimulusOutlook(抜粋)
◎NY原油:週間で4週連続高、ブレントを一時上回る
ニューヨーク原油先物相場は週間ベースで4週連続高。米経済回復の兆しが好感された一方で、月間での上昇は行き過ぎだとの見方も出ている。ウェスト・テキサス・インターミディエート(WTI)はほぼ3年ぶりに北海ブレント原油より高くなった。
ムーディーズ・インベスターズ・サービスは18日、米国の格付け「AAA」について、見通しを「ネガティブ」から「安定的」に引き上げた。米国の原油在庫は12日までの3週間で2710万バレル減少。週間でのデータをまとめ始めた1982年以降で最大の減少となった。WTIの相対力指数(RSI、14日ベース)は価格下落の可能性を示唆する70を11営業日連続で上回っている。
トラディション・エナジー(コネティカット州スタンフォード)のアナリスト兼ブローカー、ジーン・マクギリアン氏は「米経済環境の改善が市場を支え続けている」と指摘。「供給見通しはタイトになった。相場はやや先回りし過ぎている」と述べた。
ニューヨーク商業取引所(NYMEX)の原油先物8月限は前日比1セント(0.1%未満)高の1バレル=108.05ドルで終了。同限月は22日に最終取引を迎える。週間では2%、月間では12%の値上がり。
ロンドンのICEフューチャーズ・ヨーロッパで取引されるブレント原油9月限は63セント(0.6%)安の1バレル=108.07ドル。一時はWTI9月限を3セント下回り、2010年8月17日以来で初のディスカウントに転じた。
原題:WTI Crude Caps Fourth Weekly Rally as U.S. Futures SurpassBrent(抜粋)
◎欧州株:ほぼ変わらず、米決算嫌気も-週間は4週連続高
19日の欧州株式 相場はほぼ変わらず。米グーグルやマイクロソフトの予想を下回る決算を受け、テクノロジー株は下げた。指標のストックス欧州600指数は週べースでは4週連続高。
米需要見通しを引き上げたスウェーデンの家電メーカー、エレクトロラックスは5.3%の値上がり。ノルウェーのメディア会社シブステッドは四半期利益が予想を上回り、21年ぶり高値。
一方、テクノロジー株では、経営管理ソフトウエアを手掛ける独SAPや半導体設計の英ARMホールディングスの値下がりが目立った。両銘柄を含むテクノロジー株価指数は0.7%下げた。業績見通しを下方修正したオランダのタンクターミナル運営会社ロイヤル・ヴォパックは5%安。
ストックス欧州600指数 は前日比0.1%未満上げて299.85。米連邦準備制度理事会(FRB)のバーナンキ議長が資産購入ペースについて、米景気次第だとの柔軟な姿勢を示したことから、今週全体では1.2%値上がりした。
ストアブランド・アセット・マネジメント(オスロ)のファンドマネジャー、エスペン・ファーネス氏は「相場は過去数週間にかなり上昇したので、利益確定の余地はある」とし、「マイクロソフトとグーグルの決算を受け、欧州とアジアでテクノロジー株に幾分の弱さが見られる」と付け加えた。
この日の西欧市場では18カ国中13カ国で主要株価指数が下落した。
原題:European Stocks Are Little Changed; Stoxx600 Posts Weekly Gain(抜粋)
◎欧州債:ほぼ変わらず、週間では軒並み上昇-英国債下落
19日の欧州債相場は軒並みほぼ変わらず。ただ今週全体では、世界の主要中央銀行が金融緩和措置を継続するとの楽観から利回りはおおむね低下した。
INGグループのシニア金利ストラテジスト、アレッサンドロ・ジアンサンティ氏(アムステルダム在勤)は「市場には政策当局が引き続き介入し債券相場を支えるという雰囲気がある」と指摘。「中核国の国債はサポートされる」と付け加えた。
イタリアの10年債利回り はこの日、約1週間ぶり低水準を付ける場面があった。同国上院で、アルファノ内相に対する不信任案が否決されたことを受けた。ポルトガル10年債は上昇。カバコシルバ大統領は政治混乱を同国が切り抜けられると確信していると述べた。20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議がこの日始まった。
ロンドン時間午後4時18分現在、イタリア10年債利回りは4.41%と、前日からほぼ変わらず。前週末比では7ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)低下。一時は4.36%と、11日以来の低水準を付けた。同国債(表面利率4.5%、2023年5月償還)の価格は101.075。
ドイツ10年債利回りはこの日、前日比ほぼ変わらずの1.52%。一時は1.50%と、6月7日以来の低水準を付けた。前週末比では4bp低下。
レッタ首相率いる連立政権のほころびが懸念されていたイタリアでは、内相の信任決議を受けた安心感で2年債が値上がり。利回りは5bp低下して1.60%となった。
ポルトガル10年債は週間ベースで9週ぶりに値上がりし、利回りは69bp低下した。
英国債は値下がり一方、この日の英国債は値下がり。この日発表された6月の英財政赤字が前年同月に比べ拡大したことが背景。
英10年債利回りは前日比3bp上昇の2.29%。前週末比では4bp低下。同国債(表面利率1.75%、2022年9月償還)価格は0.24下げて95.6。2年債利回りは4bp上昇し0.33%。今週全体では3bp低下した。
原題:European Bonds Advance in Week, Buoyed byCentral-Bank Optimism(抜粋)原題:Pound Gains Versus Dollar on SpeculationU.K. GrowthExpanded(抜粋)
更新日時: 2013/07/20 07:02 JST