[シネマトゥデイ映画ニュース] 北野武監督が1996年に放った名作『Kids Return キッズ・リターン』の10年後を描く映画『キッズ・リターン 再会の時』が10月12日に公開されることがわかった。前作で安藤政信が演じたシンジには平岡祐太、金子賢が演じたマサルには三浦貴大がふんし、10年という時を経た彼らの運命の再会を描く。メガホンを取るのは、前作のほか『ソナチネ』『HANA-BI』など北野監督作品で助監督を務めた経験を持つ清水浩監督だ。
前作『Kids Return キッズ・リターン』は、落ちこぼれの同級生シンジとマサルが高校卒業を機に、ボクシング、裏社会というそれぞれの道に歩み出して経験する挫折を映し出した青春映画。『キッズ・リターン 再会の時』では、それから10年、ボクシングを辞めアルバイトをこなす日々を送るシンジと出所してヤクザの世界に戻ったマサルが再会を果たし、固い友情と熱い決意によって再起を図る姿を描く。
平岡はシンジを演じるにあたって「とても多くの方々から愛された伝説的な作品だと思いますので、前作をしのぐものにしたい」との思いから、3か月以上にわたる本格的なボクシングのトレーニングを積み、プロのボクサーも認める鋼の肉体と技術を身に付けて撮影に臨んだ。一方の三浦は「素晴らしい前作があり、そのファンの方も多くいる中で、期待を裏切らないものを作り、マサルを自分がどう演じられるのかは非常に不安でした」とプレッシャーを明かしたが、一歩撮影現場に入るとスタッフをも寄せ付けない鋭いオーラで10年後のマサルを体現した。
本作で「若者2人のリターンマッチに挑む姿」を描いたという清水監督は、「世知辛い今、拝金主義について行けず、戸惑っている人、自分を変えて無理をしている人、『大人』に成り切れずくすぶっているやからたち、『お前、そんな奴じゃなかっただろ』って誰かが言っている。負けるかもしれないけど、リターンマッチしてみるかって少しでも思ってもらえたら、幸いです」と作品に込めた思いを語る。そんな清水監督に原案のビートたけしは「清水監督のイメージに沿って自由にやってみればいいんじゃない。映画は基本的に監督のものだからさ。後は一人でも多くのお客さんに喜んでいただければ。公開を楽しみにしているよ」とエールを送っている。
前作から実に17年。2013年に『キッズ・リターン 再会の時』を製作する意義について、プロデューサーの加倉井誠人は、「今の若い男は『内向き傾向』『草食化している』とやゆされている。はたして本質はどうなのであろうか。秘めていても、いつの時代でも若者はまだ果たせぬ何かに向かって思い悩み、もがくのではないだろうか」とこんな時代だからこそ本作が求められていると説明。「いつの時代も変わらない男の本質に対する応援歌であり鎮魂歌」だという本作が現代でどのような輝きを放つのか注目だ。(編集部・市川遥)
映画『キッズ・リターン 再会の時』は10月12日より全国公開