「かもじ海苔」の由来
テーマ:雑学元旦に山陰名物「かもじ海苔」を使ったお雑煮の写真を載せたところ、数人の方から
こんな海苔があるのを今まで知らなかった、というお言葉をいただいた。
なので、今日はグルメ教養講座ということにしましょう。
(教養はちょっとつくかもしれませんが、お腹はいっぱいになりませんので悪しからず)
別名(本名)「十六島(うっぷるい)海苔」
と言い、島根県出雲市(旧平田市)近く
の十六島周辺で採れる岩海苔である。
(生物学的には、アサクサノリの仲間
らしい)
今ネット通販でお値段を調べてみたが、
15gで1365円(!)と、かなりの高級
海苔である。
問題は、なぜこの海苔が「かもじ海苔」
と呼ばれるようになったか、という言葉
の由来なのであるが、
実はこの「かもじ」とは「髪の毛」のこと
で、こののりの形状が髪の毛に似てい
ることからつけられた名称のようだ。
そう言っただけでピンと来る方もたぶん何人かおられることと思います。
そう! この 「かもじ」という言葉、 いわゆる「女房言葉」 なのです。
「女房言葉」とは、
室町時代ごろから宮中に仕える女房たちによって使われた独特の隠語で、
主として衣食住に直接かかわるような単語をそのまま使うのは「下品」とされた
ため、それに「お」をつけて上品にしたり(おでん、おかか、おにぎりなど)、
あるいは元の単語の一番はじめの文字を使って「○もじ」(つまり「あの、○のつく文字」と
いうように)婉曲に表現するのが特徴だ。
たとえば、「ひもじい」という語、これはもとは「ひだるい」という語だったのであるが、
「ひだるい=おなかがへった」と直接言うと「下品」なので、
「あの、「ひ」のつく言葉ね」という具合に、「ひ文字い(ひもじい)」という語でもって
表現したわけである。
髪の毛も、直接に「髪」とか言うと下品なので、
たぶん「あら、そなたも「かもじ」が伸びたわねえ」などと言ったのだろう。
現代では、
「俺、あいつに「ホの字」なんだ」(=惚れている)というような表現が
わりとこれに近いのではないかと思う。
というわけで、
大学教師の本能がうずき(?)、久しぶりに「講義」をさせていただきました(^^;)。
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1 ■雑煮と海苔
雑煮に海苔を入れる地方はいくつかあるのかな。
今日、熊本出身の方と雑煮の話をしていたら、水前寺海苔を雑煮に入れると言ってました。
うちの地方では、大井川の河口付近でとれる島田海苔という淡水のりを雑煮に入れる。これが切れると正月じゃない、青海苔などでは絶対満足できない、いわんや白味噌、丸もちなど出てこようものなら、卓袱台をひっくり返そうかという。他の食物に関しては無節操なんですが、ほんと雑煮だけは保守主義者になってしまうんだよね。と、新年早々、熱く語ってしまいました。失礼!