【ソウル18日=久保武司】サッカー東アジア杯(20〜28日)に出場する日本代表が韓国に到着した。
金甫空港の入国ゲートをくぐったザッケローニ監督(60)が後ずさりした。カメラマンとリポーターが四方を取り囲み直撃する韓国流の取材攻勢に「すまんが韓国の言葉を話せない」と驚きを隠せなかった。
“先制攻撃”を受けた指揮官だが、これだけではすまなかった。韓国サッカー協会(KFA)からの“アウェーの洗礼”も浴びせられたからだ。
19日には大会組織委員会が設定している記者会見が行われるが「現時点では日本語の通訳が入らない」(日本協会関係者)という。これまで韓国で行われた日韓戦で『日本語の締め出し』は一度もなかったことだ。
東アジア連盟の運営は大会を開催する日本、韓国、中国による持ち回りで行われ、その運営費の大半は日本企業からのスポンサー料でまかなっている。今回は開催国であるKFA幹部の主導で運営されているが、開幕を前日に控えたこの日の時点で、日本協会に割り当てられるはずの関係者用の試合チケットが届いていない状態だ。
また日本代表が海外遠征する際、食あたり防止などのため専属シェフを帯同させてきたが、不参加。KFA側から拒否された形跡があるのだ。
政治・外交でぎくしゃくしていても、両国はサッカーではフェアプレーを貫いてきた。1997年11月1日、W杯フランス大会アジア最終予選で、韓国で行われた日韓戦で「一緒にフランスW杯に行こう!」という横断幕を韓国サポーターがスタンドに掲げた。当時、日本協会・長沼健会長が「涙が出るほどうれしい出来事だった」と何度も振り返っていたものだ。
日韓代表は切磋琢磨してアジアサッカーを支え合ってきた間柄。今回のアウェーの洗礼は、冷え切っている日韓関係を象徴しているかのようだ。