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折り紙 最新の研究成果を紹介
7月20日 19時0分

折り紙 最新の研究成果を紹介
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日本伝統の遊びとして独自の発展を遂げ、産業への応用も広がる「折り紙」の、最新の研究成果を紹介する展示会が20日から東京で始まりました。

日本に古くから伝わる折り紙は芸術性や機能の面で独自の発展を遂げ、今では、飲料用の缶や地図の折り畳み技術のほか、建築材料など産業への応用も広がっています。
こうしたなか、東京・目黒区の東京大学駒場博物館で20日から始まった展示会には、最新の研究によって作られた折り紙など、およそ50点が展示されています。
このうち、高さ25センチほどの丸みを帯びたウサギの折り紙やティーポットを形取った折り紙は、直径1メートルほどの丸い紙を切ることなく折って作ったものです。
また、複雑な幾何学模様の金属でできた折り紙は、折り紙の展開図や制作したときの映像とともに展示されています。
会場の一角には立体的な折り紙を実際に折ることができるコーナーも設けられ、訪れた人たちは作品を鑑賞したり、紙を試行錯誤しながら折ったりしていました。
訪れた女性は「折り紙といえば鶴のイメージでしたが、コンピューターで計算して、こんなに複雑なものまで作れるのはすごいと思いました」と話していました。
作品を出品した東京大学の舘知宏助教は、「折り紙の技術は、医療用の小さなものから建築用の大きなものにまで応用が可能で、アイデアをいろいろ試せるのがおもしろい」と話していました。
この展示会は9月23日まで東京・目黒区の東京大学駒場博物館で開かれていて、入場は無料です。

実用化進む折り紙技術

折り紙の技術は実用面への応用も進んでいます。
地図やレジャーシートなどの折り畳み方として実用化されている「ミウラ折り」。
これも折り紙技術を応用したものです。
折る角度や位置を工夫することで、一度の動作によってすべてを一気に開ききることができます。
この技術はすでに人工衛星の太陽電池パネルにも使われ、およそ6メートル四方のパネルを宇宙空間で広げたり畳んだりする実験に成功しています。
また、このミウラ折りを応用した飲料用の缶もすでに実用化されています。
表面にひし形の模様の折り目をたくさんつけることで強度が増すため、缶を薄くすることができ、スチール缶の場合、使う金属の量を3割ほど減らすことができるということです。
缶を開発したキリン株式会社の石井敬主任研究員は、「折り紙はアイデア次第でいろいろなものが作れるので、今後も新しいものが作れると期待しています」と話していました。
また、明治大学の萩原一郎特任教授は折り紙の技術を応用した自動車のボディーの研究を進めています。
ボディーに組み込まれた柱に折り紙のような折り目を入れると、万が一衝突した際に、柱が変形して衝撃を吸収する仕組みです。
このほかにも、強度が強く防音性に優れた建築用のボードや、小さく折り畳むことができながら、素早く広がる救命浮き輪の開発なども進められています。
萩原特任教授は「折り紙の技術が広く使われるには、安くて大量に生産するための技術開発が必要です。折り紙は複雑な形をしているので生産方法が難しく、それをいかに解決するかが重要です」と話していました。
一方、筑波大学の三谷純准教授は曲線や曲面のある立体的な折り紙を作るコンピューターソフトを開発しました。
これを使うと、複雑な折り紙でも、立体的な完成図と、それを作るための折り目を書いた展開図を自動的に作ることができます。
さらに、展開図の通りに折り目を付けてくれる機械を使えば、簡単なものならわずか1分ほどで立体的な折り紙を完成させることができます。
三谷准教授は「いままでにない形を作ることは非常におもしろいと思います。物をコンパクトに折り畳んで広げる技術は工業製品にも応用できます」と話しています。

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