2007-01-25 11:28:19

倫理学の本はよく紛失する?

テーマ:困った事

ある本が必要になり、事前に図書館のウエブサイトで所蔵を確認し

貸出中でもないことを確認してから、万全を期して本を借りに行った

にもかかわらず、当の本は紛失していて借りられなかった、

というような経験をお持ちの方はいらっしゃいませんか?


実は、私はこちらに来てから2回もそういう経験をしました。

いずれも、生命倫理学の本です。


そんな私の目をくぎ付けにしたのが下のブログ記事(英語)。

http://schwitzsplinters.blogspot.com/2007/01/still-more-data-on-theft-of-ethics.html


Eric Schwitzgebel(エリック・シュヴィッツゲーベル、ドイツ系の人かな)という

カリフォルニア大学の哲学の先生のブログなのだが、

大学図書館の本で、倫理学の本は、他の哲学関係の本より

紛失率が有意に高い、というのだ。


このシュヴィッツゲーベル氏もヒマというか物好きというか(似たような嗜好をもつ

哲学のセンセイは日本にもいっぱいいるが)、統計を使ってこの原因をつきとめ

ようとなさった模様。


簡単にまとめると、彼は「倫理学者や倫理学専攻の(?)学生が多く図書館の

本をネコババしている」という(彼の想定した?)仮説を論証するために、

他にこの現象の原因として考えられる仮説を、ことごとく反証していくのである。


彼が反証した三つの仮説は、


1)倫理学には古い本が多いので、紛失率も高い

2)倫理学の本はよく借り出されるため、紛失率が高い(ように見える)

3)法学の学生が、倫理学の本をネコババしているのだろう


詳細は省略するが、それぞれの仮説がもし正しかったとしたら、

統計の数字が大きく変わるような操作を全データに対して施して

(具体的にはある特定の本のグループのデータを除外して)、

もう一度「倫理学の本の紛失率」と「倫理学以外の哲学関係の

本の紛失率」を比べる、という方法だ。


しかし、どの結果も、紛失率の差はほとんど変わらず、

上記の1)~3)の仮説はみな反証された、というわけ。


つまり、

この現象は、倫理学の本を借りている(法学以外の)学生や倫理学者

がたくさん本をネコババしているせいだ、ということに落ち着くわけである。



それは倫理学専攻の学生や倫理学者のモラルが低いせいなのか、

あるいは彼らの記憶力が悪いせいなのか(←借りたことを忘れてしまう)、

あるいは他の原因なのか、

さらなる調査 が待たれるところだ!



(付記)

ちなみに、私が当のブログ記事を見つけたわけではなく、

bioethics blogという別のブログ(The American Journal of Bioethicsという

アメリカの生命倫理学雑誌の編集者たちで作っているブログ)に

このシュヴィッツゲーベル氏の記事のことがほとんどそのまま引用

されていたのを見たのです。

bioethics blogの方も、たまたま仕事で調べ物をしていた時に

検索で引っかかったもの。

こういうのを読んでるから仕事が進まないんだよね(笑)。


同じテーマの記事
PR

コメント

[コメントをする]

コメント投稿

気になるキーワード

    アメーバID登録して、ブログをつくろう! powered by Ameba (アメーバ)|ブログを中心とした登録無料サイト