ピアノという生き物
テーマ:ピアノ喜ぶ、怒る、哀しむ、楽しむ、
ビクビクする、ためらう、とまどう、甘える、すねる・・・
これらはみな、私がピアノを弾いている時に、
ピアノから伝わってくるものである。
こういった「感情をともなったリアクション」が
人間とコミュニケーション可能な生き物の資質だとしたら、
間違いなく ピアノは生き物 なのである。
シャーロッツビルのわが家に思いがけず置かれていたピアノ、
K氏の調律のおかげでその眠りからよみがえったピアノ、
そのピアノとの間の付き合いも5ヶ月近くになろうとしている。
最初は、眠りをさまされ、いきなり外界に出されたことによる
とまどいと恐れしか伝わってこなかった。
・・・・・・・
そのうち、自分を外界に引っ張り出してくれたことへの喜び
を奏でるようになり、とまどいは残りながらも、恐れは徐々に
消えていった。それと同時に、ある種の甘えのような、何か
こちらにまとわりついてくるような情感も伝わってくるように
なった。
・・・・・・・
しかし最近では、「もうこれが限界なんだよ・・・・ゴメンね」とでも
言うかのような、哀しげな表情が浮かぶことが多くなった。。。
たぶん、それは
私がクリスマスコンサートで久しぶりにまともなグランドピアノ
を弾いたこと、それによって私のなかに「このピアノでは絶対
表現できないもの」に対するいらだちが強くなったことへの
反応のような気がする。
音楽学部の練習室のピアノもこれよりはマシとは言え、
やはりちゃんとしたグランドピアノに比べると雲泥の差がある。。。
というわけで、グランドピアノへの思いを断ちがたい私の前に、
またもや救いの手が差し伸べられた。
(このブログに何回も登場いただいている)
Kさん宅にあるスタインウェイのグランドピアノを、週に一度
(2時間)弾かせていただくことになったのである!!
今のところ、このピアノを弾かせていただいたのは2回なので、
その潜在的な能力のすばらしさはわかっても、正直これがどのように
鳴るようになるのか、私との間でどのような折り合いがつくのかは、
まだつかみ切れないでいる。
たぶんこのピアノを数ヶ月弾き続けたら、
私が弾くピアノのなかの何かが変わる・・・という予感がするが、
それまでにはシャーロッツビルを去らねばならないことを思うと、ちょっと複雑だ。。。
K夫人から聞いた話では、
このピアノには、長い物語がある。
この、1920年代製のスタインウェイの前の持ち主は、とある女性ピアニストで、
その方が夫の大学教授とともに飛行機事故で亡くなられた後、家に3台あった
ピアノのうちの1台を、その教授と知り合いであったK氏が買われた、とのこと
であった。(メインの1台は、ご夫婦の娘さんが引き取られたそうだ)
人との付き合いと同じで、相手のそういう「過去を知ってしまう」と、
同じピアノがまた違った表情を見せるようになる・・・・・
というのも不思議なものだ。
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1 ■スタンウェイ!!!
すごいですね!
私は楽譜すら読めない人間で、ピアノは聴くの専門なので、演奏できる方は羨ましいです。。。
ご存知かもしれませんが、表参道にあるシェ松尾青山サロンというレストランに1898年製のスタンウェイのピアノが置いてありました。たまにコンサートとかやってますが、結婚式のときは参列者が弾いても良いらしいです。