紛争センター新解決基準 精神的賠償の増額せず 小高区住民の集団申し立て
南相馬市小高区の住民による東京電力福島第一原発事故に伴う損害賠償請求の集団申し立てで、住民を支援する小高区弁護団は19日、県庁で記者会見した。政府の原子力損害賠償紛争解決センターが弁護団に示した新たな解決基準に、精神的賠償を現在の月10万円から月35万円に増額する弁護団の請求を盛り込まなかったことを明らかにした。
弁護団は原発事故により地域の結び付きが失われたとして増額を求めていた。
一方、解決基準では、避難に伴う家財道具や日用品の購入について、領収書などの有無にかかわらず世帯人数に応じた一定額の基準を初めて示した。基準額は(1)1人世帯60万円(2)2人世帯90万円(3)3人世帯100万円(4)4人以上世帯は100万円に、4人目から1人当たり10万円を上乗せした額-とした。避難で世帯が分離した場合、基準額に10万円を加えることも認めた。東電は、家財道具などは実費での賠償を主張している。
弁護団の平沢慎一弁護士(東京)は「センターが示した家財賠償の基準は一定の評価ができる。ただ、地域の結び付き喪失に関する賠償が認められなかった点は受け入れられない」とし、センターに再考を求める考えを示した。
弁護団によると、昨年7月末から12月末までに、小高区の193世帯606人が集団申し立てた。センターはこのうち、19日までに、弁護団がモデル的に抽出した12世帯48人に解決基準に基づき和解案を提示した。
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