韓国中央会館で11日に開かれた今年の民団新年会では、韓日の国会議員らが10月に創団60周年を迎える民団のこれまでの業績を称えるとともに、韓日の架け橋役としての今後の活動と飛躍に期待を込めた。

■□
難局への対処、着実に…対話と討論を積み重ねて
文喜相・韓日議員連盟会長

 結成60周年を心よりお祝いする。まず民団は大韓民国にとって、とても大切な財産であり、誇りであることを強調したい。韓日友好関係が今日これほどまでに発展したのは、皆さんが両国間の架け橋的役割を忠実に遂行し、同胞社会のために献身的努力をした結果だと思う。

 昨年の「韓日・日韓友情年」は、私たちの期待には遥かに及ばない1年ではなかったかという反省と口惜しい思いが残ることも事実だ。歴史共同研究と国立戦没者追悼施設建設、地方参政権付与など、両国間にはともに解決しなければならない課題がたくさんある。直ちに実現可能な課題から順々に解いていけば、複雑な課題に対する解き方もともに模索することができるだろう。

 一方、両国は交流協力強化のため、2006年2月までのノービザ入国と金浦‐羽田航空路線増便を実現し、長い間の懸案であった北関大捷碑の返還も実現した。このように、韓日両国はお互いの異なる考えを対話と討論を通じて理解し、譲歩し、ひとつずつ一致させ、究極的には両国の友好増進と発展を図らねばならない。

 今年はワールドカップの年だ。韓日ワールドカップで築いた友情を今一度顧りみて、両国が平和と繁栄の東北アジア時代をともに切り開く同伴者として、非常に重要な関係にあることを再確認する年になるよう期待する。

■□
参政権は緊要な課題…友情と連帯蘇生へのカギ
金守漢・韓日親善協会中央会会長

 4年前のFIFAワールドカップ韓日大会の成功を契機に、確固と構築された両国の紐帯関係を一層発展させようと両国政府間で定めた「韓日・日韓友情年2005」は、意図せぬ政治外交摩擦と葛藤の再燃で色あせてしまった。本当にもどかしく遺憾なことだ。

 しかし、このような厳しい状況下でも、純粋な両国民間の相互交流は依然として活発に続けられ、文化・芸術・青少年など、民間レベルの交流往来は、370万人台から420万人台へと増加の勢いを保っている。

 たとえ両国の政府関係の表面は氷に覆われていても、その下には温柔で罪なき友情の韓流が「進もう未来へ、共に世界へ」の里程標に向かって勢いよく流れている。

 私たちは今のきゅうくつな両国関係によって、現在、日本国会に係留中の「定住外国人地方選挙権付与法案」の審議処理が停滞したり、なおざりにされることが決してないものと信じる。

 韓国国会はすでに昨年6月、韓国内の永住外国人に対する「地方選挙権付与法案」をアジアで初めて議決した。

 日本全国の各地方議会の大多数が既に賛成決議した地方選挙権付与法案を、今年中に日本国会が必ず採決し、民団創団60周年の記念すべき年が両国間の固い友情と連帯を蘇生させるターニングポイントとなるよう、日本の各指導者と議員の皆さんにこの場を借りて切にお願い申し上げる。

■□
同胞を包み込む役割…「在日120万人」の先頭に
李光奎・在外同胞財団理事長

 今年10月3日は民団結成60周年に当たる記念すべき日であると存じている。民団は本当に大きな発展を成し遂げてきた。

 1945年朝鮮人連盟が結成されたが、翌年の46年には左傾化する朝鮮人連盟から飛び出し、民団を創団した。当時は連合軍をはじめ、日本政府も日本の企業の支持もない非常に不利な立場であった。民団結成の当日には朝連の襲撃によって多くの人がけがをしたこともある。

 このように苦難の中で始まった民団が、60周年を迎えるようになった。59年に「北送問題」が起きた時には、新潟の線路に横になって体を投げて阻止する闘争をした。65年の韓日条約の時には、韓国代表部へ抗議をしながら反対した歴史もある。また、70年代には日立就職差別事件を契機に、民権運動を本格的に始め、その先頭に立った。

 民団は60周年という大きな意味を持つ節目の年を、新たな跳躍の年にしなければならない。在日同胞は65万または70万人と言うが、私は120万と言いたい。朝鮮総連や帰化同胞も全部、民団が抱擁しなければならないと思うからだ。

 民団はすべての在日同胞の長兄の役割にとどまらず、700万在外同胞の長兄の役割をしなければならない。民団にはその資格がある。年輪も経験もある。『祖国を愛する道はこれだ』という模範を見せてきたからだ。

■□
アジア外交の核心認識
河村 建夫・日韓議連運営委員長

 昨年は日韓国交正常化40周年であり、友情年であった。文化交流をはじめ、さまざまな交流がなされ、友情が深まった。

 「冬のソナタ」以降、最近は「チャングムの誓い」も人気を集めているが、この韓流の勢いはどうだろう。書店に行けば韓国関係だけで一つのコーナーが設けられているほどだ。

 その一方で、解決しなければいけない問題がまだまだある。昨年日韓・韓日議連の総会がソウルで開かれ、地方参政権の問題についても真剣に話し合い、今年はこの問題を前進させなければならないと誓い合った。

 自民党も昨年立党50周年を迎えた。これからは日韓、日中をはじめとするアジア外交に基軸を置いて、日本の将来を考えていかなくてはならない。18日の党大会でそのことを宣言する。もっとも近い韓国と理想的な関係を築いていく、それが日韓議連の議員外交の重要な役割だ。

 今年はみなさんの母国である韓国と日本が、真のパートナーシップを築き上げ、未来志向に動き出すすばらしい年になるよう心から祈念する。

■□
多角的な催し友好促進
扇 千景・参議院議長

 民団の皆さんが祖国のことを思いながらも日本に溶け込み、日本の力になろうと、この間どれほど尽くしてこられたか。まず感謝申し上げたい。

 昨年は国交正常化40周年、友情年ということでいろいろな行事があった。政治の世界では行き止まりや解釈の違いがあったが、両国の議連の方々が縁の下でとげがささらないように、ささってもうまく抜くようにしてくれた。

 愛知万博では民団の皆さんをはじめ多くの方々の協力によって、予想を上回る大きな成果を収めた。また、竹島問題でギクシャクしたが、友情年の幕開けとして初めて歌舞伎公演がソウルと釜山で実現した。3日間の宝塚公演も連日若い人がつめかけてくれた。一部にもめごとがあっても民間レベルは大丈夫だと改めて確信した。

 羽田と金浦が1日8便に増え、ノービザになった。両国間で永遠に友好を深めていくために、今後とも皆さんの力をお借りしたい。これからも一粒の種になったつもりで、ともに日韓の発展と永久の友情のために努力したいと思う。

■□
参政権こそ友愛の根幹
鳩山 由紀夫・民主党幹事長

 せっかく皆さんが日韓間にささったとげを一つ一つ抜こうとしているのに、あえてまたとげをさす人がいる。そういうことをなくす政治に精一杯努力をしたい。

 自民党をつくったのが私の祖父の鳩山一郎で、最も好きな言葉が友愛だった。私たちの社会には考え方が違う人がいるのは当たり前で、違う一人ひとりが尊厳をもって大いに交わって議論をして、互いに尊敬し合えるような社会、ひいては国と国の関係をつくるのが友愛だと言っていた。私も同感だ。

 定住外国人の地方参政権付与は当たり前のことだと思う。民主党としても何度も法案を出しているが、さらに皆さんの思いをしっかり受け止め、多くの議員の協力のもと、民団が創立60周年を迎えるこの時に、還暦の時に、すばらしい財産を提供できるように、努力をしたい。

 国立の追悼施設についても、何としてもつくらなければならないと思う。日本の中にもいろいろなナショナリズムの問題もあり、外国から言われると反発するきらいもあるので、日本の国会議員として日本人として設立を果たしていきたい。

■□
追悼施設の建設へ努力
浜四津 敏子・公明党代表代行

 韓流に象徴される韓国のドラマ・音楽にはハートがあるというのが大きな特色だ。心があるから人の心を打つ。人の心をつかむものは栄え、人の心を失うものは滅びる。2千年前の史記の言葉だ。

 まさしく韓流は、国境を超えて多くの人の心をつかんだ。友情年の民間交流を後押しした民団の力は大きい。

 党として3点伝えたい。まず、総理の靖国参拝は自粛すべきだと再三申し上げてきた。この姿勢はこれからも変わらない。2点目は、定住外国人の地方参政権付与法案を可決することだ。この当たり前のことがなかなか日本で進まないことを本当に申し訳なく思う。ドイツの有名な哲学者は、「最も偉大な政治家とは、最もヒューマンな政治家である」と言った。ヒューマンな政治家がもっと増えれば、必ずこの法案も可決できる日が近いと信じている。

 3点目は、国立追悼施設の建設だ。党として7年主張してきたが、ようやく超党派の議連が立ち上がり、機運も盛り上がってきた。誰もがわだかまりなく追悼できる施設建設を大きく前進させる一年にしたい。

■□
平和憲法は友好の土台
福島 瑞穂・社民党党首

 愛と平和を実現する年、憲法勝負の年にしようと考えている。平和は何よりも大事で、民団の皆さんも日韓の友好と平和を願うものと確信している。

 小泉首相は靖国公式参拝をやめるべきだ。日本の政治が発しているメッセージが、両国間の関係を悪化させていることは極めて問題で、靖国の問題と戦争をしないと決めた憲法9条を変えようという動きは、実は底辺でつながっている。日本はアジアから引越しすることができない。日韓がよい関係をもつように、日本が平和国家として平和が大事だというメッセージを発することができるように、民団の皆さんと力を合わせていきたい。

 大好きな言葉に、「平和と平等は手をつないでやってくる」というのがある。戦争と差別・排外主義がやってこないように、韓国のダイナミックな政治に学びつつ、日韓の国会議員が力を合わせて政治を変えていきたい。平和があってこそ人権が保障される。地方参政権や人権の問題、対話を通じて共通の歴史認識をつくっていくことにも全力を尽くす。

■□
韓流定着させ切磋琢磨
田村 耕太郎・自民党参議院議員

 日韓関係の発展にとって最も重要なのは、両国民がひざを交えて対話・交流することであると考えている。皆さんの日頃の努力に敬意と感謝を申し上げる。

 韓流ブームが依然として続いている。この韓流を新時代の日韓交流の土台として定着させ、文化面でも両国が切磋琢磨するような交流が今後行われることを期待する。

 その一方で、日韓を取り巻く情勢は安定ばかりだとは言えない。北朝鮮の動向があるからだ。日韓両国の共通の問題は拉致であり、核である。拉致問題は大きな進展が見られなくなった。対話と圧力をキーワードに、さらに北朝鮮に働きかけていく。また、東北アジアの平和と安定には、核とミサイルの放棄は不可欠のことであり、日韓がさらに一致結束して協議に臨まなければならない。

 今年は民団創設60周年とうかがった。今日のようなすばらしい組織に育てられた多くの先人の努力に敬意を表する。60周年の大きな節目に、両国が希望ある未来のため、新たな交流の歴史の扉を開くために、お互い手を携えて進んでいこう。

(2006.1.18 民団新聞)